筑波山

山全体がパワースポット、気軽に登れる「日本百名山」のひとつ

「西の富士、東の筑波」として富士山と並び称される関東の名山で、山全体が「御神体(ごしんたい)」。霊験あらたかなパワースポットであると同時に、「物見遊山」の山として親しまれ愛されてきた。

「女体山」山頂から望む「男体山」。筑波山は、朝は藍、昼は緑、夕は紫と、一日に幾度も表情を変えることから「紫峰(しほう)」とも呼ばれる} 「女体山」山頂から望む「男体山」。筑波山は、朝は藍、昼は緑、夕は紫と、一日に幾度も表情を変えることから「紫峰(しほう)」とも呼ばれる

神代の時代より人々に愛される関東の美しい山

関東平野に神々しくそびえ、なだらかなすそ野を引く筑波山。男の神が宿る「男体山(なんたいさん)」と女の神が宿る「女体山(にょたいさん)」の双峰が夫婦のように寄り添う姿から、縁結びや夫婦円満にご利益があるといわれる。日本最古の歌集『万葉集』に「二神の貴き御山と神代より人の言ひ継ぎ」とあるほど、遥か神代の時代から人々の信仰を集めた人気のパワースポットだ。男体山が山岳信仰と修験の霊山として畏敬される一方で、女体山は恵みをもたらし暮らしを豊かにする身近で親しみある存在として開放され、男女が和歌を詠みあう野外フェスのようなイベント「歌垣(うたがき)」が行われ、庶民から皇族までが集い出会いを楽しんだという。江戸時代にはさらに観光化が進み、富士山の次に多く浮世絵に描かれるほどにメジャー化、信仰や修行を目的としない物見遊山の客が押し寄せ、門前町が栄えた。この茨城県を代表する由緒ある観光地は、幅広い世代が気軽に登山やハイキングを楽しみ大自然からパワーをもらうレジャースポットであり、神話や伝承に満ちた山岳テーマパークであり、ふもとの原風景が日本の心象風景を思わせ、人々を温かく迎え入れる「ふるさとの山」なのである。

「御幸ヶ原(みゆきがはら)」は、ケーブルカーの「筑波山山頂駅」があり、展望台、売店や食堂、土産物屋が立ち並ぶ山頂付近の休憩スペース} 「御幸ヶ原(みゆきがはら)」は、ケーブルカーの「筑波山山頂駅」があり、展望台、売店や食堂、土産物屋が立ち並ぶ山頂付近の休憩スペース

お気軽登山で関東平野一望の絶景を手に入れる

筑波山は、初心者にやさしい山である。関東圏内からのアクセスがよく、日帰りで登山を楽しめる。登山道が整備され、やさしいコースから険しいコースまで目的やレベルに応じて選べるので、体力に自信のない人でも比較的気軽に山頂を目指すことができる。山頂手前まで乗り入れているケーブルカーとロープウェイを上手く使えば、ほとんど自力で登ることなく登頂することも可能。男体山山頂(標高871m)と女体山山頂(標高877m)の間は片道30分ほどの遊歩道でつながっていて、中間地点には、それぞれの峰に祀られている夫婦神が「御幸(往来)」する場所という意味の「御幸ヶ原(みゆきがはら)(標高800m)」があり、登山ルートの多くは山の四方からここを目指す。「日本百名山」のなかでいちばん標高が低いといわれる低山であるが、さえぎる高い山が周りにないため、山頂から関東平野が一望できる。御幸ヶ原から15分ほど登男体山山頂には展望台があり、遠くは富士山やスカイツリーまで見ることができる。岩峰の女体山山頂は、突き出た岩の上で眼下に広がるダイナミックな景色を楽しめる絶景スポット。ロープウェイの「女体山駅」から5分ほど登るが、ぜひ足を延ばして行ってみてほしい。

女体山御本殿は伊弉冉尊(いざなみのみこと)を祀り、男体山御本殿を見据えて置かれている。右手の橋は天上界と地上をつなぐ「天浮橋(あまのうきはし)」} 女体山御本殿は伊弉冉尊(いざなみのみこと)を祀り、男体山御本殿を見据えて置かれている。右手の橋は天上界と地上をつなぐ「天浮橋(あまのうきはし)」

伊弉諾尊(いざなぎのみこと)を祀る男体山御本殿は、江戸城の方角を向いている。江戸時代には江戸の鬼門(北東)封じの霊山とされ徳川家に崇められた} 伊弉諾尊(いざなぎのみこと)を祀る男体山御本殿は、江戸城の方角を向いている。江戸時代には江戸の鬼門(北東)封じの霊山とされ徳川家に崇められた

大自然がつくり出した神秘のパワースポット天国

筑波山は、山そのものが「御神体(ごしんたい)」。山の中腹にある「筑波山神社」を拝殿とし、拝殿から本殿の鎮座する山頂を含む約379万平方メートル(370㏊)すべてを「境内地」としている。つまり山全体が「神域」であり、山のあらゆるものが「神体」、石ころ1つにいたるまで神が宿る神聖なものとされた。山腹に点在する巨石や奇岩、巨木、山中のいたるところにつくられた霊跡は、こうした山岳信仰と神仏習合の歴史を物語っている。おたつ石コースと白雲橋コースの交わる「弁慶茶屋跡(べんけいちゃやあと)」より山頂への道は、自然がつくり出した数々の神秘的な巨石が見どころ。それぞれの石にまつわる物語に思いを馳せながら登ろう。御幸ヶ原付近にあり、『小倉百人一首』などでも数多く歌に詠まれた「男女川(みなのがわ)の源流」と、そのかたわらにそびえ立つ樹齢800年の巨木「紫峰杉(しほうすぎ)」も人気のパワースポットである。ほかにも縁結びや金運のご利益スポットや神々を祀る神社や祠など、原生林や巨石群の多く見られる山頂付近は特に、自然の神秘のエネルギーに満ちあふれたパワースポットが数多く存在している。

休憩スポット「弁慶茶屋跡(べんけいちゃやあと)」。ここから山頂までの道は巨岩奇石が続くエリア} 休憩スポット「弁慶茶屋跡(べんけいちゃやあと)」。ここから山頂までの道は巨岩奇石が続くエリア

登山だけじゃない筑波山観光を楽しもう

筑波山の楽しみ方は千差万別。その昔万葉集に詠まれた場所を「聖地巡礼」して万葉の時代にさかのぼろう。神話や伝承をひもときながら、登山道に次々に現れるパワースポットを巡り元気をもらおう。ケーブルカーやロープウェイを駆使すれば、アトラクション感覚で気軽に山頂からの絶景を楽しむこともできる。春夏は新緑と沿線の花々、秋には紅葉、冬は雪景色、さらに冬季限定の夜間営業では、満天の星空と「日本夜景遺産」に認定された夜景も楽しめる。関東で最も早く日の出を見ることができる初日の出スポットとしても人気である。山の中腹に位置する3000年以上の歴史をもつ「筑波山神社」もあわせて訪れたい。神社付近には山頂へのケーブルカーの駅と登山道の入り口があり、週末には茨城の伝承芸能「ガマの油売り」の口上を見られる。隣接する約1000本の梅が咲き誇る「筑波山梅林」は2月下旬から3月上旬が見頃。「筑波山梅まつり」をはじめ、風流なイベントが開催される。そして登山後のもう1つの楽しみは温泉。「筑波山温泉郷」には日帰り温泉や足湯を楽しめる宿泊施設が充実しているので、お湯に浸かって疲れを癒やし、ご当地グルメ「つくばうどん」で旅を締めくくろう。

「弁慶の七戻り(べんけいのななもどり)」は、神々の世界と現世を分かつ場所とされてきた石門。頭上の岩が今にも落ちそうで恐れおののいた弁慶が「七戻り」したといわれている} 「弁慶の七戻り(べんけいのななもどり)」は、神々の世界と現世を分かつ場所とされてきた石門。頭上の岩が今にも落ちそうで恐れおののいた弁慶が「七戻り」したといわれている

「母の胎内くぐり」は筑波山禅定(修験の行)の行場のひとつ。岩を抜けることで、罪穢れのない清い心身に立ち返ることができるといわれている} 「母の胎内くぐり」は筑波山禅定(修験の行)の行場のひとつ。岩を抜けることで、罪穢れのない清い心身に立ち返ることができるといわれている

石の上に鶺鴒(せきれい)という鳥が止まり、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)に夫婦の道を教えたという神話のある「セキレイ石」} 石の上に鶺鴒(せきれい)という鳥が止まり、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)に夫婦の道を教えたという神話のある「セキレイ石」

スポット詳細

住所
茨城県つくば市筑波 map map 地図
コース1
御幸ヶ原コース
「西の富士、東の筑波」と富士山と並び称される筑波山。日本百名山の中でも標高が低く、比較的気軽に登山が楽しめる山。筑波山神社から男体山頂を目指すこのコースは表登山道とも呼ばれる最もポピュラーなコースで、ほぼケーブルカーに沿って登る。登山道は良く整備されており、開けた平坦地には随所にベンチも設置されている。中間点から少し登った所からけけ傾斜のきつい岩場が続く。標高差があり比較的険しいコース。
コース2
迎場コース
白雲橋コースに入り、酒迎場分岐をつつじヶ丘方面へ進む登山道。高低差は少なく、距離も短い。岩場が少なく比較的楽なコース。良く整備された石畳の登山道の周りにはモミの巨木が多いのも他のコースに無い特徴。酒迎場分岐から白雲橋コースへ合流し女体山頂へ向かうことも、つつじヶ丘から筑波山神社へと下ることもできる。直接山頂を目指すコースではないため利用者も多くなく、比較的ゆったりとした気持ちで歩ける。
コース3
白雲橋コース
筑波山神社から酒迎場分岐、弁慶茶屋跡を経て女体山頂へと向かうルート。「弁慶七戻り」や「高天原」などの巨岩、奇岩に驚かされる、筑波山の魅力を一気に満喫できるコース。酒迎場分岐からすぐに見える「白蛇弁天」には白い蛇が住み、見た者は財を成すと言われている。筑波山の登山道の中でもかなり高低差がある。関東平野を見下ろす女体山頂到着後は、御幸ヶ原を経て男体山頂を目指すこともできる。
コース4
おたつ石コース
つつじヶ丘から弁慶茶屋跡を結ぶ、比較的短いルート。つつじヶ丘駐車場を出発する、ガマ大明神の脇の良く整備された登山道。登り始めからつつじが丘高原までは急だが、残りのコースは緩やかに森林浴が楽しめる。山頂を目指したい方は、弁慶茶屋跡から白雲橋コースに合流し、女体山駅を経由して女体山山頂を目指せる。白雲橋コースほど長くなく、女体山駅からロープウェイを利用することも出来る、選択肢の多いコース。
コース5
自然研究路
御幸ヶ原を起点に、男体山頂の標高750-800m付近を周遊するルート。コース上の展望台からは関東平野を一望でき、スカイツリーや富士山を見渡せることもある。筑波山神社横の宮脇駅からケーブルカーを利用すれば、90分はかかる御幸ヶ原までの登山道を8分に短縮できる。国定公園特定保護地区にも指定されているブナ林をはじめ、筑波山の自然観察に最適。
コース6
山頂連絡路
男体山頂と女体山頂を結ぶ稜線上にある山頂連絡路。中間点の御幸ヶ原には茶屋が軒を並べ、筑波山で最も人通りが多い一帯。季節によってはイベントなども開催している。御幸ヶ原から男体山山頂まで約15分、女体山頂へも約15分。小さいお子様連れでも安心のルート。気軽に筑波山からの景色を味わえる。特に危険個所というほどのところはないが、女体山山頂は狭いところに人が集中することもあるので転落に注意。
コース7
裏登山道コース
筑波山の北面を登るルート。登山口までの公共交通機関がなく、マイカーでのアクセスとなる。筑波高原キャンプ場の駐車場からカタクリの群生地が広がるキャンプ場敷地内を通り抜け登山道へ入る。最大の魅力は森林のなかの登山道。そのため眺望はほとんどなく、3月中旬でも雪がなかなか消えない。登り上げると、女体山頂からすぐ下の平坦地に出る。

情報提供: ナビタイムジャパン

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最寄り

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