葛西臨海公園

東京湾に面して広がる気持ちのいい展望広場

都心にありながら自然と触れ合える公園

東京駅から約15分。JR京葉線葛西臨海公園駅を降りると、目の前に広がるのは緑豊かな空間。都心のすぐ近くこんな公園があることにまず驚かされる。葛西臨海公園は隣駅にある東京ディズニーランドが開業した1983年(昭和58)の6年後、1989年(平成元)にオープンした。荒川の河口に造られた約77.9万平方メートルの公園は都立公園としては有数の広さ。アクセスの良さに加え、都心にありながら貴重な自然に触れられるスポットが園内に点在し、海に面して開放的な芝生の広場がある。まさにファミリーのためにあるような公園。水族園や観覧車などの施設利用料は必要だが、それ以外は基本的に無料というのも人気の理由だ。

駅を出ると目の前には噴水が

のんびり一日過ごせる充実した施設

駅を背に海に向かってまっすぐに延びる中央園路を進むと、左側には一年を通してさまざまな野鳥が観察できる鳥類園とマグロの大回遊で知られる国内屈指の人気水族園、葛西臨海水族園がある。右側にあるのは国内2位の高さ117mの大観覧車やBBQ広場など。正面に見える建物は展望レストハウス・クリスタルビュー。その先にある東京湾に面したふたつの広場(展望広場と汐風の広場)は開放的なくつろぎスポットとして人気だ。園内全体に豊かな木々が生い茂り、その合間に遊歩道が造られており、のんびり散歩したり、ジョギングをしたりする人の姿も見える。園内の道路は多少のアップダウンがあるが、遊歩道には車いすやベビーカーがスムーズに動けるように工夫されており、子連れでも安心。カフェや売店も充実しているので、1日ゆっくり過ごすことができる。

レストハウス・クリスタルビューを海側から見たところ

車いすにもやさしい園路

貴重な自然との触れ合い

園内の森や池、干潟などは人工的に造られたものだが、開園から30年以上経過しており、訪れる人は植物も動物も自然本来の姿に触れることができる。鳥類園の周辺はもちろんのこと公園の南西、BBQ広場の先にある芦ケ池周辺は樹々が広がり、豊かな自然が感じられるエリアだ。野鳥の観察で有名な葛西臨海公園だが、さまざまな昆虫も観察できる。カブトムシやクワガタも見つかっており、虫好きの人の人気スポットになっている。ただし園内では採取は禁止。虫を捕まえても、観察したら逃がしてあげよう。

芦ケ池に続く小さな瀬。人工の島を流れる淡水だ

東京湾の貴重な干潟を訪れよう

東京湾に臨む公園の南側にはふたつの人工なぎさがある。ここは「葛西海浜公園」という別の公園であり、東京湾の自然に触れられる貴重な場所となっている。2つの人工なぎさはそれぞれ「西なぎさ」と「東なぎさ」となっており、「東なぎさ」は自然環境を保全するために立ち入りが禁止されているが、「西なぎさ」は「渚橋」を渡って行くことができる。橋を渡ってすぐの場所に案内所などがあるが、あとは広々とした砂浜が広がっている。このなぎさは人工的に造られたものだが、こなぎさの前には「三枚洲」という自然の干潟が広がっている。東京湾の干潟は90％以上が埋め立てられてしまっているが、ここは潮が引くと約2km先まで広大な干潟が現れる。干潟は多くの生き物を育む貴重な場所。この貴重な自然を守るために多くの人々が活動し、2018年(平成30)、葛西海浜公園は東京都で初めてラムサール条約湿地に登録された。

西なぎさの砂浜。夏は水遊びの人たちで賑わう

干潟にはいつも水鳥の姿が見られる