伊能忠敬記念館

記念館

佐原の名主から日本の測量の父へ、郷土の英雄を称える記念館

佐原で手広く行っていた商売を息子に譲って隠居したのが伊能忠敬50歳のとき。それから本格的に測量を勉強し、70歳を超えてからも地図作りに励んだ。忠敬は「人間、やればできる」という好例を示してくれた偉人である。

記念館横に立つ伊能忠敬の石像と測量の道具「象限儀(しょうげんぎ)」のモニュメント} 記念館横に立つ伊能忠敬の石像と測量の道具「象限儀(しょうげんぎ)」のモニュメント

郷土が生んだ偉人の人生を知る博物館

伝統的建造物群保存地区の一角に、瓦屋根の少しモダンな建物がある。佐原が生んだ偉人、伊能忠敬の記念館だ。正確な日本の実測地図を作った人として、日本史の教科書には必ずその名が載る人物だが、その偉業を成し遂げたのが家業を引退したあと、50歳過ぎてから、ということを知る人は少ないかもしれない。この記念館では、佐原に生きた忠敬の前半生と、日本地図の制作にかけた忠敬の後半生を、多くの展示で知ることができる。20年の歳月をかけて測量をしながら歩いて日本をまわり、驚くほどの高い完成度の地図を作成した情熱はどこから生まれたのだろう……。そんなことを考えながら展示を見ると、さらに興味を持って見学することができるかもしれない。

瓦屋根が印象的な記念館の外観。一見すると蔵のようにも見える} 瓦屋根が印象的な記念館の外観。一見すると蔵のようにも見える

若い頃の忠敬は地元の名士

記念館の展示は忠敬の「佐原時代」から始まる。延享2(1745年)1月11日(新暦では2月11日)に九十九里に近い海辺の村で、その村の名主の次男として生れた忠敬。幼少期の忠敬について詳しいことはわかっていないが、母親との死別などを経験し不幸な境遇でありながらも、幼い頃から学問を好んだ子であったようだ。それがそのあとの彼の人生に大きく影響した。17歳で縁あって佐原の商家伊能家に婿入りする。当時すでに利根川水運の拠点として賑わっていた佐原でさまざまなことを経験していくが、もともと商才があったのだろう。伊能家の商売は繁盛し、忠敬は次第に地元の名士となっていった。最初の展示は忠敬の人となりを知るだけでなく、町の歴史を知ることができる興味深いものなので、佐原に来たら忠敬に興味がない人でも訪れるといいかもしれない。

佐原時代の展示。当時の佐原がどんなところだったかがわかる} 佐原時代の展示。当時の佐原がどんなところだったかがわかる

地図作りにかけた情熱を知る

展示の多くは忠敬の後半生、歴史の教科書にその名が必ず掲載されることになる偉業、大日本沿海輿地全図(だいにほんえんかいよちぜんず)の制作にかかわる品々だ。忠敬が測量の旅を始めたのは55歳のとき。その後73歳になるまでに全部で10回の旅に出ていて、そのときに使った測量の道具が展示されている。忠敬測量隊は、忠敬のほか数人の弟子と道具を運ぶ人足、雑務をこなす下男で構成されていたが、昼間は測量、夜間は天体の観測をしながら移動したという。大きく、重そうないくつもの道具を運びながらの毎日の作業。自分で荷物を持たないにせよ、その仕事の大変さは想像に難くない。さらに幕府からの仕事とはいえ初期には十分な報酬が与えられず、道具の購入や人足の給与など、かなりの部分を自腹でまかなっていたという。

驚くほどたくさんの道具を持って測量の旅を続けた} 驚くほどたくさんの道具を持って測量の旅を続けた

測量の作業中は怪しまれないようにこの旗を立てて仕事をした} 測量の作業中は怪しまれないようにこの旗を立てて仕事をした

驚くほど正確な地図に驚嘆

記念館は2345点の国宝を収蔵している。すべて地図作りにかかわる文書や記録、絵図、道具などで、一括して「伊能忠敬関係資料」として国宝となっていて、それらの実物や複製品を見ることができる。忠敬の業績は「伊能図」と呼ばれる地図や絵図だが、展示されているそれらの地図を見ると、その完成度の高さに目を見張る。人工衛星など現代科学を駆使して作られた現代の地図と伊能図が重ねてある地図を見ると、複雑な海岸線や島の大きさなど、ほぼ現代のものと変わりがない。日本全土の地図を自分の足だけで、さらに20年という短い時間で、この正確さで作り上げるとは、驚きを通り越して感動的ですらある。小野川沿いの旧宅と合わせて、時間をかけてじっくり見学してみたい。

赤い線で示した現在の地図と伊能図の比較。北海道の位置は少しずれているが、ほかは位置も形も大きさもほぼ一致} 赤い線で示した現在の地図と伊能図の比較。北海道の位置は少しずれているが、ほかは位置も形も大きさもほぼ一致

旧宅に展示された測量の道具。忠敬は商人の時代から測量や天文学に興味を持ち独学していた} 旧宅に展示された測量の道具。忠敬は商人の時代から測量や天文学に興味を持ち独学していた

スポット詳細

住所
千葉県香取市佐原イ1722-1 map map 地図
電話番号
0478541118
時間
9:00-16:30
休業日
月(祝日を除く)
料金
[大人(高校生以上)]500円
[小・中学生]250円
[65歳以上]450円
駐車場
なし
※近隣に有料駐車場あり
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり(フレッツ光WiFi)
コンセント口
なし
喫煙
不可
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
0-30分

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 伊能忠敬の生涯を学べる
    5.0 投稿日 : 2022.07.24
    婿養子となり伊能忠敬を名乗った歴史にはじまり、兵庫や三重など旅にでては測量をしながら自身の知識や測量技術を高め、江戸幕府の公式測量事業となっていった歴史など、とてもよい勉強となりました。55歳で日本全国測量に出たとは驚きでした。
  • 興味深い人生です
    4.0 投稿日 : 2022.05.15
    伊能忠敬の生涯を知ることができます。伊能家は地元の名家で忠敬は婿養子だったようです。若い時から学問に関心があっただけでなく、商才もあったようで伊能家を再興するなど知られざる人物像が大変興味味深かったです。引退した後で日本地図を作成するプロジェクトを統括したのは皆さんの知る通りです。
  • 旧宅を観た後にぜひ入館を
    3.0 投稿日 : 2022.05.07
    大人500円は少し高い感じがします。展示品が地図しかないので、わかりづらいかも知れません。でも、ここへ来たら見るべき場所でもあります。伊能忠敬は、50歳を過ぎてから、日本地図を測量して歩き、わが国最初の実測日本地図をつくりあげた人です。今なら、定年退職した後に勉強して偉業を達成した事になります。非常に励みとなる人です。

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アクセス

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