岡山市立オリエント美術館
日本で唯一の公立オリエント専門ミュージアム
古代オリエントの貴重なコレクションが充実
岡山市の城下交差点から北へ向かうゆるやかな坂道の途中にある「岡山市立オリエント美術館」は、1979年(昭和54)に開館した。50万年前の石器から19世紀にかけてのイラン・イラク・シリアなどの出土品・美術品約4700点の資料を収蔵する。公立のオリエント専門ミュージアムとしては、日本で唯一。開館の基盤になったのは、学校法人岡山学園の理事長だった安原眞二郎氏から寄贈されたコレクションだ。安原氏は、展覧会の講演会で出会った東京大学名誉教授(当時)の江上波夫氏と意気投合し、西アジア各地に一緒に出向いて数々の資料・作品を収集、そのコレクション約2000点を岡山市へ寄贈した。美術館開館後も、方々から貴重なコレクションの寄贈が相次ぎ、収蔵品を充実させている。
アッシリア・レリーフは必見
看板となる収蔵品のひとつは、クロハゲワシがモデルになったと考えられる、鳥の頭・翼をもつ空想上の生物「精霊アプカル」が彫られた、古代メソポタミア文明の壁面装飾「有翼鷲頭精霊像浮彫(アッシリア・レリーフ)」(紀元前9世紀)。これは壁面レリーフの一部で、ほかの部分はイギリスの大英博物館やデンマークのコペンハーゲン国立博物館などに収蔵されているという。そして、彩色が鮮明に残る木彫「ソカル-オシリス神像」(紀元前7~4世紀)、土地売買契約を記した「楔(くさび)形文字粘土板文書」(紀元前24世紀頃)など収蔵品は多彩。「目には目を……」で知られる古代メソポタミア文明「ハンムラビ法典碑」のレプリカもある。2022年(令和4)春、開館以来初めての長寿命化改修工事で、時代に沿った従来の展示方法を見直し、わかりやすさを重視して、化粧、靴、服といった生活に身近なトピックを取り上げて紹介。また、幅6.5m、高さ1.7mの大型スクリーンも新設し、収蔵品や遺跡を映像で紹介している。
外からの光が注ぐ個性的な建物
コレクションをよりすばらしくしているのが美術館の建築だ。設計は、同館の北にある岡山県立美術館も手がけた岡田新一氏。岡山市立オリエント美術館は彼の代表作のひとつとされる。3層構造の外観は、古代メソポタミアの神殿をイメージしたものだという。館内の中心部には、3層を貫く高さ約18mの吹き抜けがある。天窓から外光が降り注ぎ、手掘りの荒々しい壁面に表情豊かな陰影をつくっている。展示室はこの吹き抜けの周囲を回遊するように配置されている。当時の貴族邸宅の中庭をイメージした休憩スペース「光庭(ひかりにわ)」は、美術館にはご法度の水、光をあえて取り入れた試みだ。天井からの光に包まれて大理石の噴水から出る水の音を聞いていると思わず瞑想へ誘われるようだ。
アラビック・コーヒーも味わいたい
リニューアルで、男女トイレには、中世ペルシャ陶器に用いられ、17世紀末に途絶えたとされる絵付け技法「ラスター彩」を再現した手水鉢計5点を設置。手水鉢は直径約50cmの八角形で、美術館の収蔵品などをモチーフにし、イスラムの12星座やトルコのイズニクタイル風の植物模様をデザイン、青釉と藍釉のタイルとラスター彩のタイルを組み合わせて作られており、焼き物の美の世界を体感できる。作者は陶芸家7代加藤幸兵衛氏(岐阜県多治見市)。父はラスター技法の復元に尽力した人間国宝の加藤卓男氏で、館内には開館記念に卓男氏が寄贈したラスター彩の壁面装飾もあり、親子2代の作品が共演している。美術館内の喫茶室「イブリク」ではアラビック・コーヒーが楽しめる。喫茶室のみの利用も可能。ミュージアムショップでは、オリジナルのヒエログリフマスキングテープのほか、エジプト雑貨、オリジナルアッシリア・レリーフグッズなどがそろう。
スポット詳細
- 住所
- 岡山県岡山市北区天神町9-31 地図
- エリア
- 岡山市・後楽園周辺エリア
- 電話番号
- 0862323636
- 時間
- 9:00-17:00(最終入館16:30)
- 休業日
- 月(祝の場合は翌平日)
- 料金
-
【入館料】
[一般]310円
[高校・大学生]210円
[小・中学生]100円
[65歳以上、障がい者とその付添人1名]無料
※特別展は別途 - 駐車場
- なし
- クレジットカード
- 可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、銀聯、DISCOVER、Diners Club)
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 可(Suica、PASMO、QUICPay、iD、Apple Pay、PayPay、楽天ペイ、d払い、auPAY)
- Wi-Fi
- あり
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 不可
- 英語メニュー
- あり
- 車椅子での入店
- 可
- 乳幼児の入店
- 可
情報提供: ナビタイムジャパン
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クチコミ
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- 素晴らしい美術館
- あまり有名とは言えないが「素晴らしい」美術館です。展示は一部ルーブルのレプリカも含まれていますが、美術館固有の物も多く、時代を追って豊富な内容です。
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- すいてました。
- 路面電車の駅からは近いのですがJRからだいぶ離れているからかすいてました。大きな展示物はありませんが、古代文明の装飾品などがみられるのがよいです。入場料が安くて驚きました。
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- コピーとは言え・・・
- この美術館の見所は一階に展示されているモザイクやレリーフ。残念なことにその多くはコピーだった。が、シリアの豹のモザイクはオリジナルで今回見た中で最も良いものだった。オリジナルがルーブルにあるという、スーサの美しい彩釉レンガやアッシリアの狩猟のレリーフなども印象に残った。また開館を祝して制作寄贈されたという加藤卓男氏のラスター彩「曙光」も見応えのあるものだった。そのほかではコピーながら「ハムラビ法典...
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