都立小山田緑地

標高123mの「みはらし広場」からは天気が良ければ富士山も見える

多摩丘陵の原風景に出合える緑豊かな公園

小山田緑地は、八王子市から多摩市、町田市にかけて広がる多摩丘陵の南部に位置する。その面積は、2021年(令和3)現在で約44万平方メートル(計画面積は約146万平方メートル)という広大さ。多摩丘陵の一部は日本最大級のニュータウンとして開発されているが、里山や雑木林、田んぼや湿地などが織りなす、昔ながらの風景も残されている。

多摩丘陵の自然を保全するために設けられた小山田緑地は、本園のほか、梅木窪・大久保・山中の3つの分園からなる。ハイキングを楽しむなら、第2駐車場近くの「小山田緑地サービスセンター」からスタートするとよい。町田駅や多摩センター駅から路線バスを利用する場合は「大泉寺」または「扇橋」で下車、徒歩12分ほどで到着する。

本園の入り口に位置する「小山田緑地サービスセンター」はトイレも完備

四季折々の変化に富んだ風景を楽しめる本園

サービスセンターで案内図をもらったら、本園を歩き始めよう。建物の脇から森のなかのゆるやかな道を登れば、すぐに目の前が開けて広い草原へ。遊具が置かれ運動場もあるこの広場は、かつて鎌倉幕府の御家人・小山田氏の牧場だったとされる。丘を登りきったところが、高台にある「みはらし広場」。多摩丘陵の向こうに連なる丹沢山系と富士山の眺望がすばらしく、国土交通省選定の「関東の富士見百景」に選ばれている。

子どもたちがのびのびと遊べる、広々とした草地の広がる「運動広場」

本園の北東側にある窪地は「小山田の谷」と呼ばれる。このような三方を丘に囲まれた谷状の土地を関東地方では谷戸(やと)といい、小山田緑地では里山と谷戸が織りなす多摩丘陵の原風景ともいえる風景に出合うことができる。「小山田の谷」からは、雑木林や竹林の道を通ってサービスセンターに戻れる。一周約2.5kmのミニハイキングだ。

「小山田の谷」には雨水と湧き水を集めた池があり、トンボやカエルも生息する

里山の風景が残る3つの分園を巡る

サービスセンターから道路を挟んで北側が梅木窪分園。「うさぎ谷」に架かる吊り橋を渡り、杉木立や雑木林の散策路をしばらく歩くと「アサザ池」に着く。アサザは多年生の水草で、初夏には黄色の花を水面に浮かせて咲いている。梅木窪分園から西側の大久保分園にかけても谷戸になっていて、田んぼや畑など里山らしいのどかな光景が広がる。田んぼの脇を歩き、ゴルフ場内の道を通って大久保分園へ。散策路からはずれた田畑やゴルフコースなどは私有地になっているため、立ち入らないように気をつけたい。

クヌギやコナラの雑木林を抜け、「うさぎ谷」に架けられた吊り橋を渡る

大久保分園の丘の上からは、斜面に点在する畑や農家といった里山風景を楽しめる。丘を下ったところが、湧水を集めた「トンボ池」。池の先に東屋があるので、歩き疲れた人はひと休みするとよい。ここからさらに北へ15分ほど歩くと山中分園へと至る。小山田緑地のなかで最も北側に位置する山中分園は、小田急線唐木田駅から歩いて来園する場合の入り口にあたり、眺めの良い展望地や緑豊かな林を抜ける木道が整備されている。

初夏から秋にかけてさまざまな種類のトンボが飛び交う「トンボ池」