秋野不矩美術館
靴を脱いで、床に座って。秋野不矩画伯の作品を自然体で楽しむ
アプローチから作品の世界に引き込まれる
浜松市秋野不矩美術館の展示は、駐車場から丘の上の建物へと向かう坂道から始まっているといえるかもしれない。坂道を照らす街灯は、使い古しの木製の電柱に傘が付いた白熱灯。斜面をおさえる擁壁のブロックはスギ板で覆われ、側溝に取り付けられているフタはコンクリートではなく木製だ。季節ごとの自然を目にしながら進む300mほどの坂道は、苦にならないどころか、とても心地いい。もちろん足腰の弱い方、車椅子の方に向けては、美術館前にも駐車場が用意されているのでご安心を。大きなカーブを曲がると、建築家・藤森照信氏が手がけた三角屋根と土色の壁が印象的な建物が見えてくる。屋根は長野県諏訪産の鉄平石を葺き、外壁はワラを混ぜ込んだ塗り壁と地元で育まれた天竜スギ。周囲の景観と調和しつつ、絵本や童話の世界で見るような不思議なぬくもりを漂わせている。
独特な鑑賞スタイルが作品との距離を近づける
秋野画伯は1908年(明治41)、浜松市天竜区二俣町の生まれ。早くから政府主催の展覧会などで実績を積み、画家としての地歩を固めた。転機は54歳のとき。大学の客員教授としてインドに滞在して以来、かの地の風景や人々の暮らしに魅せられ、たびたび訪れては作品を描いた。創作のアイデアを求め、アフガニスタン、ネパール、カンボジア、アフリカなども訪問。2001年(平成13)に93歳で亡くなるまで絵筆を取り続けたという。浜松市秋野不矩美術館ではそんな秋野不矩の作品を展示するが、その鑑賞スタイルは実にユニークだ。最大の特徴は、靴を脱いで鑑賞すること。これは「作品の汚れのなさに土足は似合わない」と考えた藤森氏の発案。夏なら裸足が気持ちいい。
作品、建物、環境が調和し、温かな余韻を残す
第1展示室は長い廊下のような造り。通路をなす籐ゴザによるやさしい凹凸を足の裏に感じながら進むと、穏やかな光で満たされた第2展示室が広がる。床に敷き詰められているのは、あえてマットな質感に仕上げられた大理石。壁の漆喰の白さと相まって、やわらかな開放感を感じさせてくれる空間にいると、気持ちがなめらかになっていく。どちらの展示室も床に座しての鑑賞が想定されている。作品の前に座って時間を忘れることができる、この上なくぜいたくなひとときだ。吹き抜けのホールに戻り、ガラス戸の先のテラスに出れば木々の緑と爽やか風。一転して意匠を変えた2階には企画展示室が配されている。見学を終え、エントランスをあとにすると、正面に開館20周年を記念して藤森氏が設計したお茶室・望矩楼(ぼうくろう)がたたずむ。藤森氏は「イノシシみたい」と語ったそうだが、何に見えるのか語り合うのも楽しい。美術館というと、堅苦しいイメージがあるかもしれないが、こちらは緑豊かな環境や独自の鑑賞スタイルによって、自然体で作品に向き合える。普段あまり美術館に足を運ばない方にも、きっと温かな余韻を残すに違いない。
スポット詳細
- 住所
- 静岡県浜松市天竜区二俣町二俣130 地図
- エリア
- 浜松・浜名湖エリア
- 電話番号
- 0539220315
- 料金
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[所蔵品展]大人310円、高校生150円
[特別展]展覧会ごとに設定 - 駐車場
- あり(50台)
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- あり
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 不可
- 英語メニュー
- あり(英語版パンフレット)
- 平均予算
- 【昼】1-1,000円
- 滞在目安時間
- 30-60分
- 車椅子での入店
- 可
- 乳幼児の入店
- 可
- 雨の日でも楽しめる
- はい
情報提供: ナビタイムジャパン
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クチコミ
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- 大きさ迫力 では とても男は女には敵わない そう ガーン‼と思わされる美術館です。お名前も不矩(本名は平仮名でふく)-矩がない これは「破天荒」という意味もあるそうです、この温かな藤森照信建築に抱かれて…と云うより一見抱かれている風で外から不矩画伯がもっともっと大きくふんわりとこのドデカい建物を造作もなく抱いてらっしゃるという感じ。裸足になって、心は裸になって…いやぁ ヤバイなァ秋野不矩...
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