等持院

寺院

衣笠山の麓にたたずむ室町幕府歴代将軍の菩提寺

室町幕府を開いた足利尊氏が、衣笠山の南のふもとに開いた等持院。平安貴族にも愛された衣笠の地で、現代につながる日本の文化をはぐくんだ将軍たちを弔うかのように、庭園は四季を通じて多様な花に彩られる。

芙蓉池越しに方丈(本堂)を望む (写真提供:等持院)} 芙蓉池越しに方丈(本堂)を望む (写真提供:等持院)

閑静な住宅街に現れる山門の奥へ

嵐電(らんでん)の名で親しまれる京福電鉄北野線に揺られ、等持院・立命館大学衣笠キャンパス前駅で降車する。駅から北へ、静かな住宅街を約5分歩くと等持院の山門に到着だ。さらに道なりに進むと、大正から昭和にかけて、等持院境内に映画の撮影所が設けられた縁により、日本映画の父とも呼ばれた牧野省三の銅像が立つ。北方向にある衣笠山(きぬがさやま)の美しい山容を見ながら、さらに進むと現れるのが山門。くぐった先の庫裏(くり)の玄関口に参拝受付があり、靴を脱いで上がれば赤い衣の達磨大師の大きな屏風が迎えてくれる。

風格が漂う等持院の山門 (写真提供:等持院)} 風格が漂う等持院の山門 (写真提供:等持院)

足利家の菩提寺として隆盛を極めた

1341年(暦応4)、室町幕府初代将軍・足利尊氏が夢窓疎石を開山に迎え、等持寺の別院として創建された。当初は北等持寺と称されたが尊氏の死後に墓所となり、尊氏の法名から等持院に改められ、のちに歴代将軍の菩提寺となった臨済宗天龍寺派の禅寺だ。応仁・文明の乱や火災に見舞われた等持院だが、豊臣秀吉の息子・秀頼が再興に寄与するなどして、足利将軍15代の230年を超える歴史を今に伝えている。玄関口からまずは本堂である方丈へ。現在の方丈は、1616年(元和2)に福島正則が妙心寺の塔頭・海福院に建立されたものを1818年(文化15)に移築、平安時代の釈迦如来坐像が安置され、南側には白く輝く石庭が広がっている。

歩くとキュッキュッと音がする鴬張りの広縁(幅の広い縁側) (写真提供:等持院)} 歩くとキュッキュッと音がする鴬張りの広縁(幅の広い縁側) (写真提供:等持院)

足利歴代将軍の像を安置する霊光殿と庭園

続く霊光殿には初代尊氏から15代義昭までの将軍像が13体並び、眼光鋭い姿に圧倒される。5代の義量(よしかず)と14代義栄(よしひで)の像は見当たらないが、なぜないのかはわかっていない。伝弘法大師作の利運地蔵尊、その左右には達磨大師と開山の夢窓疎石が、さらに手前に徳川家康像も安置されている。東庭と西庭からなる庭園も見どころのひとつ。霊光殿から方丈の北側に回ると、ツツジをはじめ季節の花が芙蓉池(ふようち)の周りに咲き誇り、変化に富む石組がなされた西庭が広がっている。池を挟んで小高い丘にひっそりと立つのは茶室「清漣亭(せいれんてい)」。茅葺き屋根の枯淡の趣あるたたずまいで、8代将軍義政好みと伝わる。

ハスの花をイメージし、花や草木をあしらった芙蓉池 (写真提供:等持院)} ハスの花をイメージし、花や草木をあしらった芙蓉池 (写真提供:等持院)

義政好みと称された茶室「清漣亭」 (写真提供:等持院)} 義政好みと称された茶室「清漣亭」 (写真提供:等持院)

緑豊かな2つの庭園を巡り心鎮めて

庭園に向かって書院が開け放たれ、緋毛氈(ひもうせん)にくつろいで心ゆくまで庭を眺めるのも一興。心字池(しんじいけ)を中心とした東庭は閑寂な空間が広がり、東と西では印象が異なるのが興味深い。庭園は回遊式になっているので、書院から下りて巡ってみよう。清漣亭のある小高い丘から眺める庭園の姿も秀逸だ。方丈の北東辺りには、足利尊氏の墓である伝わる宝篋印塔(ほうきょういんとう)が据えられている。四季折々に違った姿を見せる庭園は、心落ち着く空間でもあり、静かなひとときを過ごせることから何度も訪れる人も多い。また、ゆかりの作家として、等持院で少年僧の時代を過ごした水上勉がいる。

草書体の「心」の字をかたどって造られた心字池 (写真提供:等持院)} 草書体の「心」の字をかたどって造られた心字池 (写真提供:等持院)

スポット詳細

住所
京都府京都市北区等持院北町63 map map 地図
電話番号
0754615786
時間
9:00-16:30(受付終了16:00)
[12/30-1/3]9:00-15:00(受付終了14:30)
休業日
年中無休
料金
【参拝料】
[大人]500円
[小人]300円
駐車場
あり(5台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり
乳幼児の入店

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 紅葉の穴場スポット
    5.0 投稿日 : 2022.11.24
    嵐電の駅からも近く、歴史的知名度もあり、紅葉もきれい、行ってみると拝観客はすくない。穴場スポットです。足利尊氏の墓や足利将軍尊氏から義昭まで歴代の将軍像がある。将軍像は文久三年の将軍像梟首事件で尊氏から義満まで三代の木造の首が三条河原に晒された。庭園は夢窓国師作で抹茶を飲みながら眺められる。
  • 足利尊氏の墓所があります、秋の紅葉シーズンが一番美しい寺院です
    5.0 投稿日 : 2022.07.17
    良い寺院です。観光客も殆どおらず、地元京都の好事家やお寺ファンが静かに拝観に訪れる程度です。もちろん、観光バスで乗りつけるなんて者も余り目にしない。堂塔は然程でもないし、足利歴代将軍と徳川家康の木造がある霊光殿も大したことはない、初代の尊氏や3代の義満は別にして第8代の義政のように政治を疎かにして、趣味に走り、都を戦乱に陥れて知らん顔、わが身だけ安全な東山の一角に逃げ込んで、庭園策定(銀閣寺)と趣...
  • 足利尊氏公の墓所
    5.0 投稿日 : 2022.04.27
    室町幕府初代将軍足利尊氏公の墓所がある寺院です。市バス等持院南口で下車すると案内がないのでたどり着くのに困りました。バス停北側(UR賃貸の大きな看板の反対側の駐車場左側の細い道を入って行くと等持院駅に出てそこから真直ぐ行くと辿り着きます。尊氏公の墓は将軍とは思えない程、小さく質素です。霊光殿には足利将軍歴代の木像と徳川家康公の像が安置されていて一見の価値ありです。庭園は夢窓国師の作と伝えられ歩けま...

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アクセス

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最寄り

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