浄瑠璃寺

寺院

9体の阿弥陀仏と浄土庭園に込められた平安の祈り

浄瑠璃寺の境内の大部分は池。池を挟んで向かい合う横長のお堂と三重塔。そしてお堂の内部には、9体の阿弥陀仏が並ぶ。この寺では、特別名勝庭園に建つ、国宝建築の本堂で、国宝仏を拝するという、至福の体験ができる。

浄土の池を前にたたずむ国宝の九体阿弥陀堂} 浄土の池を前にたたずむ国宝の九体阿弥陀堂

阿弥陀信仰の寺として親しまれ900余年

浄瑠璃寺へは、JR加茂駅からコミュニティバスで約20分。石仏で知られる当尾(とうの)の里にある。青々と茂った木々の小径が寺への参道。小さな山門をくぐると目の前には大きな池が広がる。この寺は、平安時代中期の1047年(永承2)に、義明上人が地元の豪族の助けを借りて創建したことに始まる。当時、奈良に近いこの辺りには、静かに修行できる地を求めた南都の多くの僧侶たちが移り住んでいた。たとえば東大寺からはたったの4km、徒歩でも1時間で来られる距離だ。12世紀になると、九体阿弥陀堂、庭園、三重塔を配し、境内が次々と整備されていく。その後も、奈良の興福寺と深く関わりながら発展するが、明治の廃仏毀釈を経て、奈良西大寺を本山とする真言律宗の寺となり、今にいたる。

野の草が花を咲かす長い参道。時折猫が現れることも} 野の草が花を咲かす長い参道。時折猫が現れることも

人を生み出す仏と、迎え入れる仏が見守る庭園

浄瑠璃寺本来の参拝順序は、まず池の東にそびえる三重塔から。塔内には、創建当初の本尊とされる薬師如来像を安置。奈良仏教では、太陽が生まれる東方で、薬師如来がこの世に命を送り出しているとされる。寺の名も薬師如来の住む浄瑠璃浄土にちなんだものだ。塔自体は、平安時代末期に京都の一条大宮から移築されたもので、もし、そのまま京の都にあれば、応仁の乱で失われていたであろう。浄瑠璃寺に移されたことで、のちの国宝が守られたのだ。

檜皮(ひわだ)葺きが軽やかで美しい国宝の三重塔} 檜皮(ひわだ)葺きが軽やかで美しい国宝の三重塔

三重塔前の石段を上ると、池越しには本堂にあたる九体阿弥陀堂。人は死の時を迎えると、太陽の沈む西から阿弥陀如来が迎えに来て、極楽浄土へ旅立つと信じられていた。幅約20mの阿弥陀堂は、柱の間に1体ずつ阿弥陀仏が安置されている。1107年(嘉承2)の造営当時、都には30棟にも及ぶ九体阿弥陀堂があったが、現在まで残っているのは浄瑠璃寺のみ。それが国宝建築たる理由だ。

池の中島の赤い祠には弁財天が祀られている} 池の中島の赤い祠には弁財天が祀られている

極楽浄土へ導いてくれる9体の阿弥陀如来

本堂へ足を踏み入れると、金色の仏像が横一列に並ぶ。像の作られた平安時代末期は、末法思想が流行り、世の中が荒れ果てるとされた。来世に望みを託し、極楽に往生したいと考えた貴族たちは、競うように九体阿弥陀仏を手がける。経典には生前の行いによって、往生の仕方が9つに分かれると書かれており、どのランクで亡くなっても「阿弥陀仏を9体造り、全部拝んでおけば極楽に往生できる」と考えたわけだ(2023年まで阿弥陀如来像は順次修復中。9体そろうのは修復完了後)。

照明は原則自然光。光の角度で仏様の表情も変わる} 照明は原則自然光。光の角度で仏様の表情も変わる

9体の阿弥陀如来像のうち、中央のひときわ大きな中尊の手の形は、臨終の際に阿弥陀如来が結ぶとされる来迎印。光背には、仏教で無限を表す1000の仏があしらわれている。お参りの際には、ぜひ座って手を合わせたい。この阿弥陀堂はあくまでも仏様を安置するのが目的で、人は建物の外から参拝するのがもともとの形だ。視線を低くすることで、本来の仏の表情がうかがえる。仏像をはじめ、建築から、庭園、季節の花までが楽しめるので、少し遠くても一度は訪れたい浄瑠璃寺。お参りのあとは、参道の茶店「あ志び乃店」で、名物のとろろ定食や甘味をぜひ。

光背上部の4体の飛天は、造立当時のもの} 光背上部の4体の飛天は、造立当時のもの

スポット詳細

住所
京都府木津川市加茂町西小札場40 map map 地図
電話番号
0774762390
時間
9:00-17:00
[12-2月]10:00-16:00
※受付は各30分前まで
休業日
無休(法事等で拝観不可の場合あり)
料金
[拝観料]400円
駐車場
なし(付近に民間有料駐車場あり)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
可(喫煙所のみ)
滞在目安時間
30-60分

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 日本に現存する最古の九体仏
    5.0 投稿日 : 2022.06.23
    九体仏、つまり九体の阿弥陀如来が整然と座す様子は、荘厳で現在ではここでしか、参拝することはできません。西方浄土を思わせる古刹は、春には、馬酔木の花が咲き誇ります。
  • 秘仏に出会う
    5.0 投稿日 : 2020.11.15
    奈良と京都の県境にあります。奈良から、バスで紅葉も綺麗と聴きあったきました。修理に出てる中尊像のお代わりに、秘仏を拝めますし、吉祥天女像も限定でいらっしゃりました。お庭の紅葉の美しさも合わさり、感動して帰ってきました。
  • 当尾の里にある素敵なお寺!!
    5.0 投稿日 : 2020.09.10
    京都府木津川市加茂町にある真言律宗の寺院です。真言律宗は南都七大寺の寺格を有する西大寺を総本山とする宗派で、戒律・密教の双修を根本宗義とします。浄瑠璃寺があるエリアは当尾の里と呼ばれ、奈良県と京都府の県境の山中にあり、平安時代の終わり頃は多くの修行僧らが集まる仏教信仰の聖地だった場所で、岩船寺と浄瑠璃寺を結ぶ道は「石仏の道」と呼ばれ、たくさんの石仏があります。そんな山中にある浄瑠璃寺です...

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アクセス

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