玉名市立歴史博物館こころピア

博物館/科学館

玉名の歴史的重要性を示す展示の数々に瞠目

繁根木(はねぎ)川のほとりに1994年(平成6)に開館した博物館。古代から近代まで、玉名がいかに交通の要衝として隆盛を極めたか。菊池川を中心に、川とともに発展した町の歴史に触れることができる。

菊池川流域の米を大坂に運んだ廻船の模型「高瀬丸」} 菊池川流域の米を大坂に運んだ廻船の模型「高瀬丸」

国指定の史跡となった船着場の跡

2022年(令和4年)11月10日の官報告示によって、玉名市に所在する高瀬御蔵(おくら)跡、高瀬船着場跡、晒(さらし)船着場跡の遺跡が、「熊本藩高瀬米蔵跡」として国の史跡に指定された。高瀬は玉名市を流れる菊池川流域にある地名。菊池川流域の広い地域は日本遺産に指定されている(米作り、二千年にわたる大地の記憶~菊池川流域「今昔『水稲』物語」~)。菊池川の米作り文化とその水運を象徴する玉名の遺跡が国指定史跡となったわけだ。江戸時代、熊本藩は全国有数の米どころとして知られていた。米は大坂へ運ばれ米市場で販売されたが、熊本藩からの積み出し量約40万俵のうち、高瀬からはその半分が積み出されていた。高瀬(玉名)がいかに重要な地であったかが、そこからもうかがえる。

ユニークな玉名市立歴史博物館こころピアの外観} ユニークな玉名市立歴史博物館こころピアの外観

古代より交流の拠点

しかし、玉名が重要な土地であったのは太古からのことだった。菊池川流域には古墳が数多く残っている。この一帯の古墳は内部に装飾が施された装飾古墳が多く、全国の装飾古墳の約40%は熊本県にあり、そして熊本県内の約66%は菊池川流域に。つまり、全国の装飾古墳の4分の1は菊池川流域にあることになる。その数は装飾古墳、装飾横穴墓あわせ122基。古墳時代について単純に語ることはできないものの、菊池川流域が特別で希有な土地であったことは想像ができる。奈良時代になると、全国に都から役人が国司として派遣され、地方の豪族が郡司に任命される律令制度が始まる。玉名には玉名郡衙(ぐんが)が置かれた。郡衙は郡倉(米を入れる倉)、郡家(ぐうけ)という役所、寺院などで構成されたが、玉名郡寺は現在の玉名市立願寺にあった。立願寺の地名は今も残り、玉名温泉はもともと立願寺温泉と呼ばれていた。当時の瓦など出土品は博物館に展示されている。

出土した古墳時代後期のものとされる金製のアクセサリー} 出土した古墳時代後期のものとされる金製のアクセサリー

律令の時代である奈良時代からも玉名は繁栄を極めていた} 律令の時代である奈良時代からも玉名は繁栄を極めていた

博物館所蔵の「脇差 肥後住同田貫上野介(ひごじゅうどうだぬきこうずけのすけ)」。同田貫は肥後刀工の一群として有名だ。展示は毎月変更される} 博物館所蔵の「脇差 肥後住同田貫上野介(ひごじゅうどうだぬきこうずけのすけ)」。同田貫は肥後刀工の一群として有名だ。展示は毎月変更される

西南戦争の関ヶ原

玉名(高瀬)が重要な場所であることは、明治になっても変わらなかった。そのことを最も示しているのが、1877年(明治10)の西南戦争だ。西南戦争の激戦地としては、玉名からも近い田原(たばる)坂が有名だが、その前に、熊本城を包囲した西郷隆盛の薩軍は、熊本城へ救援に向かう明治政府の官軍を阻止するため、菊池川を挟んで2月末に戦っている。「高瀬の会戦」と呼ばれ、西南戦争の行方を左右したことから「西南戦争の関ヶ原」と称されている。高瀬の争奪をめぐる激戦で、西郷隆盛の末弟、西郷小兵衛は戦死し、薩軍兵士が集団自決するなどの悲劇も伝えられる。敗れ退いた薩軍は、その後、砲車を通すことのできる唯一の道路である田原坂で死闘を繰り広げることとなるのだった。古代、中世、近世、近代といずれの時代においても重要な役割を担ってきた玉名の歴史はもっと知られてもいいことが、この博物館を訪ねるとよく理解できるに違いない。

今も菊池川の川床では昔の器のかけらが見つかることがある} 今も菊池川の川床では昔の器のかけらが見つかることがある

玉名の歴史をはぐくんできた菊池川} 玉名の歴史をはぐくんできた菊池川

スポット詳細

住所
熊本県玉名市岩崎117 map map 地図
エリア
玉名エリア
電話番号
0968743989
時間
9:00-17:00(最終入館16:30)
休業日
月(祝日の場合はその翌日)、祝翌日(日除く)、年末年始(12/28-1/4)
料金
[入館料]一般300円、大学生200円、高校生以下無料
※団体料金あり(20名以上)
駐車場
あり(50台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
可(PayPay、LINE Pay)
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
30-60分
車椅子での入店
乳幼児の入店

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 大河展
    3.0 投稿日 : 2020.02.27
    大河ドラマ韋駄天の主人公ということで金栗四三展をやっていました。展示内容もよかったですが建物の形にかなり特徴のある建物です。
  • 金栗四三の手紙
    4.0 投稿日 : 2019.05.22
    金栗四三の特別展をやっているということで見に行きました。和水町の「金栗四三ミュージアム」や同じ玉名の「大河ドラマ館」に比べて地味な展示でしたが、金栗さんが家族にあてた手紙や絵葉書が大量に展示され(字も上手い)、その人柄をうかがい知ることができたと思います。この他、小さい頃の健康診断や玉名中学の特待生の任命証など貴重な書類も展示されていて、テレビドラマでは真面目ながらもどこか滑稽な金栗さんの本当の...
  • 金栗四三展をやっていました
    3.0 投稿日 : 2018.12.11
    博物館の常設展示館は建物改装中でしたが、裏にある小さな建物内で金栗四三展をおこなっていました。来年のNHK大河ドラマ「韋駄天」の主人公ということでの催しでした。本来の常設展示の建物はユニークな建築です。

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