興福寺

寺院

藤原氏の氏寺として始まり、大和国を領したこともある古刹

法相宗の大本山であり世界遺産の寺。繁華街から近く、駅に向かう人々も日々境内を通る。藤原氏の氏寺として創建され官寺になるほどの栄華を誇り、天平時代と鎌倉時代の傑作の仏像も伝わっている。

若草山と春日山原始林を望む} 若草山と春日山原始林を望む

藤原一族の信仰あつい氏寺

興福寺の前身は藤原鎌足が病に倒れたときに夫人が回復祈願のため造営した「山階寺(やましなでら)」。大津から飛鳥に都が戻った折に山階寺も移され、そこの地名をとって「厩坂寺(うまやさかでら)」と改められ、平城京遷都の際に宮都を見渡せるこの場所に再度移され、興福寺と名づけられた。平重衡(たいらのしげひら)の南都焼き討ちや兵火、またそれ以外の火災も多数あったようで、数多くの堂宇は焼失と再建を繰り返してきた。藤原氏の氏寺として奈良時代には四大寺、平安時代には七大寺に数えられ、多くの荘園も持ち、鎌倉、室町期にはこの興福寺が実質大和国を治めていたのである。またその頃の興福寺といえば、多数の僧兵を擁していたことでも有名であった。

南円堂の後方にひっそり立つ三重塔} 南円堂の後方にひっそり立つ三重塔

焼失と再建を繰り返して

朱塗りも新しい中金堂(ちゅうこんどう)は伽藍の中核を占め、本堂にあたる。焼失後約300年を経て2018年(平成30)にやっと落慶を迎えた。また堂内には法相宗の祖師たち14名が描かれた柱があり、法相柱(ほっそうちゅう)と呼ばれているが、最後の焼失以降長らく復興されていなかった。今回の再建では華やかで品格ある色彩で新しく描かれているため、新しい見どころといえる。また、高さ約50mの五重塔の大規模修理も2022年度より始まる。現在の塔は室町時代に再建されたもので、大規模修理は約120年ぶりとのこと。修理の終了時期はまだ決まっていない。修理で覆われる前の塔の姿を運良く見ることができたら、心にとどめておきたいものだ。

焼失後、復元された南大門跡の礎石と再建された中金堂} 焼失後、復元された南大門跡の礎石と再建された中金堂

五重塔の風景もいったん見納めか} 五重塔の風景もいったん見納めか

南北二つの八角円堂

「西国三十三所」の札所でもある南円堂はつねに参拝の人が絶えない。このお堂は藤原冬嗣が父の内麻呂を追善するために建立したもの。本尊として、慶派仏師で運慶の父、康慶一門制作の不空羂索観音菩薩坐像(ふくうけんさくかんのんぼさつざぞう)が安置されている。北円堂はこの寺の創建者藤原不比等(ふじわらのふひと)の一周忌供養のために、元明・元正天皇が長屋王に命じて建立させた。ここからは平城京を見渡すことができ、平城京造営を推し進めた不比等にふさわしい鎮魂の場所となっている。現在の建物は1210年(承元4)頃に再建されたもので、境内最古の建造物。お堂の内部には運慶一門が制作した本尊である弥勒如来坐像(みろくにょらいざぞう)と、無著・世親菩薩立像(むじゃく・せしんぼさつりゅうぞう)などが安置されている。これらの像は運慶の指揮で造られた鎌倉時代の大傑作だ。

唐破風(からはふ)の軒下には札所のご詠歌の額が} 唐破風(からはふ)の軒下には札所のご詠歌の額が

向き合えば心静かになれるお堂} 向き合えば心静かになれるお堂

軽さゆえ残った天平仏?

興福寺といえば忘れてはいけない阿修羅像(あしゅらぞう)。天平時代の乾漆造(かんしつぞう)の八部衆の中でも絶大な人気を集めている。興福寺の建造物は最古のものでも鎌倉時代だが、天平期に乾漆で造られたこの仏像は脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり)という技法で軽く、被災したときにいち早く移動させて守ってきた。天平と鎌倉それぞれのすばらしい仏像がここ興福寺に残っていることを感謝したい。この八部衆が収蔵されているのは国宝館。僧侶の食事場所である食堂(じきどう)跡にその食堂を模して建てられた鉄筋コンクリートの建物である。館内の中心に元は食堂の本尊だった千手菩薩観音立像が安置されている。便利な場所にあり、見どころが多い興福寺。売店やミュージアムショップのグッズも充実しているので、記念になるものを探してみてはいかがだろうか。

境内のそこかしこでシカが出迎えてくれる} 境内のそこかしこでシカが出迎えてくれる

スポット詳細

住所
奈良県奈良市登大路町48 map map 地図
電話番号
0742227755
時間
9:00-17:00(入館・入堂は16:45まで)
休業日
年中無休
料金
[国宝館]大人700円、中高生600円、小学生300円
[東金堂]大人300円、中高生200円、小学生100円
[2か所共通]大人900円、中高生700円、小学生350円
[中金堂]大人500円、中高生300円、小学生100円
駐車場
あり(46台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり
平均予算
【昼】1-1,000円, 1,001-3,000円
滞在目安時間
30-120分
車椅子での入店
可(国宝館のみ可)
乳幼児の入店
ペットの入店
可(堂内、館内は不可)
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

アニメスポット情報

らき☆すたの21話にて、主人公一行が修学旅行で訪れた寺のモデルであると言われている。

※ナビタイム調べ

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クチコミ

  • ゆっくり鑑賞できる阿修羅像
    4.0 投稿日 : 2023.05.23
    近鉄奈良駅に近いためか、観光客も修学旅行生も多く訪れていますが、境内は広いので人々が分散するようで、国宝館の出口近くにある阿修羅などもゆっくり鑑賞できます。東金堂と国宝館を鑑賞できる共通券を利用するのがよいです。
  • 阿修羅像を見に
    5.0 投稿日 : 2023.02.21
    近鉄奈良駅に荷物を預け、徒歩で行きました。ハートのお尻が何頭もお出迎え。法相宗の大本山です。藤原氏の庇護のもと、平安時代は大和国を領する大寺になりましたが、平氏の焼き討ちで全焼。その後鎌倉時代に運慶などの仏師が多くの仏像を造像。五重塔や阿修羅などの美しい仏像があります。
  • 見どころが多い
    5.0 投稿日 : 2022.12.09
    奈良公園の手前にあります。かつてはもっと広い敷地だったそうです。何度も火災にあい、その都度債再建を繰り返してきたそうです。敷地内には中金堂、五重塔、北円堂、南円堂、国宝館などがありますが、コンパクトにまとまっていて見やすいです。2022年度に修復予定だった五重塔は、ウクライナの影響などの資材調達云々で工期が遅れているそうです。

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アクセス

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