豊平館
開拓使によって建てられた白とブルーの木造洋風ホテル
中島公園内に立つ明治時代のホテル
地下鉄南北線中島公園駅を出て、木々や芝生、池がある中島公園内を西の方角へ3~4分歩くと右手に趣のある洋風の建物が現れる。これが国の重要文化財に指定されている「豊平館」だ。札幌には豊平(とよひら)という地名や中心部を流れる豊平川(とよひらがわ)があるため、「とよひらかん」と読み間違える人もいるが、この建物は「ほうへいかん」と読む。白い壁にウルトラマリンブルーの縁取りが美しく、周囲の木々の緑ともよく調和している。昔、このウルトラマリンブルーの顔料には、9月と12月の誕生石として知られる宝石のラピスラズリ(和名では瑠璃)が用いられており、高貴な色といわれていたそうだ。また、建物の正面そばには大きな桜の木があり、満開の時期になるとまたひと味違った風情を楽しめる。館内を見学する場合は、正面ではなく裏手に増築された近代的な建物から入館しよう。
札幌を代表する宿泊施設として活躍
豊平館は、札幌の中心部のテレビ塔のそば、現在市民ホールがある場所に建てられ、明治天皇が北海道視察に訪れた際に滞在された宿泊施設。開館以来、札幌を代表するホテル、宴会場としての役割を担ってきた。大正時代に入り、札幌がかつてない賑わいを見せ始めたころ、収容人数が少ない豊平館の隣に新館が建てられ、2つをあわせて公会堂と呼ばれていた。太平洋戦争が始まると、営業は中止させられ陸軍の占有となり、戦後は進駐軍に接収された。そして1948年(昭和23)2月には札幌公民館として再出発し、翌年には札幌市民会館と改称。ところが1956年(昭和31)にその場所に新しい市民会館を建設することに。壊すか保存するかが協議されたが、その当時ですでに築70年以上の歴史をもつ豊平館は、貴重な建築物として1958年(昭和33)に中島公園内へ移築保存された。
贅を尽くした造りを間近で見て触れる
ロビーで天井を見上げると、シャンデリアが吊るされている天井面に立体的な中心飾りが施されている。これは漆喰で盛り付けて仕上げる「こて絵」と呼ばれる伝統技術で、左官職人がこてを使って仕上げていくためこう呼ばれているそう。ロビーだけでなく、各部屋の明かりの上にこのようなレリーフが施されている。部屋にはそれぞれ「椿」「葡萄(ぶどう)」「梅」といった名前が付けられており、レリーフもそれにあわせた文様となっているのでよく見てみよう。また、2階広間にあるシャンデリアは建設当初に使用していたガス式灯具を修理したもので、よく見るとガスのコックが付いている。さらに、館内のカーテンには伝統的な文様である牡丹唐草が用いられている。建設当初は京都の西陣で織られた生地を用いていたということで、現在使用しているカーテンもそれを再現して織られたものだ。
珍しい重要文化財のレンタルルーム
豊平館は国の重要文化財だが、市民にも気軽に利用してもらいたいと部屋の貸し出しも行っており、広間ではコンサートなども行われる。全国でも貸室を行っている重要文化財は珍しい。また、「梅」や広間の部屋に設置されているタブレットを用いると、ARによる明治時代の様子や部屋の解説を見ることもできる。豊平館はかつて結婚式場として利用されていたこともあり、1階の「芙蓉」の寝間で実際に結婚式を挙げた人たちの写真をスライドショーで公開。当時を懐かしんで訪れるご夫婦もいるとか。同じく1階の会食所はカフェとして利用されており、オリジナルコーヒーや焼き菓子、「豊平館プレミアムカレー」880円を味わえる。このカレーは、全日本司厨士協会北海道地方本部のシェフたちが監修したもので、昔懐かしい味。受付でレトルトも販売しており、お土産にもおすすめだ。
スポット詳細
更新日:2024.04.26
- 住所
- 北海道札幌市中央区中島公園1-20 地図
- エリア
- 札幌中心部エリア
- 電話番号
- 0112111951
- 時間
- [観覧時間]9:00-17:00(受付終了16:30)
- 休業日
- 第2火(祝日・振替休日の場合は翌平日)、年末年始(12/29-1/3)
- 料金
- [観覧料]一般300円、中学生以下無料
- 駐車場
-
なし
※障がい者用として2台のスペースあり。 - クレジットカード
- 可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、銀聯、DISCOVER、Diners Club)
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 可(Suica、PASMO、QUICPay、iD、Apple Pay、PayPay、LINE Pay、d払い、auPAY、ALIPAY)
- Wi-Fi
- あり
- コンセント口
- あり
- 喫煙
- 不可
- 英語メニュー
- あり
- 平均予算
- 【昼】1-1,000円
- 滞在目安時間
- 30-60分
- 車椅子での入店
- 可
- 乳幼児の入店
- 可
情報提供: ナビタイムジャパン