羽田空港国内線旅客ターミナル

開放感のある第3ターミナルの出発ロビー。清潔な空港は海外からの旅行者にも好評だ

世界に自慢したい評価の高さ

東京都南東、多摩川の河口に広がる羽田空港は、都心から電車で15-25分の距離。国内を含め世界約100都市を結び、毎日650便以上が運航している(2020年4月時点)。乗降客は世界第5位(2019年)を数え、世界の航空・空港の格付けリサーチ会社SKYTRAX(イギリス)の評価では「世界で最も清潔な空港」に6年連続第1位、空港の総合評価部門で3年連続第2位を獲得するなど、国際的な評価も高い。空港は4本の滑走路、3つの旅客ターミナルから構成され、総面積は1516万平方メートル。今後も第1ターミナルにサテライトの新設や第2ターミナルとサテライトの接続などが予定されており、進化を見るのも楽しみだ。

案内所ではロボットも応対する

羽田空港の歴史と特徴

民間航空機の需要増にともない、漁師町であった羽田に「東京飛行場」が開港したのは1931年(昭和6)。戦後はGHQの管理下におかれるが、1952年(昭和27)に返還されると、翌年には国際線定期便の運航も開始、1955年(昭和30)には旅客ターミナルが開館した。一時期国内線用の空港となるが、2010年(平成22)秋に国際線旅客ターミナル(現第3ターミナル)も開館、32年ぶりに国際線定期便が戻った。羽田の特徴のひとつが利便性の高さ。関東一円からのアクセスの良さに加え、バリアフリー、案内所の親切な応対と表示のわかりやすさ、シャワールームなどの施設、バラエティに富んだ店舗など、観光名所としても楽しめる。

待ち合わせ場所は各ターミナル出発階にある時計塔が便利。ベンチがあり、第1・第2ターミナルは番号もついている。第3ターミナルはカウンターCとH近くに塔がある

3つのターミナルを結ぶ無料の連絡バスも運行され、ターミナル間の移動も簡単

展望デッキ、東京と全国の土産がそろうスポット

羽田で空き時間があったら、ぜひ3つのターミナルにある展望デッキへ行ってみよう。第2ターミナルは東京湾に面し海を運航する船舶と旅客機のコントラストが楽しめる。第1と第3ターミナルは互いのターミナルと川崎の工場群、第1からは天気が良ければ富士山も遠望できる。3つに共通するのは、滑走路とスカイツリーを含めた東京のスカイラインを見渡せる点。クリスマスシーズンにはイルミネーションも灯され、離着陸する旅客機とあいまって幻想的な空間となる。また、羽田は日本のハブ空港だけに、全国の土産物がそろうのも大きなメリット。東京土産は都内のデパートを上回る品ぞろえで羽田限定品も多い。営業時間の長い店舗が多いのもありがたい。

各ターミナルに展望デッキがあり、ひっきりなしに離着陸する旅客機を眺めることができる。アメリカのように展望デッキのない国から考えると貴重

3つのターミナルの必見ポイント

第3ターミナルは江戸町情緒が満喫できるところ。4階のショップ、レストラン街は江戸にタイムスリップしたかのよう。5階に再現された「はねだ日本橋」からは、江戸の屏風絵図と空港の出発ロビーが左右に見渡せて、今昔のコントラストがおもしろい。第2ターミナルで目に飛び込んでくるのはアート作品。中央吹き抜けの『風の渓谷』や5階の『MOOON』など7点は千住博氏の作品だ。第1ターミナル5階のTHE HANEDA HOUSEはコーヒーを飲みながらまったりできる、ちょっといいスペース。3階のショップの童心の奥にあるテラスからは、羽田らしい光景が見えておすすめ。第1ターミナル地下1階にフードコートがあることも覚えておくと便利だ。

第3ターミナルには歌舞伎の芝居小屋風のショップなどがあり、外国人向けのお土産探しにもいい

マーケットプレイスの吹き抜けで涼しげになびく千住博氏の『風の渓谷』。千住氏はニューヨーク在住で、作品はターミナル随所にも展示されている