須賀川牡丹園
国の名勝に指定されたボタンの名所で「百花の王」の魅力に酔う
東京ドーム2つ分。広々とした園内
須賀川市内を歩くと、道路標示板やマンホールなどあちらこちらでボタンの意匠を目にする。牡丹園として全国で唯一、国の名勝に指定されている須賀川牡丹園は、市の象徴的な存在。総面積10万平方メートルの園内に、4月下旬から5月下旬にかけて約290種7000株の大輪のボタンが次々に花開く。それぞれの株に付けられた品種名を見て歩くのも楽しい。さらに須賀川牡丹園で楽しめるのはボタンだけではない。春には桜、チューリップ、芝桜、フジなど、夏にはアジサイ、ユリ、スイレン、秋にはモミジなどの紅葉と寒牡丹、冬にはサザンカと四季折々の顔を見せてくれる。約180本あるというアカマツや、大ケヤキの大樹も見事。冬の初め、アカマツの幹に藁を巻いて害虫から木を守る「こも巻き」は冬の風物詩になっている。
花言葉は「王者の風格」
ボタンは中国原産で、8世紀頃に日本に伝わったとされる。女性を表現するときに「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」というが、実際にはシャクヤクは高さ60cmほどで、樹高1m以上になるボタンのほうが大きい。シャクヤクは草なので茎は細くスラリと伸びるが、ボタンは低木で幹や枝が硬く、枝分かれして横に広がる姿から生まれた言葉といわれる。一方で、ボタンは花の王であることから力の象徴とされ、唐獅子牡丹の刺青など男性らしさを表すときにも使われる。須賀川牡丹園で特に必見のボタンは、樹齢200年を越える古木、そして銀閣寺から来た牡丹だ。京都の銀閣寺境内にある香を楽しむ座敷・弄清亭(ろうせいてい)の襖絵が、須賀川牡丹園のボタンを描いたものであった。これが縁で、2013年(平成25)に須賀川からボタンを贈り、代わりに銀閣寺にあったこのボタンを須賀川で育てることになったそうだ。ちなみに、現在流通しているボタンはシャクヤクを台木にして接ぎ木をした園芸品種が主流だ。
薬草から始まった牡丹園の歴史
1766年(明和3)、須賀川で薬を調合・販売していた伊藤祐倫が、現在の兵庫県宝塚市からボタンの苗を持ち帰り、丘に広がる松林を開墾してボタン栽培を始めた。ボタンの根や樹皮は生薬となり、解熱鎮痛効果があったといわれる。明治時代になって柳沼家が受け継ぎ、薬用から観賞用へと変化する。なかでも柳沼源太郎は、家業を弟に任せて自分は牡丹園の一角に移り住み、寝食を忘れてボタンの栽培に没頭。種類と株数を増やして世界でも屈指の牡丹園を作り上げた。こうして須賀川牡丹園は1932年(昭和7)、国の名勝に指定された。太平洋戦争中には肥料が入手できず、食糧増産政策によって大豆の栽培を余儀なくされて大半のボタンを失ったが、ボタンを愛する大勢の人々の尽力によって戦後、見事に復興している。
ボタンを供養する風流な焚火
「牡丹焚火」は、枯れたボタンの古木や折れた枝を燃やして供養する行事。大正時代、俳人としても活躍していた園主・柳沼源太郎が、親しい俳人らを招いて古木を焚いて供養したのが始まりだという。物哀しくも雅な情景は人々の心をとらえ、いつしか焚火は牡丹園の伝統行事となった。吉川英治の小説『宮本武蔵』にも登場するが、吉川英治自身、2度この地を訪れて焚火に心を動かされたそうだ。また歌人の北原白秋は晩年、目を患って失明の不安を抱えていたときに柳沼源太郎からボタンの枯れ木を贈られ、それを炉にくべて万感胸に迫り、「須賀川の 牡丹の木(ぼく)のめでたきを 炉にくべよちふ 雪ふる夜半に」と詠んだ。俳句歳時記の冬の季語にもなっている牡丹焚火は、毎年11月第3土曜に行われ、俳句大会も同時に開催される。
スポット詳細
- 住所
- 福島県須賀川市牡丹園80-1 地図
- エリア
- 郡山・須賀川・白河エリア
- 電話番号
- 0248732422
- 時間
- 8:30-17:00(17:00に閉門)
- 休業日
- 年末年始
- 料金
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[牡丹開花期(4月中旬-5月末)]大人500円、小人200円
※期間外は無料開園 - 駐車場
- あり(1,300台)
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- あり
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 可(指定場所1箇所のみ)
- 平均予算
- 【昼】1-1,000円
- 滞在目安時間
- 30-60分
- 車椅子での入店
- 可
- 乳幼児の入店
- 可
- ペットの入店
- ペットの入園はお断りさせて頂いてます。
情報提供: ナビタイムジャパン
クチコミ
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- 冬に牡丹は……
- JR東北本線の須賀川にあります。牡丹園では有名です。雪の中に咲く赤い牡丹……かつて高畠で見たことがあるので、同じイメージで出かけてみましたが……今年の暖冬で雪が全くありませんでした。
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- 須賀川市随一の観光地
- 須賀川市にある世界に誇る牡丹の植物園。春夏秋冬どの季節でも美しいですが、やはり、見ごろは5月です。百花繚乱とはこのこと、あまりの美しさに心を奪われます。中国の敦煌市ともぼたんに由来し友好都市になっています。
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- 設備が全体的に古めです
- 自宅の比較的近くにあるため散歩で結構訪れます。園内は自然が多く癒されますが、設備面の古さが目立ちます。特に園内のトイレは古く虫がいることも多いため、利用しづらいかと。
TripAdvisorクチコミ評価
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