磐梯山

「日本百名山」のひとつ、磐梯山に最短ルートで登ってみよう

「会津磐梯山は宝の山よ」と歌う民謡でも知られる磐梯山(ばんだいさん)。地球科学的に貴重な地形、地質が見られることから、「日本ジオパーク」にも選定されている。最短の「八方台」コースがおすすめ(夏期のみ)。

磐梯山頂の祠には磐梯明神が祀られている} 磐梯山頂の祠には磐梯明神が祀られている

「会津富士」の別名もあるが、表と裏でまったく違った山容を見せる山

作家・深田久弥の『日本百名山』にも選ばれている磐梯山は、会津地方のみならず福島県民の心の山である。磐梯朝日国立公園に属し、福島県のほぼ中央、耶麻郡猪苗代町と北塩原村、磐梯町の境にそびえる活火山の独立峰だ。主峰・磐梯山と櫛ヶ峰、赤埴山の3つのピークの総称でもある。標高は1816m。実は2010年(平成22)、三角点標石交換時の測量により、それまでの1819mから標高が3m低くなった。磐梯山の南側は表磐梯と呼ばれ、そこからは秀麗な円錐形に見えるため、「会津富士」の別名がある。山麓の猪苗代湖は日本第4位の面積を誇る湖で、5万年前の噴火による山体崩壊で川がせき止められてできたと考えられている。北側の裏磐梯からは、明治時代の大噴火でできたU字型の爆裂火口を抱く、2峰の山容に見える。

表磐梯・猪苗代町から、蕎麦の花越しに見た磐梯山} 表磐梯・猪苗代町から、蕎麦の花越しに見た磐梯山

裏磐梯ビジターセンター提供\2010年(平成22)の測量で標高が3m低くなったため付け替えられた山頂標識} 裏磐梯ビジターセンター提供\2010年(平成22)の測量で標高が3m低くなったため付け替えられた山頂標識

明治の大噴火によって山体崩壊が起き、周辺に大小の湖沼群が生まれた

磐梯山は万葉集にも「会津嶺」と詠われており、古くから人々に親しまれてきた。「天に架かる磐(岩)の梯(子)」という意味の磐梯山(いわはしやま)という古名が、のちに「ばんだいさん」になったとされる。有史以前から噴火を繰り返してきたが、1888年(明治21)7月の水蒸気爆発は、主峰北側・小磐梯山の山体を崩壊させた。そして周辺の5か村を岩なだれが埋め尽くし、477名もの死者を出す大災害をもたらしたのである。このときの土石流が長瀬川をせき止め、桧原湖、小野川湖、秋元湖や五色沼湖沼群など大小200を超える湖や沼が誕生した。磐梯山と周辺の山域は動植物の宝庫で、特に野鳥の種類が多く、裏磐梯(磐梯高原)は「日本三大野鳥生息地」のひとつとされている。高山植物の種類も豊富で、この山で初めて確認・発見されたバンダイクワガタが有名である。夏の早い時期、紫の花を咲かせるこの可憐な花を目当てに登る人も多い。

裏磐梯・五色沼湖沼群のひとつ、毘沙門沼から見た磐梯山} 裏磐梯・五色沼湖沼群のひとつ、毘沙門沼から見た磐梯山

十合目ではなくて五合目が山頂!? さあ、最短ルートの登山口から出発

磐梯山に登るには東西南北にある6つの登山口のいずれかからスタートすることになる。登山道には合目があるが、おもしろいことに山頂は十合目ではなく、五合目となっている。富士山の標高(3776m)のおよそ半分が山頂だからとか、太古から噴火を繰り返して標高が半分になったから、といった説が知られるが、真相は定かでない。今回は、最短ルートの「八方台登山口」から登ってみよう。八方台駐車場は標高1194m、山の西側、磐梯山ゴールドラインの途中にある。駐車可能台数は約70台だが、ハイシーズンにはすぐ満車になってしまうので、できるだけ早い到着を心がけたい。山頂までのコースタイムはおよそ2時間10分。装備を確認したら登山スタートだ。最初は気持ちのよいブナ林のなかのなだらかな道を行く。

登り始めは気持ちのいいブナの樹林帯のなかの道を進む} 登り始めは気持ちのいいブナの樹林帯のなかの道を進む

変化に富んだ登山道をたどって、絶景が待つ山頂へ

30分ほど登っていくと、硫黄臭が漂ってくる。かつては温泉宿だった中の湯跡に到着だ。今も有毒ガスが発生している立ち入り禁止区域には近づけない。ここから弘法清水(四合目)までは尾根伝いの登山道となり、櫛ヶ峰や桧原湖、西吾妻山などが見えて気分も上がる。花畑との分岐からは近道の右手登山道を進んで行くと、間もなく弘法清水に着く。売店も2軒あるので、ここでひと息つこう。こんこんと湧き出ている冷たい清水を飲んで、元気100倍! 最後に25分ほどの急登をがんばって登り切れば磐梯山頂上だ。眼下の広大な猪苗代湖をはじめ、吾妻連峰、安達太良連峰、飯豊連峰や那須連峰、尾瀬の燧ケ岳(ひうちがたけ)など、360度の大展望を堪能しよう。帰りは八方台登山口まで1時間30分ほどの下りだ。花畑を通るのもおすすめ。

裏磐梯ビジターセンター提供\中の湯跡と今でも湧き出ている温泉。入浴は不可} 裏磐梯ビジターセンター提供\中の湯跡と今でも湧き出ている温泉。入浴は不可

登山道途中から裏磐梯最大の湖・桧原湖が見えた} 登山道途中から裏磐梯最大の湖・桧原湖が見えた

裏磐梯ビジターセンター提供\山頂の南側には猪苗代湖が一望のもと} 裏磐梯ビジターセンター提供\山頂の南側には猪苗代湖が一望のもと

スポット詳細

住所
福島県耶麻郡猪苗代町他 map map 地図
備考
※ゴールドライン(道路)が冬期(11月中旬-4月中旬)は封鎖されるため、冬期はアクセスが難しい。入山禁止ではないが、5月中旬(山開き)から11月上旬の登山が望ましい。
コース1
八方台登山口
磐梯山への最短ルート。一番一般的で、一番登山者が多いコース。小学生の低学年でも歩けるが、若干変化に乏しい。磐梯山ゴールドライン沿いにある八方台登山口を出発し、中ノ湯跡、岡部小屋、弘法小屋、弘法清水を経て磐梯山山頂に辿り着くルート。岡部小屋には売店のみで宿泊施設はない。道中山側に鎖が、谷側に滑落防止のロープが設置されている箇所もあるが、危険な場所はない。弘法清水小屋の携帯トイレ用ブースは携帯トイレ(専用処理袋)を持っていない登山者は利用出来ない。
コース2
猪苗代登山口
猪苗代スキー場を起点とし、磐梯山山頂を眺めながら沼の平を経由して山頂へ向かうコース。各登山道の中でも一番標高差がある。スキー場の斜面はきついが、眼下に広がる猪苗代湖は絶景。沼ノ平あたりには高山植物が生え、噴火口壁からは荒々しい対照的な風景が味わえる。登山口には広い駐車場や温泉施設もあるが、登山口までバスの運行はないので、マイカーかタクシーを利用。
コース3
川上登山口
国道459沿いにある川上温泉から山頂へ向かうコース。前半は森林浴気分で森の中を歩き、視界が開けると左側に噴火壁がそびえる噴火口に到着する。裏磐梯スキー場からのコースとの合流点付近は土砂、ガレ場となっており、雨などで地形などが変わりやすくなっているので注意が必要。火口壁の階段を登りつめると北方向には桧原湖や吾妻連峰が見える。火口原は荒々しい火口壁、櫛ヶ岳が眼前に迫り壮観。登山口周辺には温泉宿が多数あるため、ベース基地として利用しても。
コース4
渋谷登山口
登山道がわかりにくく、かなり知識のある方でないと迷いやすい上級者向けのコース。登る際には十分な装備と綿密な計画が必要。登り始めてしばらくは、ぬかるみの多い登山道が続く。沼ノ平1.5km手前辺りは迷いやすいので注意。コースが長く勾配が緩いため、赤テープと赤ペンキを見落とさなければ問題なく進める。多様な高山植物の群落もある、うっそうとした樹林帯を行く森林浴に最適なルート。
コース5
裏磐梯登山口
裏磐梯スキー場入口より徒歩で始まるコース。表とは違った荒々しい磐梯山が楽しめる。荒々しい噴火口を下から見上げる所が醍醐味。冬はスキー場まで車が入るが、夏は崖崩れの危険があるため車両進入禁止。裏磐梯スキー場で、銅沼・中の湯跡を経由し山頂に向かうコースと、磐梯山噴火壁を登って山頂へ向かうコースに分岐する。後者は途中からかなりの急登となるので、天候の悪い時や雨上がりにはお勧めできないが、裏磐梯を一望することのできる絶景コース。スタート地点を含めてトイレはないので、事前に済ませてからの出発をオススメ。
コース6
翁島登山口
急勾配のガレ場を一気に登っていく体力に自信のある人向きのルート。猪苗代リゾートスキー場が登山口で、スキー場のゴンドラが営業していれば、標高1200メートルまで歩くことなく登ることができるが、営業していない場合はスキー場のゲレンデ横にコースがあるため、前半は林の中。ゴンドラ降り場からはかなり急峻で岩場が続くが、各登山道の中では一番早く山頂に到着できるコースでもある。後半はあたりを遮るものがなく、眺望は最高。会津盆地、遠くは飯豊連峰まで望める絶景のパノラマが広がる。

情報提供: ナビタイムジャパン

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