石段街
伊香保温泉のシンボル。365段の階段
昭和の大改修で現在の姿に
伊香保温泉の石段には大きな役割がある。1576年(天正4)、湯元から温泉を引き、石段を造って中央に湯樋を伏せ、左右に立ち並ぶ温泉宿に引湯して経営を支えた。今の伊香保温泉があるのは石段のお陰といっても過言ではない。しかし形あるものは歳月とともに朽ちていく。現在の石段は1980年(昭和55)から5年かけて大改修を行い、御影石を敷き詰めた美しい姿に様変わりさせたもの。さらに2010年(平成22)には、「1年365日賑わうように」との願いを込め、段数を追加して365段に。広場や温泉が流れる湯滝なども増設した。
伊香保温泉の石段は創設当時の存在感を残しつつ、ニュアンスチェンジしているのだ。
伊香保神社へ向かって一歩一歩
石段の最下段付近にある有料駐車場に車を止め、365段を登ってみた。登った先には伊香保神社がある。石段が丸ごと、ご利益のある参道のようだ。まず右手に現れるのは伊香保関所と石段の湯。この辺りは道幅が広い。上に登っていくにつれ、狭くなっていく。少し進むと「大弓と射的 柳香軒」と書かれた看板を発見。約50年の歴史をもつ店で、大きな弓で矢を射る大弓と、コルクの玉を詰めた鉄砲で景品を落とす射的を楽しめる。階段には所どころ「〇段/365」というプレートが付いているため、今、自分がどの辺りにいるのかわかるのは励みになる。千明仁泉亭の風情ある建物を過ぎた辺りから4か所の「小間口(こまぐち)」が現れる。これは湯元から流れる源泉を分岐させているポイント。ガラス越しに温泉が流れている様子を見ることができる。
与謝野晶子の詩や足湯も
200段付近には11段にわたって与謝野晶子の詩「伊香保の街」が刻まれている。大正初期の伊香保の光景を描いた詩だ。さらに進むと、岸権旅館が運営する足湯「辰の湯」が登場。疲れた足に黄金色の温泉がしみる。しかし、なぜ辰なのか。江戸時代、伊香保には石段街の左右に「大屋」と呼ばれる12軒の温泉宿があった。幕府はその12軒に十二支を名づけ、明治維新まで年番で名主や伊香保関所の役人を務めさせていたそうだ。石段街には当時の大屋の屋敷跡にそれぞれの十二支のプレートが埋め込まれている。散策がてら探してみるのもいいだろう。そろそろ頂上といった辺りで、おもしろいグルメを見つけた。その名は「湯乃花ソフトクリーム」。「処々(ここ)や」が、温泉まんじゅうの老舗「勝月堂」とコラボレーションした商品だ。ソフトクリームに、フレーク状に加工した勝月堂のまんじゅうをトッピング。さくさくの食感とアイスとあんこが混ざり合った独特の風味を楽しめる。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン