村田文福老舗本町本店
大洲の殿様が愛した伝統の味を今に伝える職人の技
400年変わらぬ味を伝える職人の技
村田文福老舗の創業は1624年(寛永元)。加藤泰興が藩主となった翌年のこと。創業以来作り続けてきている大洲藩の御用菓子「月窓餅」を、どのようなきっかけで殿さまが口にしたのかは定かではないが、2代藩主が大好物であったのは間違いなく、3代藩主の加藤泰恒が先代の号から、この菓子に「月窓餅」の名前を付けたといわれている。餅という名前だが、餅米から作る餅ではなく、わらび餅でこし餡を包み、それに青大豆のきな粉をまぶしたシンプルなお菓子。しっかりした甘さの餡とほんのり甘いわらび餅の2つの甘みを青大豆のきな粉がうまくまとめた味のハーモニーと独特の食感が特徴だ。かつてはすべて地元産の材料を使っていたが、餡を作るあずきやわらび粉の入手が難しくなり、なんとか青大豆だけは大洲のものを使い続けてきた。ところが平成の半ばに青大豆を作っていた大洲の菅田地区が水害に遭ってしまい、それ以降材料は別の場所から入手したものになった。とはいえ製法は創業以来約400年変わっていない。
職人の工房を訪れて伝統の技を見学
7月初旬の朝8時過ぎ、村田文福老舗の工房を訪れた。外の気温はまだそれほど高くないが、室内にはすでに熱がこもっている。一人黙々と月窓餅を作るのは14世の村田耕一さん。室内が暑い理由はわらび餅だ。わらび粉を練って作るわらび餅はつねに最適なやわらかさに保つ必要がある。そのため室内にある大きな鍋には湯が張られていて、わらび餅の入った別の鍋が湯煎にかけられている。そちらの状態を気にしながら、村田さんは右手に持ったへらで餡をとり、左手の手のひらに載せた餅で餡を包んでいく。包み終わった餅には青大豆のきな粉がまぶされ、きれいに並べられていく。村田さんが左手に持つわらび餅も直前まで湯煎されていたもので、かなり熱いはずだ。そのことを聞いてみると「慣れているからね、熱くはないよ」との返事。とはいえ湯煎にかけられたわらび餅を見る限り、普通の人なら間違いなく火傷をする熱さだろう。できあがった月窓餅を1つずつていねいに紙に包むのは、奥様の悌子さんだ。実はこの一連の作業の前には餡作りがある、焦げ付かないように2時間もの間鍋をかき混ぜ続ける必要があるとのことで、毎日の仕込みは朝の6時前から始まっているのだという。
引き継がれていく伝統の味と技
多いときには1日1000個以上作るという月窓餅。気温や湿度、材料の状態によって火にかける時間や練り方などが微妙に異なるために、職人の感覚が必須となる。つまり機械で作ることができない。同様にできあがった餅を包む作業も人の手でないと難しいという。幸いなことに、耕一さんの息子さんが15世として菓子作りの修業をしており、もちろん月窓餅作りの手伝いもしているとのこと。さらはすでに耕一さんのお孫さんも菓子作りの道に進むと言っているそうで、伝統の味はしばらく安泰のようだ。見学をさせていただいたあと、できたての月窓餅をいただいた。ほんのり温かな餅は甘さも食感もやさしい。400年前の大洲の殿様と同じものを食べているということも感慨深い。「冷蔵庫に入れて冷やしてもおいしいよ」と村田さん。お殿様にはできなかったその食べ方を試すために、月窓餅を買って帰ったのは言うまでもない。
スポット詳細
- 住所
- 愛媛県大洲市大洲183 地図
- エリア
- 大洲・宇和・佐田岬エリア
- 電話番号
- 0893242359
- 時間
- 9:00-18:00
- 休業日
- 1/1
- 駐車場
- あり(3台)
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- なし
- コンセント口
- なし
情報提供: ナビタイムジャパン
クチコミ
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- いちご大福
- ここのいちご大福は白あん。いちご大福はそんなに好きじゃなかったけど、ここのいちご大福を食べてからは、いちご大福がすごく好きになった。書いててまた食べたくなった(笑)
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- お土産に月窓餅を購入しました!!
- お土産に月窓餅を購入しました。大洲の特産物のわらび餅粉を練ってわらび餅にしたもので、触感が良かったですよ!!
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