中国台湾料理味仙 矢場店

台湾ラーメン745円。鶏ガラスープに唐辛子の辛さと炒めたひき肉のうまみなどが凝縮されている

台湾の名物料理がルーツ

「味仙」のルーツは、戦後名古屋駅近くにあった中華料理店「万福」。父の営む店を「味仙」に改名し、受け継いだのが創業者の郭明優である。今池に拠点を移したのちもチャーハンやラーメンといった一般的な中華料理を提供する店であったが、次第に自身のルーツである台湾のメニューも提供するように。そして、台湾の名物料理「担仔麺(タンツーメン)」を辛くアレンジして生まれたのが「台湾ラーメン」だ。郭自身、そして担仔麺のルーツでもあることから「台湾ラーメン」と命名されたこのメニューをきっかけに「味仙」は次第に繁盛店に。世の激辛ブームも追い風に、台湾ラーメンが人気となり、5人兄弟である郭の弟や妹もそれぞれ系列店を開業。基本のメニューは継承しながらも独自に経営をする店舗が名古屋を中心に展開されている。兄弟それぞれの個性がメニューや味にも反映されているが、どの店も「台湾ラーメン」が店のメニューからはずれたことはないという。1999年(平成11)に郭明優の妹が開業した「矢場味仙」と呼ばれる「台湾料理 味仙 矢場店」も例外ではない。

最寄りの地下鉄名城線矢場町駅から徒歩7分ほどで到着できる「台湾料理 味仙 矢場店」

矢場味仙こだわりの辛さの秘密

唐辛子がゴロゴロと入った台湾ラーメンのいちばんの特徴は、なんといってもスープの辛さ。丼一面を覆うニンニクと唐辛子が入ったミンチが載ったラーメンをすすると、最初は口の中がヒリヒリとして驚くかもしれないが、そのうちに辛さがクセになってくる。矢場店の辛さの秘密は、恵那や中津川の伝統野菜「あじめこしょう(唐辛子)」を使用していること。通常の唐辛子の3～5倍という刺激的な辛さが特徴だ。グループ店では、炒めたひき肉を最後にトッピングするが、矢場店ではあじめこしょうと一緒に炒めたミンチをスープで煮込むので、そのぶんだけうまみとコクが濃厚に。ここだけでしか味わえない奥深い味を求めて足しげく通う客も少なくない。時間に余裕があるのなら、グループ店それぞれのおいしさの違いを食べ比べてみるのもおもしろい。なお、もしも辛いものが苦手なら、辛さを抑えた「アメリカン」も注文可能。反対に、2倍の唐辛子が入っている「イタリアン」やさらに煮込んで辛さを増した「アフリカン」なども用意されており、通常の辛さでは物足りない人にはたまらないメニューもそろう。

通常の10倍の火力を誇るガスコンロ。高温でスピーディに仕上げるための矢場味仙の特注だ

台湾ラーメン以外にも注目のメニューがずらり

名古屋の繁華街、栄や大須から徒歩圏内の矢場店は、ビルの1階から3階まであわせて約320席をもつ大型店舗。味仙グループでも最大規模を誇る店は、観光客や地元の人でいつも賑わっており、本場台湾を思わせる活気がさらに食欲を刺激する。味仙には辛いもの好きが集まるという印象があるが、ファミリーの利用も多い。メニューも人気の青菜炒めやニラ玉子炒め、台湾ちまきなどから、チャーハンや焼きそば、ワンタンメンといった昔ながらの中華料理まで。選ぶのに迷うほど豊富なメニューがそろう。加えて、矢場店限定のメニューもはずせない。麺の上にホルモンがたっぷり載った「ホルモンラーメン」は矢場店のオリジナル。鶏ガラベースのやさしいだしに、新鮮でぷりぷりのホルモンがどっさり載って食べごたえも十分だ。料理は好みにあわせて辛さやニンニクの量も調整可能。また子ども向けのやさしい味付けにも対応してくれる。客に寄り添った柔軟な対応も、長年愛される理由のひとつだろう。今や全国にその名を知られる名古屋名物となった「台湾ラーメン」発祥の店。名古屋を訪れたら、オリジナルの味を楽しみにぜひ立ち寄りたい。

ニンニクがを利かせた「青菜炒め」715円。これを目当てに来る客があとを絶たない人気メニューだ

ぷりぷりのホルモンがたっぷり載った、矢場味仙オリジナルの「ホルモンラーメン」858円

店舗は1階から3階まであり、全部で320席を完備