小江戸佐原の街並み(香取市佐原伝統的建造物群保存地区)
往時の賑やかな風景を想像しながら歩きたい
小野川が造った町
物流手段の中心が水運だった江戸時代、洪水対策と水運整備のために江戸湾(東京湾)に流れ込んでいた利根川は、川の流れを東に移動する東遷事業の末に現在のように河口が銚子になるようになり、その結果利根川沿いには、荷を積み下ろしするたくさんの河岸が設けられた。利根川の支流小野川が流れる佐原にも多くの河岸や河岸問屋、蔵が建てられ、水運の拠点として賑わうようになった。利根川を利用した水運は昭和30年代まで続き、佐原も栄えていたが、自動車での輸送が主流になると町の賑わいは失われていった。その後、町では大きな再開発が行われなかったために、江戸時代後期から昭和初期に建てられた建物が残された。古い建物は少しずつ消えていったが、貴重な江戸の町並みを残すために、1996年(平成8)に関東地方で最初の「重要伝統的建造物保存地区」に選定された。
忠敬橋から散歩を始めよう
小江戸佐原の中心は、県道55号(香取街道)が小野川と交差する忠敬橋周辺。ここから小野川沿いの数100m、そして県道55号沿いの数ブロックに伝統的な家屋が固まっている。歩き始める前に、県道55号沿いにあるレンガ造りの1914年(大正3)築「三菱館」(旧三菱銀行佐原支店)の隣にある「佐原町並み交流館」に立ち寄って詳しい地図をもらおう。文化財にも指定されているこの周辺のおもな建物をいくつか挙げてみる。橋を背に下流に向かって小野川の右側を約100m歩くと佐原の名産品である佃煮を製造販売する「いかだ焼本舗 正上(しょうじょう)」がある。1832年(天保3)築の店舗は佐原最古の建物だ。同じく江戸時代の建物は、橋のすぐ隣、角にある1855年(安政2)築の「中村屋商店」。現在はカフェが入っている。県道55号を橋から駅に向かって少し進んだ右側にある「小堀屋本店」は1782年(天明2)に開業した老舗蕎麦屋。店舗建物は1900年(明治33)に建てられたもので、入り口のガラス戸は1902年(明治35)に据え付けられた佐原でいちばん古いガラス。ここは昆布を練り込んだ黒切り蕎麦が名物だ。ほかにも古い建物がいくつもあるが、どれも人が住んでいたり、商売をしたりしている現役の建物だ。
必ず訪れたい伊能忠敬旧宅
「小野川舟めぐり」の舟が出る場所にある橋にも注目。樋橋(とよはし)が正式な名前だが、通称である「ジャージャー橋」の名のほうがよく知られている。元は江戸時代の懸樋(かけひ)で、小野川を挟んで田んぼから田んぼへ水を流すために造られた。あふれた水が小野川に流れ落ちる音から「ジャージャー橋」と呼ばれるようになった。今はその様子を再現するために30分ごとに水が流れ落ちている。この橋のすぐ前にあるのが伊能忠敬の旧宅。1793年(寛政5)に建てられたもので、国指定の史跡となっている。忠敬が日本の地図を作るために測量の旅に出るのは齢50を過ぎてからだが、それまではここで商売をしていた。江戸時代の商家がそのままの形で残っており、中に入ってじっくり建物の様子を見学できる。
小野川沿いの柳並木
小野川沿いの古い町並みは、忠敬橋から下流に向かってJR成田線の鉄橋の手前、開運橋辺りまで続く。古い建物の割合は忠敬橋から離れるにつれ徐々に少なくなるが、川を眺めながらの散歩は楽しい。川沿いには柳の木が並木になっているが、よく見るとあることに気がつく。それは木の枝が川の上には張り出しているが、道路側はきれいに切られていることだ。これは日本の伝統行事としてユネスコの無形文化遺産にも登録されている「佐原の大祭」に関係している。毎年、夏と秋の2回行われるこの祭りは、「関東三大山車祭り」のひとつといわれ、夏に10台、秋は14台の山車が町中を曳き廻されるが、この山車がスムーズに通れるよう、道路側の枝が切られているのだ。夏祭りは7月半ば、秋祭りは10月の半ばに行われる。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン
アクセス
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