羽賀寺
女性的な曲線美をたたえる十一面観音立像に魅了される
天皇勅願で奈良時代に創建
羽賀寺は、小浜市中心部の北東に位置し、境内を羽賀山の山裾に置く真言宗の寺院だ。716年(霊亀2)に元正天皇の勅願によって創建されたと伝えられる。徳の高い聖天子が治める平和な世にのみ現れる鳳凰(ほうおう)がこの地に舞い降り、羽根を落として飛び去ったと聞いた同天皇が、僧・行基に命じて羽賀寺を建てさせたとの伝承が残る。寺名の「羽賀」も吉兆を予告する瑞鳥(ずいちょう)の羽根にちなんだものと推測できる。創建から1300年を数える境内は、豊かな自然に囲まれている。中門前を左に折れると一直線の参道と石階段があり、石階段の先に目指す本堂がある。本堂前で空を見上げると、雲が鳳凰のように見える。まるで別世界に来たようだ。
本堂は室町初期に再建された国重要文化財
本堂は室町中期の1447年(文安4)に再建された建物で、約600年前の偉容を今もとどめる国指定重要文化財だ。大きさは桁行5間(幅13.74m)、梁行6間(奥行き14.63m)、棟高13.21mで、入母屋造檜皮葺(ひわだぶき)の構造だ。やわらかめの屋根のこう配が軒先のほうで急に反り返る様式は、室町初期の北山文化の建築に類似が多いという。参拝前には本堂の左手前にある鐘楼で2-3回鐘を撞こう。鐘は法要や仏事の予鈴として撞くものであり、その響きには功徳があるという。ちなみに、参拝の帰りに鐘を撞くのは作法に反するそうだ。腰に力を入れて思い切り撞くと、ゴーンという音色が山あいに響き、心癒やされる。
貴重な色彩が今も残る
本堂の内陣では、中央の厨子(ずし)内に木造十一面観音立像、左手に木造千手観音菩薩立像、右手に木造毘沙門天立像が配される。三尊とも国指定重要文化財だ。木造十一面観音立像は10世紀初期の作と推定され、膝に届く長い腕、大小のひだを交互に彫る翻波(ぼんば)式の衣の文様は平安前期の仏像の特徴をよく表している。一方、木造千手観音菩薩立像は1165年(長寛3)、木造毘沙門天立像は1178年(治承2)の作だ。美術的に白眉なのはやはり木造十一面観音立像だろう。羽賀寺の創建に関わった女性天皇である元正天皇の御影に似せているとされ、146.5cmという像高はまさに等身大。ふくよかで女性的な曲線美に加え、造立当初のあでやかな彩色が多く残っており、同立像に魅了される人は多いはずだ。
スポット詳細
- 住所
- 福井県小浜市羽賀83-5 地図
- エリア
- 小浜エリア
- 電話番号
- 0770524502
- 時間
- 9:00-16:00
- 休業日
- 無休
- 料金
- [拝観料]400円(20名以上360円)
- 駐車場
- あり(30台)
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- なし
- 喫煙
- 不可
- 英語メニュー
- あり
- 滞在目安時間
- 0-30分
情報提供: ナビタイムジャパン
クチコミ
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- 高野山真言宗のお寺
- 福井県小浜市羽賀にある高野山真言宗のお寺。本尊は十一面観音。女帝元正天皇をモデルにしたといわれています。
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- 高野山真言宗らしい寺院でした
- 重文の十一面観世音菩薩はなかなか良かった!この寺は仏像2体、本堂、縁起書物の4つが国の重文指定を受けている文化財の豊富な寺院です。この地域は信長や秀吉、長曾我部のような狂った文化財の破壊者に襲われなかった地域みたいで・・・相当な遺産が現存しています。国の宝としての値打ちが解らない前記の破壊者が来るとそれまでの歴史はご破算にされるほどの被害を被りますが・・・。ここも入山料は400円です。
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- 元正天皇の御影と言われる十一面観音像
- 小浜市中心部から5kmほど北東の山中にある羽賀寺には、素朴な本堂の中に十一面観音像、千手観音菩薩像、毘沙門天立像が安置されており、いずれも重文です。なかでも元正天皇がモデルと言われる十一面観音は優しいお顔をしており、深く印象に残ります。本堂は普段は閉まっていますが、羽賀寺の本坊で受付をすると開けてくれます。
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