轟の滝公園
神々の恋伝説とともに人々に愛されてきた滝
嬉野市にある伝説の滝
長崎自動車道嬉野ICから車で10分に位置する、轟の滝。市内を流れる塩田川と岩屋川内(いわやがわち)川との合流付近にあり、高さは11m、滝壺の面積は約2500平方メートル。三段の滝から流れ落ちる水の音が雷の轟きに聞こえることから、この名がつけられた。滝の下流にある赤い「滝見橋」は、その名のとおり滝の全容を眺められる絶好の場所。周辺は「轟の滝公園」として遊具や広場が整備されている。春には桜が咲き誇り、力強い水音を聞きながら爛漫の花を楽しめるスポットだ。
恋物語の伝説とともに守られている湧き水
轟の滝は、約15km北東に離れた白石町(しろいしちょう)にある縫ノ池(ぬいのいけ)と地下水でつながっていると伝えられていた。そこから生まれた伝説が神々の恋物語だ。縫ノ池は約800年の歴史をもつ池で、池の中には地域の人々が信仰を寄せている厳島神社(通称:弁財天)がある。神社の弁天様と轟の竜神様が地下を通る水の流れに乗り、逢瀬を重ねていたという。ところが1958年(昭和33)、過剰な地下水の汲み上げにより縫ノ池は枯渇してしまう。約40年が経った2001年(平成13)、飲料水を表流水に転換した直後に、厳島神社の周囲から湧き水が復活。長い年月を超えて復活した湧き水は、伝説の継承とともに今も住民に大切に守られている。
カップルから家族までゆっくりと過ごせる
轟の滝のため整備された「轟の滝公園」は、嬉野市ならではの自然にあふれている。春には桜、初夏にはアジサイ、秋には紅葉など、季節によって美しい景色を披露する。嬉野の温泉街につながる全長約2kmの遊歩道は、心地良い川のせせらぎを聞きながら歩く散歩コースとして、住民にも人気。夏には天然の涼を求め、たくさんの人が訪れる。公園には遊具もあり、カップルでの散策から家族でのピクニックまで、ゆっくりと自然を楽しめる。
歴史ある文化財と自然の恵みあふれる町
轟の滝がある嬉野市は、2006年(平成18)に、旧嬉野町と旧塩田町が合併して誕生した自治体だ。同市にある嬉野温泉は轟の滝から徒歩約20分、西九州で最大級の温泉街として知られる。豊富な泉源を有し、九州屈指の名泉として「日本三大美肌湯」にも選ばれた。轟の滝から車で約20分の旧塩田町は、長崎街道(シュガーロード)の塩田宿や塩田川河港として栄えた歴史ある町。居蔵家(いぐらや)が立ち並ぶ「塩田津」は、文化庁より「重要伝統的建造物群保存地区」に選定、2020年(令和2)6月には日本遺産にも認定された。また、嬉野温泉から車で約10分、岩屋川内川の上流にはゲンジボタルが生息する。毎年5月下旬から6月にかけて暗闇に飛び交う姿を観賞でき、清流ならではの光景を見られる。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン