井山宝福寺
画聖雪舟が幼少時に修業、涙でネズミを描いたと伝わる禅寺
国の重要文化財の三重塔がシンボル
宝福寺は、JR伯備線の総社駅と豪渓駅の中間辺りにある。西国布教の1拠点として存在感を放っている。創立年代は不詳で、元々は天台宗の寺院だったのを、鎌倉時代に当時の住職が臨済宗に変えて栄えたといわれる。戦国時代の争乱で三重塔を除く多くの伽藍が焼け落ちて荒廃したが、江戸時代に岡山藩、浅尾藩などの力添えで再興された。境内には山門、仏殿、三重塔、経蔵、庫裡、方丈、書院、禅堂、鐘楼堂、開山堂などが配置され、禅宗様式の重厚な構造となっている。寺のシンボルは仏殿や方丈より一段上がった場所に鎮座する三重塔(国指定重要文化財)で、鮮やかな朱色が目をひく。南北朝時代の1376年(永和2)に建立され、県内にある塔のなかでは2番目に古い。山門や仏殿などの建物群は国の登録有形文化財に登録されている。方丈では、お釈迦(しゃか)様が、明け方に輝く金星を見て悟りを開いたという故事にならった「暁天(ぎょうてん)座禅」を1941年(昭和16)以来開催している。
ネズミのエピソードは銅像になり、市のゆるキャラにもつながった
宝福寺は画聖雪舟が幼少時に修行したことでも有名だ。修行もせず絵ばかり描いていた小僧の雪舟を、和尚は修行専一のために柱にくくりつけた。時間を置いて和尚が縄を解きに行くと、ネズミが雪舟の足先をかじろうとしていた。それは本物ではなく、雪舟が自分の流した涙で足の指を使って描いた絵だった。感心した和尚は、雪舟に絵を描くのを許したという逸話はあまりに有名。山門の近くにはその姿を描いた「少年雪舟像」が置かれている。また、この逸話のネズミから、総社市のゆるキャラ「チュッピー」が生まれた。宝福寺の仏殿にはこの逸話を紹介したパネルが展示されている。
「雪舟生誕地公園」も立ち寄りたい
「雪舟生誕地公園」は、総社市が雪舟の生誕600年を記念して設置した。雪舟が修行した禅寺風のデザインで、展示・交流施設では雪舟の生涯を解説したパネルを展示。屋根の東側は雪舟の水墨画の筆致風のカーブを描いている。休憩ができる家屋、枯山水の庭なども備える。約3mの雪舟像と、その近くには、『四季山水図巻(しきさんすいずかん)』(毛利博物館蔵)や『天橋立図(あまのはしだてず)』(京都国立博物館蔵)など、雪舟が描いた国宝指定の水墨画6点を精密に再現した陶板を設置している。
スポット詳細
- 住所
- 岡山県総社市井尻野1968 地図
- エリア
- 吉備路エリア
- 電話番号
- 0866920024
- 時間
- 5:00-17:00
- 休業日
- 無休
- 料金
- [拝観料]無料
- 駐車場
- あり(80台)
- 喫煙
- 不可
- ペットの入店
- ペット不可
情報提供: ナビタイムジャパン