明郷 伊藤☆牧場

自社で飼育する日本短角和牛を使用した「エスカロップ」(スープ付き)1380円

一般の人に農業を知ってもらうための取り組み

「明郷 伊藤☆牧場」は、釧路から根室市街地や納沙布(のさっぷ)岬に向かう国道44号線から1本北に入った厚床(あっとこ)地区にある。車だと中標津空港から約50分、釧路空港から約1時間45分の距離だ。経営母体である「伊藤畜産」が創業したのは1949年(昭和24)。「農業の現場を一般の人にも知ってもらいたい」と、敷地内にレストランや雑貨店を開店した。ブランコなどの遊具や乳しぼり体験を模した牛のオブジェ、牧草地を間近に眺めながら宿泊できる「築拓(ちくたく)キャンプ場」なども整備し、生産者と消費者の距離を縮めるさまざまな取り組みを行っている。また、地域の酪農家集団AB-MOBIT(えーびーもびっと)が造った牧草地と森を歩く「根室フットパス」全4コースのなかには、同牧場を起点にした「明郷パス」もあり、片道約4.3kmの自然散策が楽しめるコースになっている。

昔の牛舎の資材を用いたという「レストランATTOKO(あっとこ)」の建物

乳の形と触感がとてもリアルな牛のオブジェ。乳搾り気分を味わおう

自社産・地元産・北海道産にこだわったレストラン

「レストランATTOKO」では、「伊藤畜産」で飼育・生産した「和牛・根室短角牛」や低温殺菌牛乳をはじめ、道産野菜、近隣農家が製造するチーズ、根室市内のベーカリーで焼いた地元小麦使用のパン、根室で水揚げされた新鮮な海産物などを用いたメニューを提供。なかでも人気があるのは、牧草のみで育てた「和牛・根室短角牛」を使った「エスカロップ」だ。エスカロップとは、古くから根室市民の間で愛されているご当地グルメで、タケノコ入りのバターライスにカツレツやとんかつを載せ、デミグラスソースをかけた料理のこと。同じく「和牛・根室短角牛」を使った「ビーフシチュー」(サラダ・ベーグル付き)1780円、「サーロインステーキ」「ハンバーグステーキ」「ビーフカツカレー」などのほか、「鮭・ホタテ・花咲蟹のシチュー」1480円、「根室いわしロール寿司」(要予約)1000円など、多彩なメニューがそろっている。

天井が高く広々とした「レストランATTOKO」の店内

かわいい雑貨やソフトクリームも評判

敷地の入り口付近にある建物は、「ちいさな雑貨屋Etable(えたーぶる)&酪農喫茶GrassyHill(ぐらっしーひる)」。もともと「レストランATTOKO」内にあった雑貨コーナーを、アイテム数を増やして雑貨店にしたそう。「農」がある生活をテーマにした、かわいらしい生活雑貨やキッチンツール、ぬいぐるみなどが並ぶ。牛をモチーフにしたアイテムも多く、見ているだけでも楽しい。ホルスタイン柄のものはつい買いそろえたくなる。そんな店内の一角にある喫茶コーナーが、「酪農喫茶GrassyHill」だ。こちらでは、同牧場で生産された牛乳や、それを用いたソフトクリーム、シェイク、ホットドッグといった軽食、コーヒーなどを提供している。天気のよい日は、牧草地を眺めながら味わうのもおすすめだ。

後方に見える建物が「ちいさな雑貨屋Etable&酪農喫茶GrassyHill」

自社牧場の低温殺菌牛乳を使用した「まきばのソフトクリーム」380円。濃厚ながらもあと味スッキリ

牛柄のさまざまなアイテムが並ぶのは牧場の雑貨店ならでは