平戸ザビエル記念教会
異国情緒漂う町、平戸を代表するカトリック教会
ポルトガル船とともに平戸にキリスト教が伝来
17世紀の大航海時代、西洋の地図に「FIRANDO」と記されていた平戸島。遣唐使の時代から中国や朝鮮との交易が行われ、交通の要衝として栄えてきた。1550年(天文19)、ポルトガル船が初めて平戸に入港する。その前年に鹿児島に上陸していたイエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルは、ポルトガル船の来航を聞いて平戸を訪れ、布教活動を始めた。当時の平戸藩主・松浦隆信(まつらたかのぶ)は、西洋との貿易に対する期待もあり、布教に協力的だった。翌年には日本初の教会が平戸に建立され、1555年(天文22)頃には信徒は500名ほどを数えたという。1564年(永禄7)にポルトガル人司祭ルイス・フロイスが「御宿りのサンタ・マリア教会」(天門寺)を建立するなど、その後も多くの教会が建てられたが、時代は禁教へと移り、平戸でも多くの信徒が殉教した。
大天使聖ミカエルに捧げられた美しい教会
平戸ザビエル記念教会は、1913年(大正2)にカトリック平戸教会として建立されたのが始まりで、1931年(昭和6)に現在の地に新しく建設された。淡いグリーンの外壁がやわらかな印象を与える教会堂は、正面中央に大塔、左側に小塔を配し、天に向かう垂直なラインを強調した外観が特徴的。大塔の周囲に立つ尖塔、側面のフライングバットレス(空中にアーチをかけた飛梁=とびばり)、扉や窓の尖りアーチなどに、ゴシック建築の要素を見ることができる。内装もとても美しく、真っ白な漆喰の壁とコウモリ天井、ステンドグラスが祈りの場にふさわしい静ひつな空間を生み出している。柱に施されたマーブル模様は、伝統的な漆喰塗りの技法を用いたもので、平戸の左官技術の高さがうかがえる。
平戸ならではの異国情緒あふれる風景
教会の前庭には「聖フランシスコ・ザビエル記念像」が立っている。献堂40周年を記念して1971年(昭和46)に建立されたもので、これを機に教会は「聖フランシスコ・ザビエル記念聖堂」と呼ばれるようになり、その後、現在の名称に改められた。また「ルルドの泉」は、南フランスのピレネー山麓の町、ルルドにある洞窟を模したもの。19世紀半ば、少女の前に聖母マリアが現れ、そのお告げどおりに洞窟の土を掘ると泉が湧き出した。泉の水を飲んだり体を浸したりすると病が治るという奇跡が起こり、今ではカトリック最大の聖地となっている。ルルドに巡礼した気持ちになって、聖母マリア像に向かって静かに祈りを捧げよう。
教会には駐車場が整備されているが、異国情緒漂う街並みを散策しながら行くのもおすすめ。観光案内所がある平戸港交流広場から徒歩15分ほど。石畳の坂道を上って行くと、下から瑞雲寺、光明寺、正宗寺が立ち並び、石塀と寺院の瓦屋根の背後に教会の大塔がそびえる。平戸を象徴する「寺院と教会の見える風景」だ。日本と西洋の文化が調和した景色を胸に刻みながら、平戸の歴史に思いを馳せてみたい。
スポット詳細
- 住所
- 長崎県平戸市鏡川町269 地図
- エリア
- 平戸エリア
- 電話番号
- 0950238600
- 時間
- ミサ、冠婚葬祭時は見学不可
- 駐車場
- あり(30台)
- 備考
-
※コロナウイルス感染防止のため内観不可
[平戸観光協会]0950-23-8600
情報提供: ナビタイムジャパン