仙石原すすき草原

仙石原を彩る秋の風物詩

台ヶ岳の一部を占めるほどのすすき草原。10月から11月にかけてが見頃で、ピーク時は時間帯を問わず観光客が訪れる。時間帯によって景色の表情が大きく変わるので、仙石原に滞在しているなら、訪問時刻を変えて再訪したい。

秋のベストシーズンは午前中から訪問客で賑わう

台ヶ岳の北側斜面に広がるすすき草原。仙石原湿原につながるエリアにススキが生え、秋は見事な風景を見せてくれる。仙石原には現在も湿原が残るが、すすき草原は一時人の手が入らず、森林化の恐れもあった。すすき草原が木に覆われればほかの植生への影響が懸念される。手入れは大変だが、1989年(平成元)からは野焼きを行うことによってすすき草原を維持している。

午前中の遊歩道終点からの眺め。夕刻は逆光に照らされるすすき草原を見ることができる

午前中早めの時間なら山肌が影になっているので、影をバックに輝くススキの印象的な写真を撮ることができる

夕日に染まる草原が美しいと評判だが、朝の景色も条件がそろえばすばらしいものだ。11月頭の朝7時に訪問したときは、すすき草原全体はまだ山の影に覆われていたが、草原一帯に霧が立ち込め幻想的な風景を見ることができた。日が高くなるとともに太陽光は草原をスポットライトのように照らしていく。まだ影になっている部分を背景にススキの穂を撮影すれば、黒いバックに輝く姿を収めることができる。朝露に濡れるススキの穂が見られるのも、朝早くの訪問ならではだ。

朝は霧が発生することも多い。湿原が維持されていることを実感できる

ススキの穂や蜘蛛の糸に朝露がつき、きらめいていた

最寄りのバス停は「仙石高原」。小田原と桃源台を結ぶバスの停留所があり、新宿から来る小田急箱根高速バスも停まるので、土・日曜、祝日は10分に1本の割合でバスが停車する。車で来た場合は、近くの有料駐車場か、秋の観光シーズンのみオープンする無料の駐車場を使うこともできる。すすき草原の1本道は上り坂で片道700mほどの距離。下からでも十分ボリュームのあるすすき草原の写真を撮ることができるが、せっかくなら上まで歩いてみるといい。未舗装の道は砂利で滑りやすいので、下りの帰路ほど慎重に歩こう。

桃源台方面と小田原方面のバス停は近いので、とんぼ帰りの場合でも迷う心配はない