道後ぎやまんガラスミュージアム

美術館

煌めく和ガラスを展示するガーデンのなかのミュージアム

水と緑あふれる庭園に囲まれた道後ぎやまんガラスミュージアム。道後温泉本館の振鷺閣(しんろかく)に使用されている赤い板ガラスをはじめ、希少な江戸時代のぎやまんやびいどろ、明治・大正時代のガラス工芸品など西日本最多の約300点を展示している。

セルリアンブルーの吹きグラス(明治-大正時代)。深みのある青の色合いは酸化銅によるもの} セルリアンブルーの吹きグラス(明治-大正時代)。深みのある青の色合いは酸化銅によるもの

水と緑があふれる庭園のなかに造られたアートスペース

道後温泉本館から歩いて3分ほどの少し高台にあるのが、道後ぎやまんガラスミュージアムだ。ガーデン、カフェダイニングや結婚式場もある「山の手ガーデンプレイス」の一角にあり、車でもアクセス可能。50台分の無料駐車場横にある門から入場すると、目の前には水と緑に囲まれた美しいガーデンが広がる。池の周りには、道後温泉本館に立つ白鷺をモチーフにしたガラス製の白鷺のオブジェが飾られていることにも注目したい。ガーデン横のデッキを進むと、ミュージアムの入り口に至る。受付を済ませ、階下に下りたところがミュージアムだ。赤と黒を基調にしたモダンな造りの館内には、道後温泉のシンボル「振鷺閣」に使われている赤いぎやまんガラスに代表されるような江戸時代のぎやまんから、明治・大正時代の貴重なガラスまで西日本最多の約300点がコレクションされている。

白鷺のガラスオブジェがある水と緑のガーデンは入場無料。夜にはライトアップされ、昼とは違った幻想的な美しさが広がる} 白鷺のガラスオブジェがある水と緑のガーデンは入場無料。夜にはライトアップされ、昼とは違った幻想的な美しさが広がる

道後温泉本館とぎやまんガラスの歴史

道後温泉本館は、1894年(明治27)、当時の道後湯之町町長・伊佐庭如矢(いさにわゆきや)によって改築された。その際、この伝統的和風建築に道後の街発展の夢を託し、西洋文化の象徴として採用されたのが、当時人々の憧れだったガラスであった。1階には赤・青・黄の色ガラスが市松模様にはめ込まれ、三層楼(さんそうろう)の屋上にある振鷺閣の障子窓には赤いぎやまんガラスがはめ込まれた。この赤いぎやまんガラスがルーツとなって2010年(平成22)、「道後ぎやまんミュージアム」は誕生した。「ぎやまん」「びいどろ」とは、ガラスの古い呼び方のこと。「びいどろ」は、ポルトガル語でガラスを意味するVidro(ヴィードロ)が語源で江戸時代の薄い吹きガラスを指す。「ぎやまん」の語源もポルトガル語で金剛石(ダイヤモンド)を意味するDiamante(ディアマンテ)やオランダ語のDiamant(ディアマント)。ガラスを切るのに金剛石を用いたことからおもにカットガラス、無色のガラスや厚みのあるガラスを指す。ぎやまんやびいどろは、時が経つにつれ近世日本の職人が技術と粋を凝らして作り上げた「和ガラス」へと変遷した。道後ぎやまんガラスミュージアムでは、その変遷を見てとることができる。

赤と黒を基調にしたモダンな造りの館内} 赤と黒を基調にしたモダンな造りの館内

世界に誇る日本独自の美をもったガラス工芸品にうっとり

館内には、江戸から大正期までのガラス工芸品が整然と並ぶ。江戸時代に日本で作られていたガラス器は、素材が鉛ガラスで、技法は吹きガラスであった。展示されているびいどろを見れば、鉛が多く含まれているため無色のガラスを作ることができず、薄い黄緑色や黄色の発色をしている特徴がわかる。徳利、器、煙管や虫籠など手に取るだけで壊れてしまいそうなほど薄く儚げなびいどろには、日本人の感性や美意識が色濃く表現されている。明治時代になると、西欧文化の流入によってガラスによる石油ランプが日本にもたらされ、生活の必需品となっていった。その後、板ガラスの商品化が国内で可能となり、ガラス生産額は急増。大正後期から昭和にかけては、原材料の向上や新しい消色剤の登場により透明なガラスが、電気が普及したことによりカットガラス製品が作られるようになった。こうした生産技術向上のなかで特に目をひくのは、氷コップやコンポートなどの色鮮やかで華やかなガラス器だ。被せ、色ぼかし、糸巻き、かきあげ、あぶり出しといったさまざまな技巧を凝らしたバリエーション豊かな作品が展示されている。

紫色梅鶯蒔絵(まきえ)徳利(江戸時代)。ずっしりとして樹齢を感じる老梅にウグイスを配した図柄は銀箔を漆で接着して表されている} 紫色梅鶯蒔絵(まきえ)徳利(江戸時代)。ずっしりとして樹齢を感じる老梅にウグイスを配した図柄は銀箔を漆で接着して表されている

明治から大正時代に庶民に長く愛用された小型石油ランプ「豆ランプ(時計)」} 明治から大正時代に庶民に長く愛用された小型石油ランプ「豆ランプ(時計)」

石油ランプに代わって大正期には電燈笠が登場。光の反射率を高める「石笠(いしがさ)」という乳白ガラスがよく使われた} 石油ランプに代わって大正期には電燈笠が登場。光の反射率を高める「石笠(いしがさ)」という乳白ガラスがよく使われた

大正時代の氷コップ。大正期に入って色ガラスの技術が発展するにつれ、カラフルな氷コップや小鉢が大量に作られるようになった} 大正時代の氷コップ。大正期に入って色ガラスの技術が発展するにつれ、カラフルな氷コップや小鉢が大量に作られるようになった

ガラスを透過した光と形や道後温泉本館の赤いぎやまんも必見

当時の職人が工夫を凝らして創り上げた作品は実にユニークで、いつまでも眺めていたくなる。訪れた際には、そんなガラス作品のフォルムや細工そのものだけでなく、ガラスを透過した光の色や形も堪能してほしい。光の反射を演出した展示により、その美しい光や形にも思わず見入ってしまうはずだ。また、道後温泉本館の象徴、振鷺閣に使用されている赤いぎやまんが見られるのもここならでは。西洋から伝来し、日本の伝統技術に磨かれ、芸術品へと昇華した貴重なガラス工芸品の数々を心ゆくまで堪能しよう。ミュージアムを出たあとは、ガーデンを眺めながら食事のできる創作料理「葉山茶寮」(2022年12月現在改装工事のため休業中)で優雅にくつろぐのもおすすめだ。

道後温泉本館の振鷺閣に使用されている赤い板ガラスが特別展示されている} 道後温泉本館の振鷺閣に使用されている赤い板ガラスが特別展示されている

スポット詳細

住所
愛媛県松山市道後鷺谷町459-1 山の手ガーデンプレイス内 map map 地図
電話番号
0899333637
時間
9:00-18:00(最終入館17:30)
休業日
年中無休
料金
【入館料】
[大人(高校生以上)]800円
[高齢者(65歳以上)・障害者/介護者]700円
[小人(中学生)]550円
※小学生以下は無料
駐車場
あり(50台)
※無料
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、銀聯)
Wi-Fi
あり
喫煙
不可
英語メニュー
あり
車椅子での入店
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 美しいガラスの影
    3.0 投稿日 : 2022.04.01
    道後温泉駅から徒歩10分弱。「山の手マリアージュガーデン」というレストランの地下にある。入館料は650円。観光地にはガラス、オルゴール、昭和レトロの博物館が多いが、それだけ安定した集客を見込めるコンテンツということであろう。ここもそんな博物館の一つだが、道後温泉本館・振鷺閣に赤い板ガラスが用いられているからという理由があるようだ。展示されているのは江戸-大正に作られたガラス製品が中心。透明なもの...
  • イマイチです
    2.0 投稿日 : 2022.02.28
    想像よりずっと小規模で、展示品は個人の価値観があるとは思いますが、私にとっては一人650円の価値は見出せなかったです。入口周辺は夕暮れから雰囲気が良いです。
  • 結婚式場の中にある
    2.0 投稿日 : 2021.01.12
    閉館前に駆け込みました。600円の入場料は、高いかな?と思う展示のないようでした。芸術的に価値のあるものはないような気がします。

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アクセス

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