山梨県立富士山世界遺産センター

富士山の多彩な表情を巨大オブジェで再現する「冨嶽三六〇(ふがくさんろくまる)」

さまざまな角度から富士山の魅力を発信

「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の名称で、2013年(平成25)にユネスコの世界文化遺産に登録された富士山。その美しい姿は古来より信仰の対象であるとともに、さまざまな芸術を生み出す源泉となってきた。富士山のふもと、剣丸尾(けんまるび)と呼ばれる溶岩流の上に建つ山梨県立富士山世界遺産センターは、世界遺産としての富士山を学べる南館と、自然について展示する北館で構成される。北館にはお土産ショップとカフェ、富士山を望む展望広場を併設。中央自動車道河口湖ICから約300m、富士スバルラインの入り口近くにあり、観光途中に気軽に立ち寄れる。

敷地の入り口には、富士山の溶岩の上にシンボルマークのオブジェが置かれている

富士山のシンボルオブジェが目玉の南館

南館の玄関を入り、鳥居を模した「登拝ゲート」をくぐって2階に上がると、巨大な富士山が迎えてくれる。特製和紙を使って富士山を約1000分の1のスケールで再現したオブジェ「冨嶽三六〇」だ。照明の演出によって、青い山肌に白い雪をいただいた姿、紅富士や赤富士などに変化し、さまざまな富士山を疑似体験できる。オブジェを取り囲む2階回廊をひと巡りしてみよう。富士山の歴史や人々との関わり、富士山が世界遺産に登録されるまでの歩みを、映像とパネルでたどることができる。

光と音で富士山の一日や四季の変化を体感できる直径約15mのオブジェ

南館で富士山の歴史や文化について学ぶ

南館1階は、世界遺産に登録されている25の構成資産、信仰の対象・芸術の源泉としての富士山がメインテーマ。床には山頂を中心に直径21.5mの地図が描かれ、世界遺産の構成資産と富士山文化の広がりを表している。また「冨嶽三六〇」の内側には「胎内ビジョン」と呼ばれるスクリーンがあり、富士山の信仰や芸術をテーマにした映像が流れる。

竹取物語のかぐや姫と伝わる富士山の女神「木花開耶姫(このはなさくやひめ)」の像

このほか、富士山信仰ゆかりの地を巡って拝む「巡拝」、バーチャル登山を楽しめる「富士山登拝体験」など、ユニークな展示が盛りだくさん。「富士山登拝体験」では、登山道のふもとから山頂までの映像が超高速で流れ、富士山登山を体験した気分になれる。また「ふじめぐり」という公式アプリをスマートフォンにダウンロードすれば、展示物にかざすと解説が表示されたり、人物像がしゃべり出したりと、さらに楽しく見学できる。表示言語は英語や中国語など5か国語に対応しており、外国人観光客にも好評だ。

江戸時代の「富士講」による参詣登山をユーモラスな人形で表現

富士山の自然を中心に展示する北館

北館の1階展示室では、富士山の成り立ちと噴火、富士山で見られる動植物について紹介している。溶岩樹型、溶岩石筍(せきじゅん)、溶岩球などの実物も置かれ、間近で観察できる。また富士山にかかるさまざまな形の雲を並べた写真パネルは、ボタンを押すと雲と天気との関係が表示され、クイズ感覚で楽しめる。

模型やパネルを使用し、富士山の自然についてわかりやすく解説

1階には富士山をモチーフにしたグッズやお土産を販売するショップ、富士山周辺や山梨県の観光情報を提供する案内所がある。また2階は、富士山を間近に望める展望広場とカフェになっている。カフェでは「青い富士山カレー」や青バラ風味の「フジヤマソフト」などユニークなメニューも味わえるので、休憩がてら立ち寄ってみたい。