鈴木大拙館

資料/郷土/展示/文学館

ZENを海外に広めた鈴木大拙の思想に触れる

マインドフルネスという概念で、欧米のライフスタイルやビジネスにまで影響を及ぼすようになった「禅(ZEN)」。鈴木大拙館(すずきだいせつかん)は、禅をはじめ東洋思想を西洋に広めた鈴木大拙の考えや足跡に理解を深め、来館者に思索の場を提供している。

白い箱が水面に浮かぶかのように見える思索空間棟} 白い箱が水面に浮かぶかのように見える思索空間棟

世界的な仏教哲学者

兼六園の真弓坂口から本多通りを南へ歩いて約10分、住宅地の奥、本多の森の緑を背景にたたずむ建物が鈴木大拙館だ。同館が紹介する鈴木大拙(本名:貞太郎)は西洋に禅の思想や日本文化を広く伝えた仏教哲学者で、国内よりもどちらかといえば海外での知名度が高い。1870年(明治3)、金沢市本多町生まれで、同館から南に徒歩2分ほどに生家跡がある。鎌倉・円覚寺に参禅したのち、東京帝国大学哲学科で学び、1897年(明治30)に渡米して出版社の編集員を約11年務め、この間に仏教書の英訳や英文著作を出版した。帰国後は学習院大、大谷大で教授となり、80歳からニューヨークに移住してコロンビア大、ハーバード大などで仏教思想を教えた。

同館近くの鈴木大拙生家跡} 同館近くの鈴木大拙生家跡

タイトルも説明もない展示

同館は3つの棟を回廊で結んだ構成で、各棟それぞれに庭を配している。観覧ルートはシンプルで、玄関棟から奥に進むと展示棟、戻ってくると思索空間棟が玄関棟と隣り合わせという配置だ。受付からまっすぐ展示棟へ続く内部回廊は薄暗く、足元の光が奥へ導く設計で、クスノキのある玄関の庭を眺めるための突き出しが途中に設けてある。少し驚くのが展示棟の展示物だ。通常の記念館やギャラリーと異なり、展示物にタイトルどころか解説文すらない。これは、文字や言葉によらず体験を重視する「不立文字(ふりゅうもんじ)」という禅の考え方にのっとり、先入観にとらわれず自由に感じてもらうための仕組みだという。とはいえ、あまりに情報不足だと思うなら、設置してあるリーフレットを手に取ろう。

展示棟に続く内部回廊。右側に大きなクスノキの生い茂る玄関の庭がある} 展示棟に続く内部回廊。右側に大きなクスノキの生い茂る玄関の庭がある

思索深める動と静の空間

展示棟を出ると、建物の軒下を通って思索空間棟へ続く外部回廊があり、目の前には同館の大部分を占める水鏡の庭が広がる。浅く水を張った水盤には、周囲の樹木や空、同館の建物が映り込み、そよ風を立てるさざ波や葉擦れの音に加え、数分おきに水盤の中央から水が湧き上がり、パシャッという水音ともに波紋が広がる。この水鏡の庭に浮かぶように立つのが思索空間棟だ。白い箱型の建物の中は畳長椅子が並ぶだけのシンプルな造りで、ここでどう過ごすかは訪れた者に任されている。ただ座って庭を眺めたり、ぼんやり自然の音に耳を傾けたりもいいだろう。思いおもいの時間を過ごしたら、同館横の「緑の小径」を奥に進めば金沢市立中村記念美術館まで徒歩2分と近い。また、少し足を延ばすと、近郊のかほく市に大拙の四高時代の同級生で親友の哲学者・西田幾多郎を顕彰した西田幾多郎記念哲学館があり、毎年5/19~11/11まで互いの入館半券を提示することで、もう一方の館が入場無料になるキャンペーンを実施している。

水鏡の庭や石の壁、本多の森、空を一望できる思索空間棟は、自分と向き合い「考える」空間になっている} 水鏡の庭や石の壁、本多の森、空を一望できる思索空間棟は、自分と向き合い「考える」空間になっている

スポット詳細

住所
石川県金沢市本多町3-4-20 map map 地図
電話番号
0762218011
時間
9:30-17:00(最終入館16:30)
休業日
月(祝日の場合は直後の平日)、年末年始、展示替え休館
※建物修繕工事のため令和5年11月27日(月)-令和6年3月中(予定)
料金
[入館料]一般310円、65歳以上210円、高校生以下無料
駐車場
なし(身障者用のみ2台)
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、銀聯、DISCOVER、Diners Club)
電子マネー/スマートフォン決済
可(Suica、PASMO、QUICPay、iD、nanaco、WAON、楽天Edy、PayPay、楽天ペイ、LINE Pay、メルPAY、d払い、auPAY、ALIPAY)
Wi-Fi
あり(Kanazawa_Fee_Wi-Fi)
コンセント口
なし
喫煙
不可
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
0-30分

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 静かな時間を過ごせる場所
    4.0 投稿日 : 2023.04.25
    金沢へ行った時、兼六園や金沢城などには行ったことがあるので、兼六園の麓にある鈴木大拙館へ行きました。鈴木大拙は日本を代表する哲学者で、京都学派の西田幾多郎氏などとも親交があるとのことです。多くの展示品がある訳ではありませんが、楠の庭や水鏡の庭も含めて館内を歩いたり、座ったりすることで静かで落ち着いた時間を過ごせます。館外へ出て裏手の森の小径や本田公園を散策するのもいいと思います。
  • 思索の場
    4.0 投稿日 : 2023.04.03
    金沢市立中村記念美術館から緑の小径を歩いて行きました。仏教学者である鈴木大拙のコンセプトを具現化した場所で、訪問した人が思考するように考えられています。水鏡の庭が一番印象的でしたが、なかなか思考を深めるにはいかず。
  • 思索を形にして表現している
    4.0 投稿日 : 2023.01.19
    過去に何度も訪れているが素晴らしい空間だと思う。21世紀美術館よりお薦めです。静かで訪問する人も少なく居心地が良い。ここから成巽閣まで歩いて行け、石川県立伝統産業工芸館を見てそのまま兼六園に入ることができる。

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アクセス

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最寄り

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