養老の滝

高さ約30mの名瀑や「孝子(こうし)伝説」の伝わる菊水泉などを見物

養老山麓に広がる「養老公園」内にあり、日本の滝百選にも選ばれている「養老の滝」。ほかにも老父を若返らせたという「孝子伝説」で有名な菊水泉や7つの橋、養老寺など、多数の見どころが点在している。

清冽な水しぶきを上げる「養老の滝」。葛飾北斎が浮世絵に描いたことでも知られている

「養老の滝」があるのは「養老公園」の西側。人里を離れた豊かな大自然のなかで、水が岩角を打って流れ落ちる壮麗な姿を見せている。高さはおよそ30m、幅は約4mあり、古くから多くの文人墨客に親しまれてきた。現在は日本の滝百選に選定。毎年7月1日には、夏の風物詩として多くの人が訪れる「養老の滝開き」が行われる。また、滝から流れる小川には全部で7つの橋が架かっている。みゆき橋や万代橋、紅葉橋など、それぞれ形に特徴があるので、小川の流れをたどりながら橋見物を楽しむのもおもしろい。

「養老の滝」から最も近いみゆき橋。滝の流れを少し離れたところから見物できる

「養老の滝」から6つ目にあたる不動橋

「養老の滝」には、貧しい木こりであった孝子源丞内(こうしげんじょうない)という若者が、酒の湧き出る泉を見つけ、持ち帰った酒を老父に飲ませて若返らせたという「孝子伝説」が伝わっている。その泉が養老神社の境内にある菊水泉。717年(霊亀3)には、自ら飲浴した元正天皇(げんしょうてんのう)が「老いを養う霊泉」と称え、元号を「霊亀」から「養老」に改めたとも伝えられている。現在もミネラル成分を多く含んだ清水がこんこんと湧いており、「日本の名水百選」に指定。毎年「春分の日」には、春を告げる「若水取り」の神事が行われる。

孝子源丞内ゆかりの神社といわれる養老神社の拝殿

菊水泉の水はまろやかでおいしいと評判。水汲み場があるので持ち帰りもできるが、生水なので沸騰させてから飲むようにしよう

菊水泉の水が流れる小川をたどっていくと、清らかな水をたたえた不老ヶ池に出る。ここは秋の紅葉スポットとしても人気。さらにその先には、元正天皇が訪れたことを示す元正天皇行幸遺跡がある。なお、「孝子伝説」についてもっと詳しく知りたい人は、模型や映像で伝説を紹介する「親孝行のふるさと会館」へ足を運ぼう。近くには西美濃三十三霊場の二十五番札所にあたる養老寺も。孝子源丞内が開いた寺といわれており、不老長寿を祈願することができる。

不老ヶ池にはハリヨというトゲのある小魚が優雅に泳いでいる

養老寺の本堂。宝物殿には国指定文化財の「十一面千手観音立像」などが安置されている

「養老の滝」で自然や歴史を堪能したあとは、アート庭園の「養老天命反転地」や、養老山麓の自然を生かした遊び場が充実している「岐阜県こどもの国」や遊園地の「養老ランド」など、「養老公園」内のほかのスポットにも行ってみよう。なお、「養老の滝」には無料駐車場と民営である有料駐車場の2つを完備。ほかにも園内の各所に無料駐車場が用意されているので、車で来場した人は目的のスポットに合わせて駐車場を使い分けるとスムーズに移動できる。