大牟田市立三池カルタ・歴史資料館

色も鮮やかに復元された天正カルタ

日本最古のカルタが証明する三池との関係

ポルトガル語で「四角い紙」や「手紙」を意味するカルタ。日本に伝わったのはポルトガル人が来航し始めた16世紀末の安土桃山時代だ。カルタは船乗りたちの長い航海の間の娯楽のひとつだったのだ。日本に入ってくると、当時の人々はこれを受け入れ、すぐに複製品が作られ始める。その日本最古のものを「天正(てんしょう)カルタ」といい、たった1枚が兵庫県芦屋市の滴翠美術館(てきすいびじゅつかん)に所蔵されている。その裏面に「三池住貞次(みいけじゅうさだつぐ)」、すなわち「三池に住む貞次」と記載されていることから三池(現在の大牟田市域)が天正カルタ制作に大きな関わりをもっていたと考えられている。そのような経緯から、1991年(平成3)、大牟田市に三池カルタ・歴史資料館が開館。日本の古いカルタから日本各地のご当地カルタ、子どもたちに人気のキャラクターカルタ、海外のカルタやトランプなど幅広く収集しており、その数は1万3000点を超える。

カルタはポルトガル人船乗りの娯楽だった

カルタの変遷がわかるよう紹介されている

ここにしかない貴重なカルタを展示

常設展示では日本でのカルタの歴史がわかりやすく紹介されている。必見は神戸市立博物館が所蔵する天正カルタの版木(はんぎ)をもとに全48枚を復元した「天正カルタ」だろう。当時の色彩や紙も研究して再現されており、色鮮やかでエキゾチックな図柄が興味深い。とはいえ、当時のカルタの遊び方はよくわかってない。ただ、天正カルタをヒントに日本各地でさまざまなカルタやカルタを使った遊びが誕生しており、江戸時代に始まった花札も1組48枚の天正カルタの名残だと考えられている。一方、平安時代から伝わる「貝合わせ」の文化とカルタが融合し、江戸時代初期には小倉百人一首など和歌の「上の句」と「下の句」をあわせる「歌カルタ」が生まれ、現在の「イロハカルタ」につながったと考えられている。常設展ではきらびやかな絵が施された「貝覆い(かいおおい)」や観賞用として作られた高価なカルタも展示。江戸時代に作られた珍しい紙製の「貝型源氏カルタ」、金箔が施された手描きの「小倉百人一首」と、ここにしかない貴重なカルタを見ることもできる。

天正カルタの版木を復元したもの

とても珍しい貝型に作られた歌カルタ

時が経っても金箔が豪華さを醸す小倉百人一首

企画展にも注目！カルタに親しめる工夫も

年4回行われる企画展では全国のご当地カルタや太平洋戦争時のカルタなど、さまざまなテーマに沿った展示が行われている。公立のカルタ専門館はここだけということもあり、現在も各地からご当地カルタや珍しいカルタが寄贈されており、企画のアイデアは尽きないという。エントランスには絵本とトランプのコラボ展示や懐かしいキャラクターカルタの紹介に加え、カルタ遊びのできるコーナーも設置され、来館者が気軽にカルタに親しめる工夫もされている。

さまざまなテーマで開催される企画展にも注目

市立図書館も併設する複合施設「カルタックスおおむた」にある