樫野埼灯台

灯台

異国との交流に触れられる意外な場所

本州最南端の地・潮岬(しおのみさき)。紀伊半島の南端、和歌山県串本町にあり、天気予報などで耳にしたことがある人もいるだろう。潮岬の東側にぽっかりと浮かぶ紀伊大島の、東端にそびえて海の安全を見守っているのが樫野埼(かしのざき)灯台だ。

青い空と海に映える白亜の灯台} 青い空と海に映える白亜の灯台

日本最初の石造灯台

イギリス人技師のリチャード・ヘンリー・ブラントンが設計し、アーサー・ブランデルが工事監督として建設したこの灯台は、1879年(明治3)に初点灯した日本最初の石造灯台・回転式閃光灯台だ。現在は自動点灯の無人灯台で内部非公開だが、灯台脇のらせん階段を上って間近に見ることができる。目の前には太平洋の大海原。雄大な海の景色に、地球の丸みを実感することができる。隣接の施設は同じくブラントンが設計したもので、灯台を管理する旧官舎として利用されていたもの。1954年(昭和29)に大規模改築されたものの当初の形態を今に伝えており、当時イギリスで用いられていた壁面に木目を描く技法などが一部に残されている。冬には、技師が故郷・イギリスを思って植えたといわれるスイセンの花が、灯台や旧官舎の周りに咲き乱れて甘い香りを放つ。

昭和天皇が行幸した間も残されている旧官舎} 昭和天皇が行幸した間も残されている旧官舎

痛ましい遭難事故を学べる記念館

樫野埼灯台の駐車場から歩いてすぐの場所に立つ、オリエンタルな建物がトルコ記念館だ。一体なぜ、紀伊大島にトルコ風の建物が。その答えは、過去の悲しい事故にある。1890年(明治23)、紀伊大島沖を通りかかったオスマン帝国(現トルコ)の軍艦「エルトゥールル号」が嵐に見舞われ座礁。600人以上が夜の海に投げ出された。助けを求められた島民たちが命がけで救難活動を行い、69人が生還。島民は、温かい対応で生還者を介抱したという。串本町とトルコの厚い友情と友好は、この遭難事故をきっかけに今も連綿と続いている。トルコ記念館では沈没したエルトゥールル号から引き揚げられた遺品や資料を展示しているほか、座礁した地点も窓や展望デッキから望むことができる。事故現場が意外と岸から近いことに、きっと驚くはずだ。

たくさんの資料やトルコからの記念品が展示されている} たくさんの資料やトルコからの記念品が展示されている

のぞき窓から事故の現場を確認} のぞき窓から事故の現場を確認

トルコと紀伊大島島民の今も続く友情

トルコ記念館から灯台に向けて遊歩道を歩く途中、大きなオベリスクがそびえる。これは、エルトゥールル号遭難事故で命を落とした587人(行方不明者含む)を忠魂する「エルトゥールル号遭難慰霊碑」だ。近づくと、乗組員の名が一人ひとり記されているのがわかる。事故の翌1891年(明治24)、当時の和歌山県知事はじめ多くの国民から義援金が寄せられ、墓碑と追悼碑を建立した。その後、1929年(昭和4)に昭和天皇が行幸することを知ったトルコ共和国初代大統領のケマル・アタテュルクが、より立派なものに改修することを決定。紀伊大島の島民が土地を提供し、1937年(昭和12)に現在の慰霊碑が完成した。今なお、串本町と在日本トルコ大使館との共催で5年ごとに慰霊祭を開催し、多くの人が献花している。ここにも、串本町とトルコの友情が垣間見える。

慰霊碑には誰でも近づくことができる} 慰霊碑には誰でも近づくことができる

トルコから寄贈されたケマル・アタテュルク騎馬像} トルコから寄贈されたケマル・アタテュルク騎馬像

紀伊大島で海外旅気分

灯台の歴史や痛ましい事故、そしてトルコとの友好に触れたあとは、ぐっと親しみを増したトルコの魅力に迫ろう。駐車場から灯台までの遊歩道に、何軒かのトルコ雑貨店が並ぶ。そのなかの1軒「オスマントルコ・ハウス」では、トルコの伝統的なアイス「ドンドルマ」を販売。ラン科植物の球根を乾燥して粉末にした「サレップ」を原料にしたアイスで、餅のように伸び、ねっとりとしつつもコシのある、不思議な食感をもつ。1つ400円、学生なら300円とサービス精神も旺盛だ。店内には手作りの絨緞や皿、「ナザールボンジュウ」と呼ばれる目玉形のお守りなど、トルコ雑貨も並ぶ。このほか、紀伊大島には海と奇岩が迫力満点の海金剛(うみこんごう)や、黒船来航より62年もさかのぼる1791年(寛永3)のアメリカ商船上陸を記念した日米修好記念館などの見どころがある。イギリス、トルコ、アメリカと、紀伊大島だけで3か国の歴史・文化に親しむことができる。

不思議な食感のトルコアイスは必食の味わい} 不思議な食感のトルコアイスは必食の味わい

オリエンタルなトルコ雑貨が充実} オリエンタルなトルコ雑貨が充実

スポット詳細

住所
和歌山県東牟婁郡串本町樫野 map map 地図
電話番号
0735623171
時間
9:00-17:00
休業日
[灯台官舎]水、木
料金
[灯台官舎(中学生以上)]100円
駐車場
あり(84台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
30-60分
乳幼児の入店

情報提供: ナビタイムジャパン

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