EDEL WEIN(エーデル ワイン) 直売店「ワインシャトー大迫」

手前がワイナリー直売店。奥の建物は、2階に見学コーナーを併設した醸造施設。ともに入場無料

良いワインは、良いブドウから

岩手の霊峰・早池峰山(はやちねさん)。このふもとに位置するのが、ワイン造りで知られる花巻市大迫。かつては葉タバコの生産地であったものの、1947年(昭和22)のカスリーン台風による甚大な被害があったあとは、丘陵地と冷涼な気候を生かしてブドウ栽培へ転換。さらに、規格外のブドウを活用するためにと始めたのが、ワイン造りだった。そして、1962年(昭和37)に岩手ぶどう酒醸造合資会社を、1974年(昭和49)に株式会社エーデルワインを設立。名前の由来は、可憐な花を咲かせるハヤチネウスユキソウで、アルプスのエーデルワイスに似ていることからつけられたという。創業当時から、岩手県内の良質なブドウだけで醸造しており、今話題の日本ワインの先駆け的存在ともいえる。

周囲にはブドウ畑が広がり、秋になるとたわわに実をつけたブドウが見られる

ワイン専用品種を栽培するブドウ生産者は2021年(令和3)現在で36戸。売店には、ここでしか手に入らない生産者別のワインも

ワインが造られる工程も見学できる

ワインを購入する前に、まずは見学棟へ。館内のパネルでは、ワインの起源やおもなワインの産地紹介をはじめ、赤とロゼと白のワインの仕込み方法、品種による味わいの違いなども、ていねいに解説している。水はけの良い土壌、昼と夜の寒暖差、日差しがまんべんなく当たる丘陵地。大迫がいかにブドウ栽培に適しているのかを改めて実感。大型タンクがズラリと並ぶ醗酵室、オーク樽に入れて寝かせる熟成室、できあがったワインを瓶詰め、ラベリングする様子なども窓越しに見学できる。

窓越しに作業の様子を見られる貯蔵、醗酵コーナー。ブドウの収穫から醸造までの映像も流している

醗酵タンクの中をかき回す作業中。朝と晩に行い、まんべんなく醗酵するように促している

実際にワインが飲めるテイスティングルーム

ワインについて深く学んだあとは、ぜひその味を確かめたい。直売店隣にあるテイスティングルームでは、ここで造られたワインを有料で試飲できる。ブドウの品種違いはもちろん、年代違いもそろえており、その年ごとの味わいを飲み比べるのも楽しい。また、火入れを行わない、蔵出し生ワインもここならでは。1杯100円から飲めるので、ついつい飲み過ぎてしまいそうだ。また、直売店には100種類近くのアイテムがあり、どれにしようか迷うが、ここでしか買えない限定品、国際コンクールでの受賞品はぜひチェックを。企画に合わせたお得な詰め合わせもあり、贈りものやお土産にも最適だ。

明るく爽やかなテイスティングスペース。売店と併設しており、気に入ったワインをすぐに購入できる

この日は、2020年(令和2)の「シルバー・大迫メルロー」が登場。試飲できるワインは月替わりになっている