中里太郎右衛門陶房

博物館/科学館

唐津焼の歴史と伝統そして今を知ることができる陶房へ

茶碗はよく「一楽二萩三唐津」といわれる。京都の楽焼、山口の萩焼と並ぶとされる唐津焼。その真髄に触れられる陶房の陳列館には、歴史的な逸品から日常でも使える湯呑みまでが並んでいる。

伝統的な唐津焼のひとつ「絵唐津額皿」(7万1500円)} 伝統的な唐津焼のひとつ「絵唐津額皿」(7万1500円)

閑静な住宅街にある陶房

JR唐津駅に近い町田川からは御茶盌窯通りと呼ばれる通りが続く。その通り沿いに中里太郎右衛門陶房は立派な門を構えている。駅から歩いても10分はかからない距離だが、周囲は静かな住宅街だ。建物の2階にある陳列館には靴を脱いで上がる。木造りの落ち着いた室内には典型的な唐津焼が並んでいる。いちばん奥に収められている絵唐津の大皿が目に入った。唐津焼にはさまざまな種類があるものの、絵唐津は唐津焼を代表する作品。間近で見ると質素な柄、色合いにもかかわらず、重々しいほどの迫力に圧倒される。だが陳列館には、ほかに日常で使えそうな皿や湯呑みなども並んでいる。もちろん、購入することも可能だ。最近は髪飾りや耳飾りなどの新作も登場している。

陶房の門。中には庭園も広がっている} 陶房の門。中には庭園も広がっている

さまざまなタイプの皿も並んでいる。「唐津皿」(1万3200円)} さまざまなタイプの皿も並んでいる。「唐津皿」(1万3200円)

湯呑みなどふだん使いたくなる器も多い。「絵唐津湯呑」(3300円)} 湯呑みなどふだん使いたくなる器も多い。「絵唐津湯呑」(3300円)

天正年間に始まる唐津焼の歴史

唐津焼は肥前陶器とも呼ばれる。現在の佐賀県東部や長崎県北部で焼かれた陶器の総称で、唐津焼の名称は伊万里焼と同じく、出荷した港の名前から付けられたと考えられている。『窯別ガイド日本のやきもの唐津』(淡交社)によれば、肥前陶器の始まりについては、鎌倉中期説、室町末期説など諸説があるものの確証はなく、千利休が所持していた茶碗などにより16世紀後半の天正年間に始まったと推測されるという。1603年(慶長7)の茶会の記録には、唐津焼と考えられる茶道具についての記述が出てくる。唐津焼はこの頃から大量に生産され、流通圏を広げていった。特に瀬戸焼や美濃焼があまり流通しなかった地域に多く広まっていったとされ、「太平洋側など多くの地域で焼物屋のことを『瀬戸物屋』と呼ぶのに対し、日本海沿いの北陸・山陰地方では『唐津屋』といい、焼物を『唐津』と呼ぶ傾向が残っている」(同書)ようだという。

13代と14代の作品を展示している新館} 13代と14代の作品を展示している新館

登り窯跡と御茶盌窯記念館も

陳列館から渡り廊下を渡った先には、13代中里太郎右衛門と現在の14代の作品を見られる新館がある。14代の作品は伝統的な唐津焼のように思えるが、13代の作品は鮮やかな青色などが使われ、どこか地中海を思わせるようなものが少なくない。その違いも興味深く鑑賞していて楽しい。ちなみに13代には中里逢庵名で中里太郎右衛門陶房発行の『唐津焼の研究』(河出書房新社)という著書がある。専門的な本ではあるものの、唐津焼についてより詳しく知りたい方にはおすすめ。陶房から御茶わん通りを2、3分歩いた先には肥前陶器窯跡御茶盌窯(おちゃわんがま)があり、江戸中期から後期まで使われていた登り窯が残っている。敷地内には入れないが自由に見学することができる。また陶房の前には御茶盌窯記念館(400円。高校生以下無料)もあり、桃山時代の古唐津や11代から14代の代表作などを鑑賞できる。

国指定史跡「唐人町御茶盌窯跡」(1734年築窯)。長さ約27mの連房式登り窯で6つの焼成室が残っている} 国指定史跡「唐人町御茶盌窯跡」(1734年築窯)。長さ約27mの連房式登り窯で6つの焼成室が残っている

御茶盌窯記念館。唐津藩御用窯時代の献上唐津も見ることができる} 御茶盌窯記念館。唐津藩御用窯時代の献上唐津も見ることができる

スポット詳細

住所
佐賀県唐津市町田3-6-29 map map 地図
電話番号
0955728171
時間
9:00-17:30
休業日
水、木(祝日の場合は翌日)、年末年始
料金
[入場料]無料
駐車場
あり(7台)
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、銀聯、Diners Club)
電子マネー/スマートフォン決済
可(Suica、PASMO、QUICPay、iD、LINE Pay、d払い)
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
0-30分

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 町中の静かな陶房
    4.0 投稿日 : 2018.09.30
    唐津市の広い道から入った静かな唐津焼の工房。車にナビがないとちょっと行き着けないようなところですが、私たちが言っている時も探してくる人が多い工房です。14代目がおられました。2階に上がると入口があり、靴脱ぎで履物を置いて中に入りますと作品が並んでいます。買いやすい工房のものが並んでいます。その建物か池をまたぐ廊下を過ぎると何代にもわたって作られてきた作品が並ぶ部屋があります。お値段も...
  • 素晴らしかった
    5.0 投稿日 : 2017.09.07
    歴史ある趣を感じます。作品も、やはり素晴らしく、お求め安いものも手が出ないものも。スタッフさんも親切、丁寧。梱包も、安心確実な完璧さ。唐津に行ったら、必ず行った方がいいですね。
  • 非常に親切で優しい対応
    3.0 投稿日 : 2017.06.25
    押しつけがましくない非常に好感がもてる対応でた。ここの陶房の職人さん作品(入口)と中里氏の作品(奥に間)は別々の部屋に展示されています。職人さんの作品は5000くらいからありました。

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アクセス

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最寄り

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