津和野殿町通り
美しい白壁が続き、掘割に鯉が泳ぐ津和野のシンボル通り
「津和野らしい風景」がここにある
「山陰の小京都」津和野といえば、白壁土塀が続く街並みと掘割に鯉が群れ泳ぐ風景を思い浮かべるに違いない。その「津和野らしい風景」を見られる場所が殿町通りで、津和野観光の中心となっている。「殿町」の名が表すように、ここには藩校や家老屋敷が立ち並び、津和野藩の上級武士が集まる城下町の中核的な地区だった。往時の姿を今にとどめ、通り沿いにはどこまでも美しい白壁が続く。整然として凛とした端正なたたずまいで、透明な空気感がある。ここでは「町並み」ではなく、「街並み」という言葉がふさわしい。数ある「重要伝統的建造物群保存地区」のなかでも、こういう場所は珍しい。鯉が群れ泳ぐ掘割は、初夏に白や紫のハナショウブが白壁を彩り、殿町通りに風趣を添える。
津和野の歴史と文化に思いを馳せる
殿町通りの散策は、津和野川に架かる津和野橋のたもとから歩きたい。近くに殿町駐車場があるので、マイカーで訪れるにも便利だ。まっすぐ続く殿町通りを見通せば、石畳の通りの両側に白壁がどこまでも続き、壮観のひと言に尽きる。通りに入ってすぐ右手には、1872年(明治5)まで津和野の文化、人材育成の中心となっていた津和野藩の藩校「養老館」跡(県指定史跡)がある。文豪・森鴎外(もりおうがい)や、日本近代哲学の祖・西周(にしあまね)など、多くの偉人がここで学んだ。その向かいには、津和野藩の筆頭家老を務めた多胡家の表門(県指定文化財)が往時の面影を伝えている。並びにある大岡家老門の奥に立つレトロな木造建築は「津和野町役場津和野庁舎」で、今でも現役だ。さらに白壁が続く石畳道を行けば、「津和野カトリック教会」のとんがり屋根が見えてくる。向かい側の石州赤瓦のなまこ壁は、家老屋敷を食事処にした「沙羅の木松韻亭(さらのきしょういんてい)」。殿町通りで唯一の食事処で、カフェや土産店を併設している。津和野大橋から沙羅の木までは約250m。殿町通りのそぞろ歩きを楽しんだら、ここでほっとひと息つくのがおすすめだ。
殿町通りに続く「本町通り」界隈も訪ねたい
沙羅の木が立つ交差点から殿町通りの先へと「本町通り」が続く。「本町」の名が表すように、古くから津和野のメインストリートだった通りだ。石畳の道であるのも「重要伝統的建造物群保存地区」であるのも殿町通りと同じだが、こちらはうって変わって古い商家が軒を並べる商店街で、「町並み」という言葉がよく似合う。ここには藩の御用商人だった分銅屋(ふんどうや)、江戸時代から続く造り酒屋や呉服屋をはじめ、昔ながらの構えの老舗商家が残るいっぽう、和菓子屋や土産店、カフェなどもある。また、本町通りの周辺には、「新丁通り」「万町通り」「今市通り」「魚町通り」など、ゆかしい町並みが広がる。津和野の城下町歩きは殿町通りだけでなく、この本町通り界隈へも訪れてこそ値打ちがあるというものだ。さらに「日本100名城」の津和野城跡や、養老館に学んだ森鴎外や西周の旧居なども訪ねたならば、津和野の旅がいっそう印象深い思い出になるだろう。
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情報提供: ナビタイムジャパン