山居倉庫

湊酒田の歴史を伝える米倉庫群とケヤキ並木

かつて北廻り航路で繁栄を極めた港町酒田。季節とともに表情が移ろうケヤキ並木に囲まれた倉庫群は、その佇まいに今はその歴史を伝えている。ほのかに香る潮風を感じながら散策すれば、当時の面影が目に浮かぶ。

ケヤキ並木の続く山居倉庫の西側は人気のフォトスポット

JR酒田駅から徒歩約25分。酒田市街地を流れる新井田川(にいだがわ)の川沿いにある。ケヤキ並木が美しい12棟の「山居倉庫」は、1893年(明治26)建築。手前2棟の「酒田夢の倶楽(さかたゆめのくら)」には地元の名産品が揃う土産店やレストラン、酒田の歴史と文化を伝える展示施設がある。間の9棟は、農業倉庫として2022年(令和4)まで活躍。また、いちばん奥の棟は、庄内米の歴史を紹介する庄内米歴史資料館として活用されている。NHK朝の連続テレビ小説『おしん』のロケーション舞台としても有名で、2021年(令和3)には国指定史跡に認定されている。

山居倉庫前の新井田川(にいだがわ)に架かる山居橋

「酒田夢の倶楽」には食事処やファストフードコーナー、土産店が並ぶ

山居倉庫は1893年(明治26)、旧庄内藩主酒井家が主体となって行った事業で酒田米穀取引所の付属倉庫として建てられた。船の積み下ろしに便利な最上川と新井田川(にいだがわ)に挟まれた通称「山居島(さんきょじま)」に建てたのが名前の由来である。屋根は断熱を考慮した二重構造で、土間にはにがりを練り固めて湿気防止対策をしている。景観をひき立てるケヤキ並木は、夏の西日や強風を防ぎ、倉庫内の温度を一定に保つ目的で植えられた。山居倉庫が長年に渡り米倉庫として活躍し続けてこられたのは、こうした設計と造りによるものといわれている。山居倉庫に行ったら注目したいポイントだ。

1893年(明治26)建造の米保管倉庫は全12棟ある

山居倉庫のいちばん奥の棟にある庄内米歴史資料館は、山居倉庫や米の歴史、農家の暮らしなどを、模型や展示パネル、体験コーナーを取り入れながらわかりやすく紹介している展示施設。なかでも必見は、1つ60kgの米俵を背負って船に運んでいた女丁持(おんなちょうもち)の展示コーナーだ。展示されている5俵かつぎの写真は観光用に撮影されたもので、実際は5俵の内2俵はモミガラが入っていたとのことだが、一瞬であっても5俵300kgをかついだ女性がいたことも事実で、昔の女性は足腰が強く力持ちであったことがうかがえる。米俵かつぎの体験コーナーもあるので、30kgと60kgの米俵かつぎにチャレンジしてみては。

倉庫の裏手にある「三居稲荷神社(さんきょいなりじんじゃ)」は、山居倉庫を建てた翌1894年(明治27)、もとからあった山居稲荷神社に、江戸の旧藩主酒井邸に祀られていた太郎稲荷と禎祥稲荷(ていしょういなり)の二社を合祀して改名したもの。以来、地域の豊穣を守り続ける神社として人々の信仰を集めてきたという。木彫りの龍や狛犬、お社の中にかけられた絵など、実は見どころも多く、神殿前に向かい合って台座している白い狐は、向かって右側の狐には宝珠が頭に載り、左側の狐は鍵を口にくわえている。その表情にも愛嬌があるので、立ち寄った際にはぜひ拝んでほしい。

三居稲荷神社は倉庫鎮守の神として敬われている

スポット詳細

住所: 山形県酒田市山居町1-1-20 地図
エリア: 庄内エリア（北）
電話番号: 0234242233
時間: [倉庫外観]
常時見学可(日没-22:00までライトアップ)

[山居倉庫「酒田夢の倶楽」]
9:00-17:00(12月-2月は16:30まで)

[庄内米歴史資料館]
9:00-17:00(12月は16:30まで)
休業日: [山居倉庫「酒田夢の倶楽」]
1/1

[庄内米歴史資料館]
12/29-2月末日
料金: [庄内米歴史資料館]
大人300円、中高生200円、小学生150円

※20名以上の団体で50円引
駐車場: あり(27台、大型バス3台)
クレジットカード: 可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、銀聯、DISCOVER、Diners Club)
電子マネー/スマートフォン決済: 可(Suica、PASMO、QUICPay、iD、nanaco、WAON、PayPay、LINE Pay、d払い、ALIPAY)
Wi-Fi: あり(館外にコーナー設置)
コンセント口: なし
喫煙: 不可
平均予算: 【昼】1,001-3,000円
滞在目安時間: 30-60分
車椅子での入店: 可
乳幼児の入店: 可
備考: 山居倉庫「酒田夢の倶楽」:【TEL】0234-24-2233(一般社団法人酒田観光物産協会)
庄内米歴史資料館:【TEL】0234-23-7470