比叡山
山水画のような渓谷美を見せるクライミングの名所
登山客やロッククライマーを魅了する国の名勝
比叡山というと、天台宗総本山の延暦寺がある、京都と滋賀にまたがる山を想像する人がほとんどだろうが、宮崎県延岡市にあるこの比叡山は、それとは関係のない同名の山。標高は760mほどと決して高くはないものの、巨大な岩峰が天を指す独特の景観と、山上からの景色の良さで知られ、季節を問わず多くの人が訪れる。1939年(昭和14)には国の名勝に指定された。一帯は国内屈指の花崗岩地帯であることから、比叡山ではクライミングも盛んで数多くのルートが開拓されている。また、ヒカゲツツジやアケボノツツジなどの群落地がある花の名所としても知られる。
千畳敷登山口から山を登り始めよう
比叡山は延岡市北方町にある。延岡市と熊本市を結んで東西に走る国道218号から県道214号に入り、左手に綱のノ瀬川の清流を見ながら進むと、約7kmの場所に南側登山口がある。進んでいくと大きな岩の塊のような独特の山容が見え、400mほどで千畳敷登山口、さらに300mほどで北側登山口がある。駐車場は南側登山口と千畳敷登山口の近くの2か所。下山後のことを考え、下る予定の地点にある駐車場に車を停めるといいだろう。トイレがあるのは千畳敷登山口だけで、駐車場の少し北から山中へ石段が延び、千畳敷まで約100mという看板が立っている。千畳敷までは遊歩道が整備されており、比較的歩きやすい。
千畳敷から始まる本格登山
比叡山には岩場や断崖など危険な場所が多いので、どのルートも中級者または上級者向け。しっかりした装備と、水や食料などを持参しよう。千畳敷は、比叡山と矢筈岳(やはずだけ)の姿を見渡せる展望スポット。そこから比叡山の山頂へは、岩山を回り込むように進んでいく。穏やかな道が少しずつ険しくなっていき、次第に歩くのが困難な岩場の道になる。岩場を登り降りするのは歩きにくいものだが、ロープが設置されている場所もあるので、注意しながらゆっくり登ろう。千畳敷から20分ほどのところに、「ヤカタガ岩屋」への分岐がある。ヤタガヤ岩屋は大人が数人入れる空洞で、この分岐から往復約30分。時間に余裕があるなら寄り道してみよう。
絶景が待つ山頂。そしてさらに先へ
ヤカタガ岩屋への分岐点から、山頂へは約1時間15分。頂が近づくにつれ、急こう配の岩場が続く。周囲の展望も良くなり、周囲の独特かつ美しい景色に、ここまで登ったかいがあると思えるだろう。この辺りからはロープを使わなければ登頂が困難になるので、体力と相談しながら慎重に挑みたい。岩場を登り終えると「祖母傾國定公園 比叡山」と刻まれた石柱の立つ開けた場所に着くが、そこは山頂ではなく展望台だ。さらに目印に沿って先へ進むと、15分でやっと山頂にたどり着く。辺りの地面からは巨岩が突き出し、周囲は360度の大パノラマ。遠くに連なる大崩山(おおくえやま)や傾山(かたむきやま)まで見ることができる。ここからさらに、カランコロン岩やヒカゲツツジ、アケボノツツジ群生地を経て、隣のひえの山まで縦断することも可能。岩の存在感たっぷりの自然の景色のなかで非日常を味わって、身も心もリフレッシュしよう。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン