大野寺
国内最大の線刻磨崖仏のある室生のお寺
本尊は身代わり焼け地蔵菩薩
681年(白鳳9)、役行者(えんのぎょうじゃ)が創建したと伝えられる大野寺の本尊は、木像地蔵菩薩像(もくぞうじぞうぼさつぞう)。豪族の侍女が放火の疑いをかけられ、火あぶりの刑に処せられる際、半身の焼けた地蔵菩薩が身代わりになったことから「身代わり焼け地蔵菩薩」と呼ばれている。後頭部から背面にかけて焼け跡が残っており、ありがたい伝説から、多くの信仰を集めるようになった。大野寺は1900年(明治33)の火災で全焼、本尊をはじめとする仏像などは持ち出された。現在の本堂はそのあとに再建されたもの。境内には樹齢約300年という小糸しだれ桜の古木2本と、樹齢100年の紅しだれ桜30本があり、春は一気に華やかになる。小さなお寺だが、桜の時期は多くの人が訪れる。
日本の石仏史上、貴重な磨崖仏
摩崖仏は、宇陀川沿いにある自然の大岩壁に刻まれたもので、像高はおよそ11.5m。鎌倉時代に後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)の勅願で宋から来日した石匠が彫刻したと伝わっている。1209年(承元3)に後鳥羽上皇臨席のもと開眼供養が行われたとされており、造像年代をうかがい知ることができる。京都府の南端にある笠置寺(かさぎでら)の本尊、弥勒菩薩磨崖仏を模したものとされ、石仏の全体像が残るものとしては、国内最大の線刻磨崖仏だ。螺髪(らほつ)はうろこ状で、眉目は掘り下げ、口は輪郭を刻み、総身袈裟をまとう姿が刻まれている。磨崖仏が見下ろす川辺は長く神聖なものとして尊ばれてきた。斜め右を向いて穏やかな表情の石仏はその大きさと優れた造形から対岸の大野寺も含めて、1934年(昭和9)、国の史跡に指定されている。
平成の大修理で鮮明さを取り戻した磨崖仏
1993年(平成5)には、大規模な保存修理が行われている。6年をかけて苔や土砂などを取り除き、表面の剥落止めや洗浄などを施し、現在のような鮮明さを取り戻したという。摩崖仏はわずか9日で彫られたとされており、クリーニング作業に6年の月日がかかったことと比較すると、当時の技術力には驚かされる。境内には摩崖仏の遥拝所があり、ここから眺めると岩壁から大きな仏が浮かび上がるように見えるから不思議だ。紅葉の時期は、周辺の木々が赤や黄色に色づき、自然との一体感が美しい。紅葉や桜の季節をはずせば、本当に静かなお寺。奈良市内からも遠く、かなり行きにくい場所だが、室生寺(むろうじ)とともに足を延ばしてみる価値はある。
スポット詳細
- 住所
- 奈良県宇陀市室生大野1680 地図
- エリア
- 山の辺の道・桜井エリア
- 電話番号
- 0745922220
- 時間
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9:00-17:00
[冬期]9:00-16:00 - 休業日
- 無休
- 料金
- [拝観料]300円
- 駐車場
- あり(20台)
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- なし
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 不可
- 滞在目安時間
- 0-30分
- 車椅子での入店
- 可
- 乳幼児の入店
- 可
- ペットの入店
- 可
- 備考
- ※写真1枚目の桜はウイルス等により花が少なくなっています。
情報提供: ナビタイムジャパン
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- 大野寺/奈良県宇陀市[ウォーキング]磨崖仏で名高い古刹に参拝して、宇陀川沿いに歩く
- 楊柳山大野寺(ようりゅうざんおおのでら)は、奈良県宇陀市室生大野(ならけんうだしむろうおおの)にある真言宗室生寺派の寺だ。681年に役小角が開基したと伝わる役行者霊蹟札所で、本尊は弥勒菩薩(みろくぼさつ)824年に空海が堂を建立して「慈尊院弥勒寺」と称したとされている。磨崖仏(まがいぶつ)があることでも知られる。2022年1月5日、この日はトマト&オニオン奈良榛原店でランチを済ませた。そこ...
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- 対岸の磨崖仏
- 大野寺には立派な枝垂れ桜がある。あまり大きなお寺ではないが、川の対岸の岩に磨崖仏が描かれているが、絵が鮮明でないからよく見えませんでした。
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- 真言宗室生寺派の「西門」にあたる寺院です
- 寺院そのものよりも川を隔てた対岸の巨大な「磨崖仏」が有名です。役行者が開いたと伝承されているらしい。この磨崖仏の弥勒菩薩は実に高さ13.8mもあり我国でも屈指の大きさです。鎌倉時代に刻まれたものらしい。又、ここは「しだれ桜の寺」としてもつとに有名、参拝は桜の花咲く季節が最高(一度、来たことがある)。今回は桜じゃなくて紅葉に彩られた磨崖仏の素晴らしさに圧倒されました。
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