阿蘇猿まわし劇場

コンビが一体で行う芸は信頼関係が大切

阿蘇山のふもとにある全天候型の劇場

JR豊肥本線「赤水」駅より徒歩約30分。阿蘇山のふもとにある赤い屋根の建物が、阿蘇猿まわし劇場だ。入場ゲートを抜けると左手に見えるのが、600名まで収容できる劇場。全天候型で冷暖房完備、一年を通して快適に観覧可能だ。劇場内は舞台を中心とした半円形で、客席は階段状になっており、どこからでも観覧できる。かつて、大衆娯楽の定番であった猿まわしは、猿と芸人が一対一で行うコンビ芸。かわいい猿の仕草に合わせて芸人が頬をゆるめたり迫真の演技を見せたりすれば、子どもだけでなく大人も童心にかえって笑顔になる。

阿蘇猿まわし劇場の入場ゲート。チケットの購入はここで

どこからでも舞台を見渡せる劇場

千年続く伝統芸能

阿蘇猿まわし劇場で見られるのは、山口県光市で無形民俗文化財に指定されている『周防猿まわしの会』の公演だ。猿まわしは、日本で千年続いている伝統芸能。実は1955年(昭和30年代)頃に一度姿を消している。その後、1977年(昭和52)に復活を願う人々の支援のもと、山口県光市で「周防猿まわしの会」が結成された。同会のテーマは、「日本猿の飼育を通してはぐくむ自然と人間活動の共生」だ。芸から得た経験を広く社会に伝えられるよう力を注いでいる。その信念から生み出される芸からは、猿と芸人が築いた絆の強さが伝わってくる。

猿まわしの主役は巧妙に演技する猿たちだ

猿ごとに異なる芸風をもつ。それを見るのが猿回しの醍醐味

誰でも気兼ねなく楽しめる劇場

阿蘇猿まわし劇場は、誰でも楽しめる工夫が満載だ。公演中には、英語、韓国語、中国語の字幕が流れるうえ、バリアフリー設備も充実。これらの配慮が評価され、1993年(平成5)には熊本県の「バリアフリーデザイン賞」の優秀賞を受賞した。車いすはもちろん、ベビーカーでもそのまま観覧できるとありうれしい。劇場の向かいには猿山があり、将来ステージで活躍するはずのスター候補が暮らしているので会いに行ってみよう。また、施設内では劇場オリジナルの「お猿饅頭」を販売しているので、旅の思い出に購入してみるのもおすすめだ。

猿山では猿におやつ(有料)をあげることができる

阿蘇ならではの周辺スポットにも注目

阿蘇猿まわし劇場の周辺にはさまざまな観光スポットがある。徒歩圏内の「阿蘇ファームランド元気の森」は健康づくりができるテーマパーク。豊富な運動器具があり、子どもから高齢者まで体力に応じて楽しめる。旅の途中に体を動かすことのできる気分転換にぴったりのスポットだ。もちろん、火の国熊本のシンボルである阿蘇山も外せない。阿蘇山火口を間近から見学できる「中岳火口」や、一面に草原が広がる「草千里ヶ浜」など、雄大な自然を体感してみよう。

阿蘇猿まわし劇場は無料駐車場を完備