高千穂峡

幻想的な景観を見せる高千穂峡は神話ゆかりの地

国の名勝・天然記念物に指定されている高千穂峡

高千穂峡はその昔、阿蘇の火山活動で噴出した火砕流が五ヶ瀬川に沿って帯状に流れ出し、 急激に冷却されたことによって柱状節理の懸崖となった峡谷だ。平均80m、高いところで100mの高さの断崖が東西約7kmにわたって続いている。1934年(昭和9)に「五箇瀬川峡谷」として国の名勝・天然記念物に、1965年(昭和40)に祖母傾(そぼかたむき)国定公園の一部に指定された。高千穂の伝統行事である夜神楽(よかぐら)は冬季に徹夜で夜神楽三十三番を奉納する神事だが、一般的な観光客にも気軽に楽しんでほしいと高千穂神社神楽殿で毎日20時から高千穂神楽が公開されているので要チェック。本格的な夜神楽を1時間程度にまとめ、町内各地の神楽保存会が持ち回りで披露している。

観光客を圧倒する柱状節理

神々の降り立った地として知られる高千穂

日本神話の聖地・高千穂峡は、スピリチュアルスポットとして知られる。高千穂には神話と伝説にゆかりのある地が数多く存在し、なかでも『古事記』や『日本書紀』に記された「天孫降臨(てんそんこうりん)」が有名だ。「天孫降臨」は、天照大神(あまてらすおおみかみ)の孫、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が神々の棲む高天原から地上、すなわち日本列島に降り立ったことを指す。日本建国神話の始まりとされ、その地がどこかについては諸説あるが、有力候補地のひとつがここ高千穂町。特にスピリチュアルスポットとして名高いのが天安河原(あまのやすかわら)だ。天照大神が天岩戸にお隠れになった際、天地暗黒となり八百万の神がこの河原に集まり神議(かみはかり)されたと伝えられる大洞窟。石積みをして願い事をすると叶うと伝えられ、祈願を行う人たちの手によって石が積まれていくようになった。

神話と伝説にゆかりのあるスポットが数多く存在

真名井の滝や雲海など見どころいっぱい

峡谷内には「日本の滝百選」に選定されている名瀑「真名井の滝」があり、約17mの高さから水面に落ちる様子は神々しく美しい。天孫降臨の際、水がなかった真名井の地に天村雲命(あめのむらくものみこと)がもってきた水種「天真名井」の地下水がこの場所で湧き出し、滝になったといわれている。真名井の滝からは遊歩道が延びており、先へ進むと「高千穂三橋」がある。新旧それぞれ趣の異なる3つのアーチ橋を一度に見られるのは、全国でもここだけとされている。また、高千穂の秋の風物詩「雲海」もこの地で見てみたいもののひとつ。周辺を山に囲まれた盆地に位置する高千穂町では、気象条件を満たせば未明に発生した濃霧が滞留し、雲海を見ることができる。町の中心地の西側にある高台・国見ヶ丘(くにみがおか)からの360度のパノラマは、まるで神話時代の絵巻物のようだ。

渓谷美を楽しみながら約1.2kmの遊歩道を歩く。一部はバリアフリーになっており車いすも通れる

散策しながらすがすがしい空気を思い切り吸い込んでみよう

貸しボートで迫力の大自然と神秘的な雰囲気を楽しんで

高千穂峡はボートに乗って楽しむことも可能。可能なら遊歩道散策とボートの両方を体験するのがおすすめだ。ボートなら遊歩道から見るよりも峡谷の荘厳さが際立ち、柱状節理の岩肌に圧倒される。間近に眺める真名井の滝は迫力満点だ。人気のため週末や連休には数時間待ちになることもあり、また増水時には貸し出し休止になるので注意が必要。神聖な雰囲気が漂うなか、この地で語り継がれてきた神話の出来事に思いを馳せてみよう。

ボートに乗って水面からの絶景も堪能しよう

ボート乗り場は高千穂駐車場の奥にある。事前にネットで予約をしておこう