なかむら

メニューにはいろいろあるが、麺と出汁をシンプルに味わうならコレ。「かけうどん小」250円

セルフスタイルの人気店

香川県内に約650軒あるといわれるうどん店。人口1人あたりの店舗数はもちろん全国1位で、昼食は毎日うどんを食べるという県民もいるほどだ。そんな香川のうどん店には大きく2つのスタイルがあり、1つは席に着いて注文し、席まで料理が運ばれてくるフルサービスの一般店、そしてもう1つがトッピングなどを自由に選びながら自分で席まで運んでいくセルフ店だ。なかむらはセルフ店のなかでも完全セルフと呼ばれるスタイルで、最初に麺だけを受け取ったら自分で麺を温め、天ぷらを選んで会計を済ませ、最後にかけ出汁も自分でかけて薬味をトッピングして席に着くという流れ。食べ終わった食器も自分で返却口まで戻すのが基本ルールだ。初めて訪れたときはその流れにとまどうかもしれないが、わからないことがあれば遠慮なく店のスタッフに聞いてみよう。

好きな天ぷらを自分で取る。人気は王道のちくわ天や、香川らしいえび天

自分好みに調整できるのがセルフの魅力

入り口のカウンターで丼に入った麺だけを受け取ったら、冷たい麺がいい人はそのまま、温かいうどんが食べたければ自分で釜のお湯で温める。天ぷらは何を選んでもいいし、かけ出汁の量も薬味の種類もお好みで。そんなふうに自分好みにカスタマイズできるのがセルフ店の醍醐味の1つだ。なかむらはそれに加え、通常のテーブル席のほかにタープを張った屋外席もあり、外の空気を感じながら食事ができるのも魅力。店の北東には讃岐のシンボル「飯野山」を望むのどかなロケーションも相まって、讃岐らしさをより肌で感じることができるだろう。GWなど大型連休は行列ができるが、席数が多く回転も速いので行列の長さのわりに待ち時間は少ないと感じるはずだ。1日に提供できる玉数が限られているため、連休中は早い時間に売り切れて閉店する場合もあるので早めに訪れたい。

暖簾のかかった建物の奥に見えるのが飯野山

動線を最小限にした店内。ここで注文から精算までを済ませて、別棟の客席へ

屋根と日よけタープが設置された屋外席は開放感バツグン

讃岐うどんには珍しい細麺が特徴

1971年(昭和46)創業、現在3代目が腕を振るうなかむらは、2代目の時代から今のような細麺のうどんを出すように。「讃岐うどんといえば力強い太麺」というイメージを持っている人はきっとその繊細な麺に驚くだろう。だが、細くてやわらかいといってもそこは讃岐うどん、箸で持ち上げて切れるようなやわらかさではない。口あたりはやさしく、でも粘りと弾力のあるこの麺が、なかむらの最大の特徴といえるだろう。その麺にあわせるのは、さば節とウルメに薄口醤油で味付けした透き通ったかけ出汁。色は薄いのにしっかりとうまみが含まれていて、麺の繊細な味わいを引き立てている。レジの横では3代目が次々と麺を伸ばし、切った麺を釜で茹でていく。よく見れば足元ではうどんの生地を踏んでいることも。この足踏み・手打ちが、細くても弾力のあるおいしい麺を作り出している。

こちらも人気の「釜たま小」310円。香川らしい、エビのすり身をさつま揚げのように揚げた「えび天」120円もぜひ

目の前でどんどん麺が茹で上げられていく

讃岐うどん激戦区で人気店をハシゴ

香川県内全域に讃岐うどんの店があるが、そのなかでも丸亀を中心とするエリアには特徴のある有名店や人気店が多く、何軒かハシゴで楽しむ人も多い。そういう意味でなかむらの細いうどんはスルスルと食べやすく、ハシゴにはぴったりだといえるだろう。うどん以外の観光を楽しむなら、石垣の名城といわれる丸亀城を散策したり、伝統工芸品「丸亀うちわ」の歴史を伝えるうちわの港ミュージアムで、うちわ作り体験をするのもいいだろう。また、雄大な瀬戸大橋を間近に見られる瀬戸大橋記念公園や、「こんぴらさん」の愛称で親しまれる金刀比羅宮や、四国唯一の国営公園、国営讃岐まんのう公園へも20分程度。県内の有名な観光地にアクセスしやすい場所なので、一日じっくりエリアを満喫してほしい。