御手洗の町並み

伝統的町並み/家並み

瀬戸内の島の風情もゆかしい「風待ち、潮待ち」の港町

瀬戸内海の芸予(げいよ)諸島の大崎下島(おおさきしもじま)にある御手洗は、江戸時代に北前船(きたまえぶね)の寄港地として栄えた港町。「安芸灘とびしま海道」の開通でアクセスが便利になり、風情豊かな「風待ち、潮待ち」の港町として注目を集めている。

町並み保存地区の中心「常磐町通り」。狭い小路に古い家並みがぎっしり立ち並び、見知らぬ町を探検する気分で散策を楽しめる} 町並み保存地区の中心「常磐町通り」。狭い小路に古い家並みがぎっしり立ち並び、見知らぬ町を探検する気分で散策を楽しめる

人気映画のロケ地としても注目される

大小数百という島々を、瀬戸内海に浮かべる芸予諸島。そのほぼ中央に位置する大崎下島に、かつて北前船の寄港地として栄えた御手洗がある。岡村島を対岸に望み、風情豊かな古い町並みを残す港町で、1994年(平成6)には「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された。そして2008年(平成20)、「安芸灘とびしま海道」の開通によって大崎下島が本州と地続きとなり、瀬戸内の美しい風景に包まれた「風待ち、潮待ち」の港町・御手洗に、遠方から多くの観光客が訪れるようになった。そして2018年(平成30)には、「北前船とともに栄えた港町」の構成要素のひとつとして、全国各地の関係遺産とともに「日本遺産」に選定。さらに2021年(令和3)には、広島を舞台とし、アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞した村上春樹原作・濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』のロケ地として、いっそう脚光を浴びることとなった。

海辺に並ぶ三軒長屋の船宿跡が、往時の港町風情を今に伝える} 海辺に並ぶ三軒長屋の船宿跡が、往時の港町風情を今に伝える

お茶屋跡が華やかな往時を今に伝える

瀬戸内航路は海運が盛んになった平安時代から開かれていたが、「天下の台所」大坂と蝦夷地、東北、北陸、山陰地方を結ぶ「北前船」による物資輸送の大動脈として、飛躍的に発展したのは江戸時代のこと。往時の船は島伝いに沖合をいく「沖乗り」の帆船で、それらの船が「風待ち、潮待ち」のため寄港する港町が、瀬戸内海の各所に形成されていった。そのひとつが、17世紀中頃から天然の良港として急速に発展し、昭和の初期にいたるまで瀬戸内航路の中継港として栄えた港町・御手洗だ。そこには商家や船宿などが立ち並び、波止場や石垣の護岸、高燈籠(たかとうろう)や雁木などが往時の面影を残す。また、人と情報が集まる港町である御手洗は、お茶屋が集まる花街でもあった。御手洗で最大のお茶屋「若胡子屋(わかえびすや)」は、最盛期にお抱え遊女が100人に及んだといわれ、隆盛を極めた御手洗の繁栄ぶりを物語っている。

港には、江戸時代に造られた石の高燈籠が立つ。北前船が往来したありさまをほうふつとさせる} 港には、江戸時代に造られた石の高燈籠が立つ。北前船が往来したありさまをほうふつとさせる

右手が御手洗で最大のお茶屋の若胡子屋。土塀には薩摩から持ち帰った桜島の溶岩が練り込まれ、座敷の天井には屋久杉が用いられたという} 右手が御手洗で最大のお茶屋の若胡子屋。土塀には薩摩から持ち帰った桜島の溶岩が練り込まれ、座敷の天井には屋久杉が用いられたという

町角で懐かしい風景に出合える

「御手洗」はまた、古い伝承を残す地でもある。神功(じんぐう)皇后が三韓侵攻の際この地で手を洗ったことから、「御手洗」と呼ばれるようになったという。さらに901年(昌泰4)に菅原道真が大宰府に左遷されたとき、九州に向かう途中でこの地に船を着け、ここで手を洗い、祈ったとも伝わる。そして、手を洗ったとされる井戸の傍らに天満宮が祀られ、「菅公御手洗いの井戸」と呼ばれて信仰を集めている。また御手洗では、江戸時代の往時を伝える町並みだけではなく、町角のあちらこちらで懐かしい昭和時代にタイムスリップした気分になれる風景に出合える。山を背にした狭い土地に開かれた「島の港町」には、小路が縦横にめぐり、見どころが点在。この先にはどういう光景が待っているのか、わくわく気分で散策を楽しめる。この御手洗がある大崎下島へは、呉方面から「安芸灘とびしま海道」で島伝いに橋を渡ってアクセスするのが一般的だが、公共交通機関で旅をするなら、竹原から高速船が利用できる。

昭和30年代まで映画館として利用されていた「乙女座」。館内は昭和初期の演劇場の趣に復元されている} 昭和30年代まで映画館として利用されていた「乙女座」。館内は昭和初期の演劇場の趣に復元されている

清涼飲料水のテレビCMのシーンに登場して有名になった平野理容院は「現役の散髪屋」だ} 清涼飲料水のテレビCMのシーンに登場して有名になった平野理容院は「現役の散髪屋」だ

1858年(安政5)頃から時計の扱いを始め、日本一古い時計店といわれている新光時計店。今でも時計の修理や販売を行っている} 1858年(安政5)頃から時計の扱いを始め、日本一古い時計店といわれている新光時計店。今でも時計の修理や販売を行っている

豊臣秀吉が四国遠征の際に加藤清正に造らせた満舟(まんしゅう)寺の石垣も、アニメや映画のロケ地として知られる} 豊臣秀吉が四国遠征の際に加藤清正に造らせた満舟(まんしゅう)寺の石垣も、アニメや映画のロケ地として知られる

スポット詳細

住所
広島県呉市豊町御手洗 map map 地図
電話番号
0823672278
時間
[文化施設]9:00-16:30
休業日
[文化施設]火
料金
[乙女座のみ入館料]200円
※団体(20名から)160円
駐車場
有(20台)
クレジットカード
不可

情報提供: ナビタイムジャパン

アクセス

map map 地図

最寄り

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