林牧場群馬県馬事公苑

カッコイイ乗馬風景。乗馬は要予約。ポニーの引き馬は予約不要

見学やエサやりも。かわいい馬に会いに行こう

緑に包まれた赤城山南麓。前橋方面から赤城山を目指していくと、2014年(平成26)のゆるキャラ(R)グランプリで1位に輝いた「ぐんまちゃん」をあしらった看板が見えてくる。右に曲がると、そこが林牧場群馬県馬事公苑だ。もともとは、1983年(昭和58)に開かれたあかぎ国体の馬術競技会場。それを整備して1986年(昭和61)に県有乗馬施設として開苑した。「乗馬施設ですが、馬を見るだけでも大歓迎。実際の馬を間近で見て、かわいさや美しさを知ってほしい」とスタッフ。敷地内に入ると、馬場をさっそうと走る姿や、スタッフにブラッシングや蹄の手入れをされて気持ちよさそうにしている馬たちを見ることができる。馬と人とが心を通わせている温かな様子に自然と笑みがこぼれる。クラブハウスを守っているのは、看板犬のアンズちゃん。スタッフの愛犬で、一緒に通勤しているという。馬にも犬にも会える、動物好きにはたまらない施設だ。入場料はかからないので、気軽に訪ねられる。
(R)＝登録商標マーク

前橋赤城線上に見える、ぐんまちゃんの看板が目印

インストラクターに手入れをしてもらって気持ちよさそうな馬

看板犬のアンズちゃん。来場者やスタッフ、みんなのアイドル

子どもはポニーの引き馬、大人は乗馬にチャレンジ

キリリと引き締まった体つきにそぐわない、長いまつ毛に包まれた大きくかわいらしい目。見るだけでも満足できるが「いつでも、だれでも、手軽に乗馬」をモットーに掲げる同苑、せっかくならぜひ馬に乗ってみよう。完全ビジター制で入会金不要。1回だけの体験乗馬もできる。しかも用意するのは、長ズボン、靴下、手袋だけ。乗馬靴、乗馬ヘルメットは貸してくれる。3歳からポニーの引き馬が、小学校3年生からは本格的な乗馬体験ができる。施設内には約40頭のサラブレッドとポニー。ポニーは、インストラクターが綱を引いてくれる。人と同じように馬にも性格や特性があるが、ビギナーにふさわしい馬をインストラクターが選んでくれる。うれしいのは、ただ乗るだけでなく乗馬前後の馬の手入れもできる点。「よろしくね」とやさしく語りかけながら体に触れると、心が通じ始めるように感じる。いよいよ乗馬スタート。気持ちが高まる瞬間だ。

経験を積んだ人は自分で騎乗の準備ができる

1回の体験で「パカッ、パカッ」と馬が軽く走るまでに

馬の左側に立ち、鐙(あぶみ)に左足をかけてから自転車に乗るような要領で右足をうしろから回して騎乗。サラブレッドの体高はおよそ160cmなので、背中に乗せてもらうと視線の位置は2m50cmほどにもなる。見え方の違いが新鮮だ。「馬が先生。初心者さんのことはちゃんとわかっていて、馬がそのように動いてくれますよ」と、インストラクターのアドバイスに従い、両足のふくらはぎで馬の体を軽く挟むようにすると、ゆっくりと前へ歩き出す。ポイントは、体に力を入れ過ぎないこと。馬の動きをリズムに合わせるようにすると、穏やかな揺れが体に伝わりなんとも心地がいい。最初は、常足と呼ばれるゆっくりとした足取りで馬場を回ってくれる。スピードは、1分間に110m。人がジョギングするくらいの速さだ。多くの人が1回の体験で、速歩と呼ばれる馬が軽く走るところまで進める。騎乗時間は45分。終わったら、ブラッシングをしたり水を飲ませたり、感謝を込めてお世話をしよう。

雨の日も体験可能。天気の悪い日は屋内馬場が利用できる

乗馬は全身運動。心の健康にもおすすめ

乗馬は、体と心の健康にぴったりなスポーツ。傍目(はため)にはただ乗っているように見えるが、背中の上でバランスを保ったり、動きにあわせたりするためにさまざまな筋肉を使っていることが騎乗するとよくわかる。「体幹が鍛えられる乗馬の消費カロリーは、水泳に次ぐほどといわれているんですよ」とスタッフ。また、メンタルケアにもおすすめで、10年以上通っているという女性は「乗馬のおかげで気持ちが沈むことなく、長年の介護生活を乗り切ることができた」と微笑む。同苑は、子どもや親子向け、初心者向け、50歳からの体験乗馬のなど多彩なプランを用意している。ウェブサイトをチェックしよう。また、時折、馬術大会も開催する。車で3～4分行ったところには、露天風呂がある日帰り温泉、採れたての地元野菜が並ぶ農産物直売所、名犬牧場などがあるので旅のコースに組み込みたい。

馬との触れ合いに心が安らぐ。厩舎に入る前はスタッフに声をかけよう

馬事公苑の入り口。左手に見える厩舎には貴重な「初代ぐんまちゃん」の姿が