明屋海岸
「女神のお産伝説」が残り、珍しいハート形の洞穴が見られる
隠岐の海景色といえば、島前(どうぜん)西ノ島の「国賀海岸」や知夫里(ちぶり)島の「赤壁」、島後(どうご)の「ローソク島」などが有名だが、島前の中ノ島にも見逃せない海の景勝地がある。それが島の北東部に位置し、海食崖や海食洞が約1kmにわたって続く明屋海岸だ。そこで注目されるのが屏風岩で、若者のあいだでは「ハート岩」とも呼ばれている。そそり立つ岩にハート形にくりぬかれた洞穴がぽっかり開き、特にカップルに人気がある。伝承では、西ノ島の比奈麻治比賣命(ひなまじひめみこと)が中ノ島の宇受賀命(うづかみこと)の子「柳井姫(奈伎良比賣 なぎらひめ の別称)」を産んだ場所とされ、「産屋が明けた」ことから明屋と呼ばれるようになったという。また、比奈麻治比賣命がお産の際に使用した屏風とたらいが、それぞれ「屏風岩」「タライ岩」になったといわれている。この伝承の神々は「記紀」に登場しない「島の神」だが、これらの神々を祀る3社は創建年代が不詳で、すべて平安時代の「延喜式」式内社に列せられる由緒ある古社だ。遠い「神代」に思いを馳せて「ハート形の岩」を眺めれば、また違った景色が心に映し出されることだろう。
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情報提供: ナビタイムジャパン