如意輪寺

寺院

吉野山の中千本にある後醍醐天皇ゆかりの古刹

奈良県吉野山の中腹にあり、裏山には後醍醐天皇の陵墓もあるなど、南朝と深い関わりのある「如意輪寺」。桜の季節になると中千本の桜が一望できる報国殿を目当てに多くの人が訪れる。

本尊に如意輪観世音菩薩(にょいりんかんぜおんぼさつ)を祀る本堂} 本尊に如意輪観世音菩薩(にょいりんかんぜおんぼさつ)を祀る本堂

吉野に南朝を開いた後醍醐天皇の勅願寺

901~923年(延喜年間)、日蔵道賢上人によって真言宗のお寺として建立された如意輪寺は、鎌倉幕府を倒して建武の新政(けんむのしんせい)を行った後醍醐天皇(ごだいごてんのう)と関わりが深い。足利尊氏(あしかがたかうじ)ら武士との争いにより、京都から逃れて吉野に南朝を開いた後醍醐天皇は、如意輪寺を勅願寺(ちょくがんじ)と定め、如意輪観世音菩薩と金剛蔵王権現(こんごうざおうごんげん)を熱心に拝んだという。一方で、足利尊氏は光明天皇(こうみょうてんのう)を擁立し京都で北朝を開き、同時に天皇が2人、朝廷が2つある南北朝時代が約60年間も続いた。無念のうちに崩御した後醍醐天皇の陵墓は、如意輪寺境内のなかにあり、天皇家の陵墓としては唯一北向きとなっていて、京に戻ることを願った「北面の御陵」として知られる。毎年、9月27日の後醍醐天皇御忌(ごだいごてんのうぎょき)では、本堂特別拝観を開催。ふだんは非公開の本堂を参拝することができる。

廃仏毀釈により取り壊されることが決まっていた寺院から移築された山門。九死に一生を得たことから通称・救世門(ぐぜもん)とも呼ばれている} 廃仏毀釈により取り壊されることが決まっていた寺院から移築された山門。九死に一生を得たことから通称・救世門(ぐぜもん)とも呼ばれている

後醍醐天皇御霊殿の前の門。皇族方が参拝されるときと後醍醐天皇御忌(ぎょき)法要のときだけ開かれる} 後醍醐天皇御霊殿の前の門。皇族方が参拝されるときと後醍醐天皇御忌(ぎょき)法要のときだけ開かれる

多宝塔としだれ桜、そして宝物殿は必見

如意輪寺は吉野山の中千本にあり、桜の季節になると一面桜色になる風景を見ようとマイカーやバスで多くの人が訪れる。後醍醐天皇が好んだといわれているしだれ桜は、如意輪寺の境内にも植えられており、特に多宝塔の周辺が美しい。宝物殿の奥にある報国殿から見る、中千本から上千本の桜は圧巻の美しさ。一般開放していない年もあるので、公式サイトで確認してほしい。また、宝物殿では、後醍醐天皇ゆかりの品やお寺に残る仏像仏画や肖像画、秀吉公の花見和歌集など数十点が展示公開されている。如意輪寺は、楠木正行(くすのきまさつら)が四條畷(しじょうなわて)の戦いに出陣する前に詣でて、堂の扉に矢尻で辞世の歌「かへらじと かねておもえば梓弓 なき数に入る 名をぞとどむる」を刻んだことが知られている。その扉を実際に見ることもできるので、歴史ファンならずともぜひ足を運んでほしい。

多宝塔と呼ばれる総檜造りの塔。阿弥陀仏が祀られている} 多宝塔と呼ばれる総檜造りの塔。阿弥陀仏が祀られている

権現堂にある重要文化財・蔵王権現立像} 権現堂にある重要文化財・蔵王権現立像

南朝の歴史を伝える如意輪寺で猫のご利益にあやかる

現在の如意輪寺は、1650年(慶安3)に四国の長曾我部盛親の弟である文親が再建したもの。母親は楠木氏の末えいと伝えられおり、大坂の陣で豊臣方に味方し、吉野に逃げ延びたのだという。加島公信(かしまこうしん)住職は、「如意輪寺を訪れることが、南朝の方々の想いを感じていただくことにつながり、歴史に興味をもっていただくきっかけになれば」と、今の時代に南朝の歴史を知ってもらうことに意味があると話す。如意輪寺には無住職だった時代に猫が住みついてお寺を守ったという話も。授与品で人気があるのは「猫のおみくじ」だ。それぞれ厄除けや金運など、ご利益があるおみくじとなっている。南朝の歴史を知り、桜を愛で、猫のご利益にあやかる。決して交通の便がいい場所ではないが、足を延ばしてほしい古刹のひとつだ。

4種類ある猫みくじ。黒猫は魔除け、白猫は幸せの使い、トラ猫は人気運、金猫は金運とそれぞれご利益があるそう} 4種類ある猫みくじ。黒猫は魔除け、白猫は幸せの使い、トラ猫は人気運、金猫は金運とそれぞれご利益があるそう

おみくじはいつでも読み返せるように持ち帰り、猫ちゃんは置いていく人も} おみくじはいつでも読み返せるように持ち帰り、猫ちゃんは置いていく人も

ご住職に書いていただいた御朱印。勢いのある文字が美しい} ご住職に書いていただいた御朱印。勢いのある文字が美しい

スポット詳細

住所
奈良県吉野郡吉野町吉野山1024 map map 地図
エリア
吉野エリア
電話番号
0746323008
時間
[観桜期]8:00-17:00
[その他]9:00-16:00
休業日
不定休(法務等により拝観業務が休業の場合あり)
料金
[拝観料]大人500円、中高生200円、小学生100円
駐車場
あり
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
可(PayPay)
Wi-Fi
あり
コンセント口
なし
滞在目安時間
30-60分
ペットの入店

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 桜の山の中にあるお寺
    3.0 投稿日 : 2023.04.17
    吉野山寺宝めぐりの一つ、中千本から見ると、桜が咲く山の中にお寺があります。一度谷に降りて、向かい側の山を登って行くので、往復すると結構体力を使いますが、桜を眺めながらゆっくりと往復しました。後醍醐天皇が勅願寺とし、御陵があり、有料拝観の宝物殿には蔵王権現像や、楠木正行が辞世の句を刻んだ扉などがあり、宝物殿のテラスからは谷を見渡せます。
  • 後醍醐天皇の勅願寺
    4.0 投稿日 : 2021.09.16
    後醍醐天皇や楠木正行、弁内侍等南北朝時代のヒーロー、ヒロインとゆかりのお寺で、背後には京都を向いた後醍醐天皇陵「北面の御陵」(天皇陵で唯一、北向きの陵墓)があります。楠正行が辞世の句を読んだ扉等が見られる宝物殿も見応えありました。
  • 南朝方の重要なお寺です
    5.0 投稿日 : 2021.02.25
    折しもNHKBSにて太平記の再放送中ということで、南朝に関りがある如意輪寺と後醍醐天皇の御陵に来ました。ロープウェイから徒歩で来ましたので1時間以上かかったような気がします。創建は10世紀初頭、真言宗の寺院でしたが江戸時代に現在の浄土宗に変わりました。本堂はじめ静かな場所です。

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アクセス

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