国宝 犬山城

城/城址

2つの付櫓(つけやぐら)が特徴。現存する最古の天守が歴史を伝える

国内に現存する木造天守として最古を誇る犬山城。築城当時のままの部材が多く残されている城で、最上階からの眺望も人気。お殿様になった気分に浸りながら、国宝に指定される天守を登ってみよう。

写真右の手前に張り出した付櫓は、侵入する敵を攻撃するためのもので犬山城の特徴だ} 写真右の手前に張り出した付櫓は、侵入する敵を攻撃するためのもので犬山城の特徴だ

現存する最も古い様式の天守として知られる

眼下に雄大な木曽川を望む、小高い城山の上に立つ国宝犬山城。天守がある城山の山頂へは石段を登っていくか、山のふもとにある三光稲荷神社、または針綱(はりつな)神社の境内を抜けて行く方法がある。城は1537年(天文6)に造られ、天守のみが現存。築城したのは織田信長の叔父である織田信康。築城以来、計3度にわたって戦の舞台になっている。1565年(永禄8)に織田信長、1584年(天正12)に秀吉軍、1600年(慶長5)に徳川軍が城を攻略。戦の場になりながらも、天守が現存していることは奇跡ともいえる。城は三重四階地下二階になっていて、二階建ての入母屋造りの建物に、二階建ての望楼が載っているシンプルな造り。二階から三階への逓減率が高く、スタイリッシュな城だ。

城の地下一階。野面(のづら)積みされた石垣に囲まれる形で階段がある} 城の地下一階。野面(のづら)積みされた石垣に囲まれる形で階段がある

二階は武具の間と呼ばれる。柱に大鋸で斫った跡が残り、築城年を知る手がかりになる} 二階は武具の間と呼ばれる。柱に大鋸で斫った跡が残り、築城年を知る手がかりになる

最上階の4階だけじゃない。犬山城は細部に見どころあり

見学時は、靴を脱いで城内へ入る。周囲を石垣に囲まれた階段は穴蔵と呼ばれ、侵入経路を1か所にして狭くすることで守りやすい造りになっている。城内は急な階段が続き、各階に大きな展示物は少ない。そのため、一気に展望台のある天守最上階の4階へ登りがちだが、入り口となる地下2階から3階にも見どころがいっぱいだ。たとえば2階の武具の間。長い武器を手にして移動がしやすいように天井が高い。さらに畳敷きの間(上段の間)が城内にあることも珍しい。これは江戸幕府になり、名古屋城にいる尾張徳川家を出迎えるために造られたのではとされている。また、いまだに解明されない不思議のひとつが、城内にある格子窓。通常は棒状の木を縦に配置する縦連子窓が一般的だが、城内に1か所だけ横連子窓があり、「築城の際、職人がデザイン的な遊び心で施したのでは?」という説も残る。そしてぜひ見ておきたいのが犬山城の大きな特徴である付櫓(つけやぐら)。侵入する敵を攻撃するため天守に接して造られた付櫓が2つもあり、現存している天守で2つもあるのは犬山城だけ。東南隅の付櫓は正面から侵入する敵を、西北隅の付櫓は石垣を登り侵入しようとする敵を攻撃するために設けられた。付櫓は2つとも1階から内部を見ることができる。

一階にある上段の間。畳の奥は護衛の武士や忍者が隠れるための場所} 一階にある上段の間。畳の奥は護衛の武士や忍者が隠れるための場所

一階の格子窓。右の縦連子窓が一般的だが、城内には1か所だけ横連子窓がある} 一階の格子窓。右の縦連子窓が一般的だが、城内には1か所だけ横連子窓がある

天守を一周。取り囲むような廻縁を歩こう!

城内を見て回ったら最上階の4階へ。赤い絨毯が敷かれているが、実は江戸時代からすでに最上階に赤い絨毯が敷かれていたのではという説がある。海外から運ばれたであろう絨毯は当時、希少だったに違いない。そんなエピソードを再現するために最上階には絨毯が敷かれている。さらに4階を囲むように廻縁が設けられ、眼下に木曽川、遠くは岐阜城、さらに名古屋市の高層ビルも見ることができる。なお、廻縁は欄干が低くスリル満点。町を見下ろしながら歩けば、まさにお殿様気分に浸ることができるだろう。なお、廻縁の床には外に向けたこう配が若干付けられている。雨が降った際の排水のためだ。

赤い絨毯の敷かれた最上階。天守の四方を廊下が囲み一周できる} 赤い絨毯の敷かれた最上階。天守の四方を廊下が囲み一周できる

天守の最上階。当時のまま、低い手すりの欄干にも趣がある} 天守の最上階。当時のまま、低い手すりの欄干にも趣がある

一時期、個人所有だったという珍しいエピソードも

国内にある天守で国宝に指定されているのは犬山城を含めて5城。5つの城のなかで一時期、個人が所有していた城というのは犬山城だけだ。1617年(元和3)、成瀬正成が2代将軍の徳川秀忠から犬山城を拝領。成瀬家は9代にわたって城主を務めた。明治の廃藩置県で愛知県所有となるが、1891年(明治24)の濃尾大地震によって天守が半壊するという大きな被害にあう。そのため、1895年(明治28)に修理を条件として県から旧藩主の成瀬家に譲与され、成瀬家と犬山町民などが義援金を募り無事修復された。以後、成瀬家が個人で所有する城となる。現在は、公益財団法人犬山城白帝文庫が所有し、犬山市が日々の管理を行っている。

スポット詳細

住所
愛知県犬山市犬山北古券65-2 map map 地図
電話番号
0568611711
時間
9:00-17:00(最終入場16:30)
休業日
12/29-12/31
料金
【入場料】
[一般]550円
[小中学生]110円
駐車場
あり(130台)
※有料
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
可(Suica、PASMO、QUICPay、nanaco、WAON、楽天Edy、PayPay、LINE Pay)
Wi-Fi
あり
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
30-60分
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 現存天守閣の国宝
    5.0 投稿日 : 2023.05.18
    通常の週末でしたが混雑していました。天守最上階の展示がここが個人所有だったことを示していて興味深いものでした。天守閣からは長良川がすぐそばに見えました。100名城のスタンプは管理事務所にありました。御城印もありました。また来てみたいと思う城でした。
  • 2度目の登城が叶いました
    5.0 投稿日 : 2023.04.29
    今まで行ったお城の中で一二を争うくらい好きな犬山城。再び来ることができて嬉しい〜〜ダントツの急階段(狭い)、こじんまりした内部(ダントツの小ささ)、そして素晴らしい眺望‼️歴史あるお城に身を置ける感動体験。いつか又元気で登城できますように。ありがとうございます。
  • 美しい城
    5.0 投稿日 : 2023.04.10
    国宝の5つの城はすべて訪問しました。ここは最も小さく、そして古い城です。名鉄犬山遊園駅で下車、川沿いの遊歩道を歩きましたが、ここがまず美しく、城の撮影スポットです。お城は階段が急ですが、規模が大きくないので、意外と歩きやすいです。そこから観光のメイン道路を歩き、今度は犬山駅まで歩きましたが、行程全部がとても楽しめました。

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アクセス

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