重要文化財 旧角海家住宅
「天領・黒島」の豊かさを今に伝える国指定重要文化財
重伝建の集落で最も大きい廻船問屋住宅
旧角海家住宅のある黒島地区は海岸段丘上にあり、南北に細長く集落が形成されている。日本海航路の発展を背景に北前船の船主および船員の居住地として栄え、江戸後期から明治中期にかけて全盛を極めた。さらには、近くにある曹洞宗大本山總持寺祖院の外港的役割を担ったことも発展に寄与した。「黒瓦」「格子」「下見板張り」といった外観上の共通点を有する家々の集まりが保存対象となり、2009年(平成21)に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。保存地区の北寄りに旧角海家住宅はあり、廻船問屋住宅の典型的な特徴を有した建物は、幕末の最盛期に7隻の北前船を所有したと伝えられる経済力を反映するかのように、黒島で最も大きい。主屋、家財蔵、塩物蔵、小豆蔵、米蔵は国指定重要文化財(建造物)となっている。また、旧角海家住宅の近くにある神社の石段を上り、横に接続する遊歩道で振り返ると、青い空と海を背に黒瓦が重なり合う黒島の景観が目に飛び込み、美しい日本の原風景に感動を覚える。
黒島特有の船主住宅の間取り
黒島地区の景観をひとしきり堪能したら、次は階段を戻って旧角海家住宅へ。鳥居を出た右前方に正面口がある。軒下の風返しであるサガリや簾虫籠(すむしこ)と呼ばれる格子戸が印象的。正面左側にある玄関のくぐり戸は思いのほか小さい。が、屋内は予想以上の広さだ。主屋に複数の土蔵が一列に連なり、屋敷としての規模を感じる。同住宅は1871年(明治4)に火災に遭っているものの、再建の際には間取りや構造を焼失前とそっくり同じに再現しているという。主屋の居室の間取りは、玄関前の表通りに平行して、店の間、帳場、中の間、座敷と並び、その他の主要な部屋とで中庭をコの字で囲む配置となっている。このような平面形式は地元では「ミツボカコイ」と呼ばれており、黒島地区ではよく見られる船主住宅の典型だ。玄関の内に入ると、奥の台所や土蔵に続く土間があり、右手に「茶の間」や「勝手」と呼ばれる畳敷きの和室が隣り合っている。「茶の間」は16畳、「勝手」12畳。広さを感じさせる空間だ。
地元金融機関の支店にもなっていた
「茶の間」の表通り側には、ビジネススペースである「店の間」がある。明治後期に入って北前船による海運が低迷すると、角海家では金融業や漁業などに取り組み、経営の多角化を図った。この「店の間」は地元の金融機関である北國銀行の黒島支店が置かれ、窓口業務の場となっていた。実際に使われていた帳場格子や帳場机などが置かれ、古色に染まった空間にいると、タイムスリップしたような気分になれる。一方、主屋の海側には主人のプライベートスペースとなっていた「望楼の間」と呼ばれる望楼を兼ねた海を望む居室があり、ここから海の様子が見えることから、黒島に寄港する北前船の姿が見えてくると、主人らが出迎えたという。このほか、当時の暮らしをイメージできる台所や米蔵、小豆蔵、塩物蔵も保存されており、家財蔵では角海家で使用されていた漆器や調度品、屏風などが展示されている。北前船寄港地の繁栄の名残を旧角海家住宅で体感してみよう。
スポット詳細
- 住所
- 石川県輪島市門前町黒島町ロの94-2 地図
- エリア
- 輪島エリア
- 電話番号
- 0768431135
- 時間
- 9:00-17:00(最終入館16:30)
- 休業日
- 月(祝の場合は翌日)、年末年始
- 料金
- [入場料]大人320円、小人150円、団体270円
- 駐車場
-
あり(3台)
※近隣の国道沿いに天領黒島北前船資料館駐車場があります。(10台程度) - クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- なし
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 不可
- 平均予算
-
【昼】1-1,000円
【夜】1-1,000円 - 滞在目安時間
- 30-60分
- 乳幼児の入店
- 可
- 雨の日でも楽しめる
- はい
情報提供: ナビタイムジャパン