軍艦島

廃墟となって存在する産業遺産「軍艦島」

かつての炭鉱の繁栄を伝える周囲約1.2kmの端島、通称「軍艦島」。1974年(昭和49)に炭鉱が閉山してからは無人島となり一般の上陸はできなかったが、2009年(平成21)に上陸が可能となり、現在では多くの人が上陸ツアーに参加して軍艦島を訪れている。2015年(平成27)7月世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 ~製鉄・製鋼、造船、石炭産業~」の構成資産に登録された。

長崎港から約18kmの海上に浮かぶ「軍艦島」} 長崎港から約18kmの海上に浮かぶ「軍艦島」

上陸ツアーの前にミュージアムで予習

今回は、「軍艦島コンシェルジュ」の軍艦島上陸ツアーに参加。このツアーの最大の特徴は、出航する前に軍艦島の歴史や今の様子を疑似体験するミュージアム(ツアー参加者以外も入館可)を見学するところだ。炭鉱隆盛期、人口密度世界一といわれた活気あふれる島の様子や、上陸ツアーでは見ることのできない立入禁止区域なども巨大スクリーンやプロジェクションマッピング、最新のVR映像で体感できる。ミュージアムにはガイドが常駐していて、説明のなかで飛び出す隠れたエピソードなども興味深い。2~4階の充実したミュージアムで軍艦島の予備知識を頭に入れ、テンションが上がったところで常盤桟橋に移動し、ツアー船に乗り込む。出航後、造船のまちらしい巨大クレーンやドック、美しい教会とマリア像、女神大橋など、船から眺める長崎の景色に何回もシャッターを切る。5分ほどで長崎港を抜けると、穏やかだった海にだんだん波が立ち始め、船の揺れ方も大きくなるが、それも冒険心をかきたてられて楽しい。

ミュージアムで最初に体感する、約30mのプロジェクションマッピング。昔と今の軍艦島を膨大な古写真とともに鑑賞} ミュージアムで最初に体感する、約30mのプロジェクションマッピング。昔と今の軍艦島を膨大な古写真とともに鑑賞

立ち入り禁止区域を含む最新の軍艦島のドローン映像をVRで楽しめる。360度の視界とリアリティあふれる映像にびっくり} 立ち入り禁止区域を含む最新の軍艦島のドローン映像をVRで楽しめる。360度の視界とリアリティあふれる映像にびっくり

ツアー船「ジュピター」が出航する常盤桟橋} ツアー船「ジュピター」が出航する常盤桟橋

長崎港から船で約40分後、軍艦島に上陸

出港から30分後、目の前に軍艦島が見えてくる。岸壁が島全体を囲い、高層鉄筋コンクリートが立ち並ぶその外観が軍艦に似ていることから「軍艦島」と呼ばれるようになったそうだが、確かにその勇壮な姿は軍艦そのものだ。ドルフィン桟橋から軍艦島に上陸し、ガイドの案内で島内を見学。まずは「第1見学広場」へ。閉山まで主要坑として採炭が行われた第2竪坑周辺設備は、風化が進んでいるが、地下600m入坑口へ行くための階段跡を確認することができ、当時、命がけで現場に向かっていた炭鉱マンの姿をリアルに感じることができる。また、当時最先端のエレベーター(給食用)のあった7階建の端島小中学校、屋上に幼稚園と保育園があった9階建ての社員社宅、そして島内で唯一部屋に風呂があったという3号棟の幹部社宅なども確認できた。

軍艦島の玄関口ドルフィン桟橋} 軍艦島の玄関口ドルフィン桟橋

第1見学広場からの眺め。端島小中学校、高台に幹部社宅などが見える} 第1見学広場からの眺め。端島小中学校、高台に幹部社宅などが見える

鉱山の中枢部分を見学する第2見学広場

ガイドの熱のこもった話を聞きながら、「第2見学広場」へ進む。ここからは、鉱山の中枢であった総合事務所の跡である、大きなレンガ造りの建物の一部を見ることができる。この建物の中には、事務所だけでなく会議室や共同浴場''抗員風呂''などもあったそうだ。灰色のコンクリートの建物が多いなか、レンガの赤い色が際立って見える。シャッターを切る回数も多くなる。端島炭坑の石炭はとても良質で、隣接する高島炭坑とともに日本の近代化を支えた。主要エネルギーが石炭から石油へと移行したことにより1974年(昭和49)に閉山し無人島になり、今は廃墟となってしまったが、ガイドの話を聞きながら建物などを眺めていると、当時の活気や賑やかさが伝わってくるようだ。

総合事務所跡、倉庫だった赤レンガの建物などを望む、第2見学広場} 総合事務所跡、倉庫だった赤レンガの建物などを望む、第2見学広場

日本最古の鉄筋コンクリート高層アパート

いよいよ、最後の見学地、島の南端にある「第3見学広場」へ進む。目の前にそびえ立つのは、1916年(大正5)に建設された日本最古の鉄筋コンクリート造のアパート30号棟だ。狭い島で多くの人が生活するため、高層集合住宅が次々に建てられ、最盛期には約5300人もの人々が住み、当時の東京都の17.5倍にあたる日本一の人口密度に達した。しかし、建築から100年以上もの歳月が経ち、台風のたびに崩壊が進み、今後の存続が心配だという。かつてアパートの前にはプールなどもあり、31号棟には、郵便局・理髪・銭湯が入っていたそうだ。高層だがエレベーターはなかったとのことなので、上り下りは大変だっただろう。周囲には、海底炭鉱で使用する機械や道具を製造していた仕上工場、炭鉱閉山後に建てられた肥前端島灯台なども見学でき、廃墟マニアでなくても見ごたえがある。ガイドの説明が終わると桟橋に戻るが、その前に最後の記念写真を撮って帰ろう。

第3見学広場から眺める日本最古の鉄筋コンクリートの高層アパート} 第3見学広場から眺める日本最古の鉄筋コンクリートの高層アパート

スポット詳細

更新日:2024.04.20

住所
長崎県長崎市高島町端島 map map 地図
エリア
長崎エリア

情報提供: ナビタイムジャパン

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