国立科学博物館筑波実験植物園

植物園

森林、サバンナ、熱帯のジャングルなど、植物園で世界一周の旅気分

「筑波実験植物園」は、筑波山の南裾に広がる緑ゆたかな自然あふれる植物園で、通称「つくば植物園」。国立科学博物館が植物研究を推進するために設置した「植物の多様性を知る・守る・伝える」研究機関だ。

「中央広場」から見た温室エリア。「サバンナ温室」(左奥)と「熱帯資源植物温室」(右手前)。奥には「熱帯雨林温室」} 「中央広場」から見た温室エリア。「サバンナ温室」(左奥)と「熱帯資源植物温室」(右手前)。奥には「熱帯雨林温室」

屋外展示:自然の生態系をそのまま再現

まず正門横の「教育棟」で「みごろの植物」マップを入手。今まさに旬の植物ベスト3が紹介されているので、これを参考に散策しよう。およそ14万平方メートル(14㏊)の敷地内には3000種類もの植物が公開されていて、季節ごとに何らかの植物が見頃。セコイアとメタセコイアが連なるプロムナードを抜け、散策の起点となる「中央広場」へ。「絶滅危惧種の水生植物」「興味深い進化をとげた植物」「科学の進歩に貢献した植物」「人によって作り出された観賞植物」「宗教や文化と関わりの深い植物」など話題の植物がこの辺りにまとめて植栽されている。植物の研究機関でもある園内は、目的別に「世界の生態区」と「生命を支える多様性区」にエリア分けされている。野外展示の「世界の生態区」は、おもに日本の植物を森あり池ありの生育環境別に区画分けし、自然の景観そのままに再現。園内を一周すれば、フィールドごとに変化する景色と植物が一気に楽しめる。一方「生命を支える多様性区」には人の生活となじみの深い野菜、花、ハーブ、薬用植物などが植えられ、家庭菜園をたしなむ人のオアシスとなっている。

およその東京ドーム3個分の広さの園内には、7000種類を超える植物が栽培され、そのうち約3000種類が公開されている} およその東京ドーム3個分の広さの園内には、7000種類を超える植物が栽培され、そのうち約3000種類が公開されている

「水生植物」エリアは「山間の湿地」「低地の湿地」「高山の湿地」に区分けされている} 「水生植物」エリアは「山間の湿地」「低地の湿地」「高山の湿地」に区分けされている

温室展示:ジャングル、サバンナ、トロピカル

「中央広場」の北側には、気候や目的別の温室が4棟ある。「熱帯雨林温室」は気温・湿度が高く、緑鮮やかな大木が密集して茂りまるで熱帯のジャングルのよう。美しいランや変わったシダが見られ、食虫植物コーナーも常設。道を挟んで向かいの「水生植物温室」はマングローブ林と南国の水辺を再現。「サバンナ温室」は乾燥地域の植物を集めた異国情緒漂うエリア。西部劇の荒野を思わせるワイルドなロックガーデン風の岩に、サボテンをはじめとする多肉植物が巨大な寄せ植えのようにもりもりと育っている。どの植物も厳しい環境に適応するためたくましく進化し、独特の形状をしていて興味深い。隣接の「熱帯資源植物温室」では、バナナやカカオなどのトロピカルフルーツがたくさんの実をつけていて、まるで南国リゾートのよう。どの温室も現地に行かないと見られない珍しい異国の植物が満載で、温室をひととおり巡るとまるで世界一周旅行くらいの充実感がある。

「熱帯雨林温室」の「ショクダイオオコンニャク」。3mにもなる巨大な花序(かじょ)をもち、いつ咲くかわからない不思議な植物} 「熱帯雨林温室」の「ショクダイオオコンニャク」。3mにもなる巨大な花序(かじょ)をもち、いつ咲くかわからない不思議な植物

撮影当日、「サバンナ温室」で見ることができた見頃植物第3位の、大蛇のような長い葉をもつウェルウィッチア・ミラビリス(日本語名「奇想天外」)(撮影日:2022年8月18日)} 撮影当日、「サバンナ温室」で見ることができた見頃植物第3位の、大蛇のような長い葉をもつウェルウィッチア・ミラビリス(日本語名「奇想天外」)(撮影日:2022年8月18日)

撮影当日、「熱帯資源植物温室」で見ることができた見頃植物第1位のバナナの仲間(写真は「仙人蕉」)(撮影日:2022年8月18日)} 撮影当日、「熱帯資源植物温室」で見ることができた見頃植物第1位のバナナの仲間(写真は「仙人蕉」)(撮影日:2022年8月18日)

植物の多様性を守るための「絶滅危惧種」研究

「中央広場」東側の「絶滅危惧植物」エリアと「絶滅危惧植物温室」もぜひ訪れてほしい。ほかのエリアと比べて華やかさは劣るが「植物の多様性を知る・守る・伝える」ことを使命とする筑波実験植物園にとってとても大切なエリアで、ここで多様性消失の象徴ともいえる「絶滅危惧植物」を育て研究し、自然に戻す保全活動などをしている。なぜ絶滅危惧種を保全することが「生物多様性」を守る活動につながるのか。光合成により空気を浄化し、無機物から有機物を作って生態系を支える植物は、地球上のすべての生命の根源であり存在の基盤となる「生産者」。「生物多様性」とは、いろいろな生きものがいろいろな環境のなかで暮らし、お互いつながりながら調和して生きていること。地球上に生息するすべての生命は、直接的・間接的に「生産者」である植物の影響と恩恵を受け、支えあいバランスを保っている。絶滅の危機にある貴重な植物たちを一般公開したうえで、失われつつある「生物多様性」の現状を発信し一人でも多くの人に感心を持ってもらうことが、植物の多様性を守り人類の豊かな未来へとつながるのである。

「絶滅危惧種温室」。保有する絶滅危惧種は500種以上。そのうち150種を園内で観察できる} 「絶滅危惧種温室」。保有する絶滅危惧種は500種以上。そのうち150種を園内で観察できる

五感で学び、自然を感じよう

「筑波実験植物園」は単なる観光植物園ではなく、アカデミックな研究施設。過剰な装飾や演出がない代わりに、知的好奇心を刺激する学術的な解説や専門知識、情報が、まるで宝探しのように広い園内にちりばめられている。実際に自然のなかでフィールドワークをしている感覚で、情報を拾い集め、植物一つひとつに付けられた樹名板や解説パネルを読み解きながら自由な散策を楽しもう。生きた植物が自然に近い状態で育っている生態園だからこそ、自然の仕組みと不思議を肌で体験できる場所でもある。企画展にのみ登場する植物もあるので、お目当てがあればその時期にあわせて訪問するとよい。図鑑や教科書、写真や動画で見た植物の本物に出合い、触れて、においをかいで、五感で身近に植物を感じることで、感性を養い、探求心を育てよう。

園内の植物には樹名板が付いているほか、ランダムに解説やコメント、クイズ、雑学のパネルが設置してあり、リアルな植物を使った植物図鑑のよう} 園内の植物には樹名板が付いているほか、ランダムに解説やコメント、クイズ、雑学のパネルが設置してあり、リアルな植物を使った植物図鑑のよう

スポット詳細

住所
茨城県つくば市天久保4-1-1 map map 地図
電話番号
0298515159
時間
9:00-16:30(最終入園16:00)
※催事によって延長する場合あり
休業日
月(祝の場合は開園)、祝・休日の翌日(土日の場合は開園)、年末年始(12/28-1/4)
料金
【入園料】
[大人]320円
[高校生以下・65歳以上]無料
駐車場
あり(約120台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし(障害者用ストレッチャー等などの充電の場合は使用可能)
喫煙
不可
滞在目安時間
60-120分
車椅子での入店
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 少量多品種の植物園
    5.0 投稿日 : 2021.11.15
    民間のお花畑のような植物園とは異なり、世界中の様々な植物を見ることができる植物園です。特に湿度の異なる温室では、熱帯に生育する珍しい植物を見ることができます。温室内を見るだけでもくまなく見るとかなり時間がかかりますが、園内はとても広いので、時間に余裕をもって、ゆっくり散策するのが良いと思います。
  • 一番は、温室
    5.0 投稿日 : 2021.01.20
    つくばに行くと度々行っています入り口から少し歩くと、温室が見えてきますしかも、1つではありませんいくつかあり、展示ごとに分かれています。ラン系がすきな方や多肉植物が好きな方は、必見
  • 国立科学博物館みどりのパスで入館、国内外の植物が見られる
    5.0 投稿日 : 2020.11.30
    2019年12月中旬に訪れました。国立科学博物館のみどりのパスで入館しましたが、そうでなくても入館料¥320、高校生以下無料と安いです。実験植物園の名の通り一般公開されていない研究区域もあるようですが、それでもかなり広い範囲で展示や植物を見ることができます。イチゴや柿の種類のことや、スタンプラリー式に軽く学べたりして楽しく、熱帯雨林の温室は蒸し暑いですが面白かったです。12月中旬で寒かったですが...

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アクセス

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