太宰治記念館「斜陽館」

記念館

太宰治が幼少期を過ごした津島家の豪邸

金木町に残る、小説『津軽』で知られる太宰治の生家。1907年(明治40)に建てられ、1998年(平成10)からは、太宰治記念館「斜陽館」として活用。全国から多くの太宰ファンが訪れている。

建築材に日本三大美林のヒバをふんだんに使った太宰治記念館「斜陽館」} 建築材に日本三大美林のヒバをふんだんに使った太宰治記念館「斜陽館」

生家はまるで城のようなたたずまい

国の重要文化財に指定されているこの建物の名前は、太宰治の作品『斜陽』から名づけられた。周囲を高さ4mの赤れんが塀で囲ったこの建物は、太宰の父であり、大地主だった津島源右衛門が建てたもの。当時経営していた金融業の店舗と住宅を兼ねた建物で、青森県産のヒバをふんだんに使用した和洋折衷の入母屋造り。母屋、米蔵、庭園などを合わせると総面積は約2248平方メートルもあり、さらに宅地の裏には広大な畑地が続いていたという。1階11室、2階8室というこの豪邸は、まるでこの町の城。赤い大屋根は、数十km先の津軽平野からも見えたのだとか。太宰は、父源右衛門はじめ兄弟や奉公人など、30人もの大家族でここに暮らし、旧制青森中学に進学するまでの13年間をこの家で過ごした。

かつてこの広大な土間に小作米の俵が運ばれ、積み上げられていたそう} かつてこの広大な土間に小作米の俵が運ばれ、積み上げられていたそう

太宰文学が生まれる背景となった豪邸

建物に一歩足を館に踏み入れると、「通り土間」と呼ばれる広々とした土間と座敷が目に入る。太宰が暮らした当時、ここには多くの政界人、財界人、文人墨客たちなどが訪れ、秋になると近隣の小作人たちが列をなして、蔵へ米俵を運び込んだという。土間に続く仏間、客間、居間は、襖(ふすま)を開け放つと大宴会場に。2階へと続く光沢を放つ階段は、当時の洋風建築に見られたような、ロココ調でモダンな雰囲気を醸し出している。こんな広壮な家で生まれ育った太宰だが、本人はここに自分の居場所がないと感じていたようだ。後年、太宰治は『苦悩の年鑑』で「この父は、ひどく大きい家を建てた。風情も何も無い」と述べている。

仏間に続く部屋の襖を開けるとこの広さ。ここに財界人を招いた} 仏間に続く部屋の襖を開けるとこの広さ。ここに財界人を招いた

階段の建築材はケヤキ。奥が金融業店舗の執務室となっている} 階段の建築材はケヤキ。奥が金融業店舗の執務室となっている

個人の邸宅から旅館、そして記念館へ

1950年(昭和25)以降、この建物は旅館「斜陽館」として営業されていた。1996年(平成8)、旧金木町がそれを買い取り、2年後に現在の記念館に。広大な土間の奥には、その旅館時代に喫茶厨房だったところが休憩室になっている。また、太宰が愛用した文机や小説などが展示され、二重回しマントを着用しての記念撮影もできる。さらに奥へ進むと、大きな内蔵が3つあり、その蔵のひとつが展示室。居住当時の調度品や小説の初版本、川端康成や兄・文治との書簡など、約300点の貴重な資料が展示されているので必見だ。各スポットには説明書きのプレートとスマートフォンで利用できる音声ガイドもある。説明を聞きながら見学すると、この豪邸で生まれ育ちながら、大地主と小作人の格差を目の当たりにし、複雑な思いを抱えていた太宰の少年期が目に浮かぶ。そして、こんな背景があったからこそ太宰文学が生まれたのかも知れない。

土間から続く内蔵のひとつである文庫蔵が展示室となっている} 土間から続く内蔵のひとつである文庫蔵が展示室となっている

記念撮影用の二重回しマント。自由に着用できる} 記念撮影用の二重回しマント。自由に着用できる

かつて旅館だった頃の喫茶厨房。今は休憩室に} かつて旅館だった頃の喫茶厨房。今は休憩室に

スポット詳細

住所
青森県五所川原市金木町朝日山412-1 map map 地図
電話番号
0173532020
時間
9:00-17:00(最終入館16:30)
休業日
12/29
料金
【入館料】
[大人]600円
[高・大学生]400円
[小・中学生]250円

【津軽三味線会館との共通券】
[大人]1,000円
[高・大学生]600円
[小・中学生]400円
※津軽三味線会館は12-3月休館
駐車場
あり(50台、バス4台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり(多言語音声ガイド、多言語説明板)
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
30-60分
車椅子での入店
可(土間まで)
乳幼児の入店
ペットの入店
不可(盲導犬のみ土間まで入館可)
備考
※補助犬のみ土間まで入館可能

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 近代和風住宅の代表例の重文
    5.0 投稿日 : 2022.09.07
    個人的に言えば、太宰にはたいして思い入れはなかったが、単純に明治末期から大正、戦前にかけて作られた地方の大地主の邸宅とみても、とても興味深い建物だ。津島家は近年に至るまで国会議員(今でもいたらごめんなさい)を輩出した青森県の名門だが、地主とすると結構新興の部類だとか。外見は煉瓦塀に囲まれ、ちょっと洋風の趣もある。しかし、玄関を入ると日本的な古くからの地主の邸宅。その一方で階段は西洋風な雰囲気があり...
  • 結構広い
    4.0 投稿日 : 2022.08.25
    太宰治の生家です。内部に入ることが出来ます。愛用のマントを着て写真撮影も出来ます。家は結構広く様々な展示物があり楽しめました。
  • 豪華な太宰の生家。
    4.0 投稿日 : 2022.07.09
    五所川原に来たなら、大体の人が訪れるのではないでしょうか。五所川原で津軽鉄道に乗り換えないといけませんが、電車もノスタルジーな雰囲気なので、楽しく行けると思います。金木駅より10分弱。見事な豪邸。あの文豪、太宰治が育ったところです。中も有料ですが見学することができます。襖、階段にお仏壇…。豪華でした。太宰治の資料館というわけではないので、太宰を感じることはあんまりできませんが、ちょっとは楽しめ...

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