法華寺(法華滅罪之寺)

寺院

光明皇后の深い祈りを今に感じる佐保路の門跡寺院

聖武天皇の后、光明皇后の発願で、皇后の父・藤原不比等邸であった土地に伽藍を建立。その後総国分尼寺(そうこくぶんにじ)として定められた。困苦の人々を救おうとした光明皇后の心に触れることができる、皇室ゆかりの尼門跡寺院。

豊臣秀頼と淀君の再興による本堂} 豊臣秀頼と淀君の再興による本堂

不比等の広大な邸宅跡に建つ尼寺

仏教の信仰あつい光明皇后はその父藤原不比等の邸宅跡を寄進し、法華寺を建立した。法華寺は総国分尼寺に定められ、創建当初は壮大な伽藍が存在していた。奈良時代には金堂や講堂、東西両塔などを有していたことが、周辺の発掘調査からも裏付けられている。平安京に遷都したのち、寺は衰退し、鎌倉期には西大寺の僧・叡尊(えいそん)などにより再興がなされた。ところが、戦国時代の戦火でほとんどの建物を失ってしまうことになる。安土桃山時代になって豊臣秀頼と淀君によって現在の本堂、鐘楼、南門などがようやく再建された。大和の三門跡寺院のひとつに数えられ、築地塀には皇室とのゆかりを表す5本の線が引かれるなど、寺格の高さを物語っている。

正門である南門から見る本堂} 正門である南門から見る本堂

光明皇后の姿を写した十一面観音立像

本堂には秘仏の十一面観音立像が安置されている。容姿端麗の光明皇后をモデルにしたと伝わっており、奈良時代に作られた珍しい一木造りの檀像。豊かな頬や唇にかすかに残る朱色、右足の親指を少し反らして上げているさまは光明皇后が蓮池を渡る姿を写したものだという。光背は蓮の蕾(つぼみ)や葉を後光のように配したもので、ほかに類を見ない。春と初夏と秋の特別公開以外は同じ大きさの模刻の像を拝観するが、こちらもインドから特別に奉納された白檀の一木造りで、大変貴重なものである。今にも歩きだしそうな観音像、衆生を救わんとする長い手もこちらに差し伸べられるのではないかと時を忘れて見惚れてしまう。

周囲に池を配した護摩堂越しの本堂の姿} 周囲に池を配した護摩堂越しの本堂の姿

福祉施設の原点ともいわれる浴室

光明皇后は美貌を誇っただけでなく、仏の教えに深く帰依していたこともよく知られている。境内にある浴室は「から風呂」と呼ばれ、浴槽に湯がたたえられたものではなくサウナのような蒸し風呂となっている。光明皇后が1000人の垢を洗い流すという願を立てたところ、1000人目に現れたひどい姿の病人の膿をみずからの唇で吸い取ったとき、その病人が如来の姿に変じたという伝説に基づいて建てられた。古代寺院に置かれた風呂は基本的には僧侶の沐浴潔斎のためであるが、この浴室は広く開かれ、困苦する庶民のためでもあり、福祉施設の原点ともいわれている。

蒸し風呂では薬草を用いたともされる} 蒸し風呂では薬草を用いたともされる

季節の花が咲く庭を巡って

法華寺といえば2つの庭が有名だが、境内の奥まったところにある光月亭にも立ち寄ってひと息いれたい。月ヶ瀬から移築されたかやぶきの建物で湯茶の接待所ともなっている。西側にある名勝庭園は江戸時代に京都の仙洞御所から移築された客殿が北側に建ち、春の名残の頃に咲くカキツバタが池に映えるさまは優美の極みである。特別公開を逃さず訪ねておきたい。東側の華楽園は整え過ぎず、自然に咲く草花がやさしく迎えてくれる庭。実際に仏前に供えられる花はここから摘まれていく。四季を通じて花は咲き、なかでも蓮池の「法華寺蓮(ほっけじはす)」が揺れるさまは心洗われるようだ。創建の由来も、そこにおわす仏様も、境内のなにもかもが美しい佐保路の法華寺。平城宮跡から、東大寺転害門からゆるり歩いて訪ねたい。

光月亭の低い軒越しの緑が美しい} 光月亭の低い軒越しの緑が美しい

和洋を問わず花であふれる華楽園} 和洋を問わず花であふれる華楽園

スポット詳細

住所
奈良県奈良市法華寺町882 map map 地図
電話番号
0742332261
時間
9:00-16:30
休業日
無休
料金
【拝観料】
[通常]大人700円
[特別公開]大人1,000円
※詳細はHPにて確認下さい
駐車場
あり(乗用車約20台、大型バス5台)
※駐車料金無料
※大型バスは法要のあるときは使用出来ない場合あり
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
30-60分

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 縁起ある素晴らしい寺院です
    4.0 投稿日 : 2021.12.29
    聖武天皇の妃、光明皇后の発願で創建された名刹、毎年、春と秋に特別公開されている様子。本尊国宝の「十一面観音」は光明皇后がモデルとも伝承されている。今回は平安時代の浄土芸術の傑作、国宝絹本着色阿弥陀三尊など、10月25日から11月15日まで公開されていました。仏像以外にも池にせり出した堂宇や庭園も必見の古寺名刹です。
  • 2021年6月5日-10日の期間は《十一面観音菩薩立像(国宝)》と《名勝庭園(国史跡)》の両方が特別公開されています
    4.0 投稿日 : 2021.04.07
    《佐保路三観音(不退寺、海龍王寺、不退寺の観音像)》を同時に鑑賞出来る 特別公開期間の1日として 3月27日訪問しました。本堂内部に 厨子が2つあり 本尊;十一面観音菩薩立像[国宝、像高 1 m...
  • 光明皇后が開基した一級品の寺院です
    5.0 投稿日 : 2021.02.24
    奈良時代、藤原不比等の邸宅跡に総国分尼寺という位置付けとして法華滅罪之寺の名前で光明皇后が開基しました。まさに歴史、開基者を考えても全国でも屈指の寺院です。本堂、鐘楼は重要文化財、本尊の十一面観音像は国宝、ただし通常は非公開なので参拝時は見ることが出来ませんでした。

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アクセス

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最寄り

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