長崎水辺の森公園

長崎港を望む、緑豊かな「長崎水辺の森公園」

港町長崎の風景を存分に満喫できる「大地の広場」

長崎電気軌道の「出島」電停から「長崎水辺の森公園」のメインゲートまでは徒歩3分、買い物や観光の途中に気軽に行けるスポットだ。メインゲートから公園内に入ると、そこは「大地の広場」。のびやかな芝生の広場で、思いおもいに安らぎの時間を過ごす人たちがいる。その向こうには美しい長崎港、遠くには湾を横切る女神大橋が優美な姿を見せ、その間を大小の船が行き交っている。対岸には、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産のひとつでもある三菱長崎造船所のジャイアント・カンチレバークレーンがあり、視線を上げると長崎のシンボル、稲佐山を仰ぐ。まさに港町長崎の絶好のロケーションを、この「大地の広場」に立つだけで満喫できる。

8本のブロンズの柱が立つスペースは公園のシンボル的存在

「大地の広場」の中央にある、ガラス玉のような玉石を螺旋状に敷き詰めた「ビードロの道」

グッドデザイン賞を受賞した公園

公園からの眺望もすばらしいが、公園全体のデザイン性も評価され、2004年(平成16)度のグッドデザイン賞(建築・環境デザイン部門)を受賞している。そのデザイン性の高さを感じられるひとつが、あらゆるところに配置されている石のベンチ。「近代への変革の種を撒いた長崎」をテーマに、ソラ豆やコーヒー豆、海岸の砂地などに生える植物の種のハママツナなどを形にした石のベンチのほか、「土地の記憶」シリーズでは、大地のうねりや海の記憶、貿易の記憶など、不思議なフォルムのベンチが感性を刺激する。また、「長崎のハタ(凧)」シリーズの石のベンチは、糸巻や月の輪、山形など、長崎人にはおなじみの模様が施され、この地に息づく伝統を感じられる。好きな形のベンチにゆったりと腰かけて、くつろぎの時間を過ごそう。

ソラ豆とソラ豆の種をモチーフにした石のベンチ

「土地の記憶」をテーマにデザインされたベンチ

「水の庭園」から「水辺のプロムナード」へ

「大地の広場」を抜けて、山からの湧水を噴水やせせらぎに利用した「水の庭園」へ進む。夏は子どもたちで賑わうエリアだ。そこから国道のほうに歩いて行くと、「長崎水辺の森公園」の南ゲートがあり、「水辺のプロムナード」へつながっている。たおやかな運河が流れ、それに沿って遊歩道が整備されている。途中には、芝生の野外劇場スペースや季節の花が植えられた花壇、おしゃれなレストランなどもあるので、ランチを兼ねて散策を楽しんでもいいだろう。また、運河にはいくつもの橋が架かっていて、それぞれにデザインや長さが違う。名前も「あじさい橋」や「オランダ坂橋」など、長崎らしいネーミングが付いているので、ぜひ渡ってみよう。

海からの風が心地よい「水の庭園」の歩道

運河沿いに整備された「水辺のプロムナード」

長崎県美術館も散歩コースに

「水辺のプロムナード」から長崎県美術館の運河沿いの回廊へ。長崎県美術館の建築デザインは隈研吾氏、美術と自然が調和した美術館として知られ、世界的にも珍しい運河を挟んだ美術館だ。運河沿いを歩くだけでも癒やされるが、館内にも立ち寄って、さらにアート感覚を研ぎ澄ますのもいいかもしれない。また、国内外の帆船が長崎港に集まる「長崎帆船まつり」や盛大な花火が打ち上がる「ながさきみなとまつり」、伝統あるペーロン選手権など、さまざまなイベントを体感できるのも、この公園の魅力。どんなイベントが開催されるのか、事前に情報を入手してから出かけてみるのもおすすめだ。

右手の先は長崎県美術館、歩道には彫刻のオブジェが設置